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本記事で説明する内容は以下のとおりです。
- 税理士試験の難易度と、合格までに必要な勉強時間の目安
- 科目選択のポイントと、長期的な学習スケジュールの立て方
- 効率的に税理士試験の勉強を進めるための具体的なコツ
税理士試験は難易度が高く、合格のためにはかなりの勉強量が求められます。
また、年単位という長期の勉強になるため、スケジュールの設定や日常的な勉強時間の確保、定期的な振り返りなども必要です。
本記事では税理士試験に向けた勉強について、押さえておきたいポイントを解説します。
税理士試験とは?勉強を進める前に把握すべきポイント
税理士試験は難易度が高く必要な勉強量も多いため、戦略的に勉強する必要があります。
どのくらいの勉強時間が必要になるかを把握するためにも、まずは税理士試験について理解を深めましょう。
この章では税理士試験の基本について解説します。
税理士試験の難易度
税理士試験は科目合格制を採用している試験です。
必須科目である会計2科目、選択必須1科目、その他2科目の計5科目に合格することで、税理士試験の合格者とみなされます。
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区分 |
科目名 |
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必須科目 2科目とも合格が必須 |
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選択必須科目 どちらか一方の合格が必須 両方受験することも可 |
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その他 |
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税理士試験は難易度が高く、ボリュームもある試験です。十分な理解・確実な回答のためには必然的に多くの勉強量が必要になります。
そして、いずれの科目も合格率は10~20%程度です。
合格率の低さからも、税理士試験の難易度の高さが伺えます。
各科目に必要な勉強量
税理士試験は合格基準の定めがあるものの、合格率は毎年10~20%程度で大きな変動はありません。
そのため実質的には相対評価の試験といえるでしょう。
税理士試験に合格するためには、上位10〜20%に入る必要があります。
ライバルよりも良い成績をとるためには、その分多くの勉強時間が必要です。
税理士試験は、科目により範囲や難易度が異なり、勉強量に差があるので計画的学習を行っていかなければなりません。
税理士になるために必須である、「簿記論」や「財務諸表論」、「法人税」または「所得税」は、特に範囲が広く難易度が高いので、学習時間が必要になってきます。
自分が確保できる学習時間と、科目に必要な勉強量から毎年どの科目を受験するのか考えていくことが大切です。
科目選択を誤ってしまうと、1科目に充てられる時間が少なくなってしまうので注意していきましょう。
税理士試験を目指す人
税理士試験の受験者層について、学歴別・年齢別に紹介します。
【学歴別】
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学歴区分 |
受験者数 |
合格者数 (5科目到達・一部科目合格の合計) |
合格率 |
|
大学卒 |
24,987人 |
3,767人 |
15.1% |
|
大学在中 |
2,461人 |
646人 |
26.2% |
|
短大・旧専卒 |
685人 |
66人 |
9.6% |
|
専門学校卒 |
2,854人 |
360人 |
12.6% |
|
高校・旧中卒 |
3,015人 |
651人 |
21.6% |
|
その他 |
755人 |
272人 |
36.0% |
【年齢別】
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年齢層 |
受験者数 |
合格者数 (5科目到達・一部科目合格の合計) |
合格率 |
|
41歳以上 |
11,543人 |
972人 |
8.4% |
|
36~40歳 |
4,668人 |
669人 |
14.3% |
|
31~35歳 |
4,990人 |
887人 |
17.8% |
|
26~30歳 |
5,775人 |
1,131人 |
19.6% |
|
21~25歳 |
6,255人 |
1,511人 |
24.2% |
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20歳以下 |
1,526人 |
592人 |
38.8% |
学歴区分のうち最も人数が多いのは大学卒です。
年齢層でみると41歳以上が最も多いですが、20代という若年層の受験者も多くみられます。
幅広い年代の人が受験しているといえるでしょう。
働きながら税理士試験を目指す人の例
税理士試験を目指す人は、試験勉強に専念する人と働きながら勉強する人に分けられます。
難易度が高い試験ではありますが、科目合格制かつ一度合格した科目は生涯有効のため、働きながら少しずつ勉強する人も多くいます。
働きながら勉強を目指す人の場合、会計事務所や税理士法人で働いているケースが多いです。
仕事で役立つ知識や資格を得たい・将来税理士として独立したいといった目標が多くみられます。
また、会計事務所への転職に有利だからという理由で、税理士試験の科目合格を目指すケースも珍しくありません。
税理士試験でいくつかの科目に合格していれば、会計業界への転職でプラスに働きます。
特に必修科目である簿記論・財務諸表論と、選択必修の法人税法・所得税法は、高く評価される傾向です。
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税理士資格取得までの勉強時間とは
難関試験に向けた勉強の計画を立てる際は、必要な勉強時間の目安を把握しておくのが良いでしょう。
特に税理士試験は数年かけて5科目合格を目指すことになるため、各科目の勉強時間も考慮した上で勉強のスケジュールを立てることが大切です。
この章では税理士資格取得までに必要となる勉強時間について解説します。
5科目合格までの勉強時間目安
税理士試験は年単位という長期間の勉強が前提となります。
税理士資格取得、すなわち5科目合格までに要する勉強時間の平均は4000時間です。
最短でも2000時間、人によっては6000時間かかるケースもあります。
年数や試験を受ける回数などさまざまな要素によって左右されるため、あくまでひとつの目安です。
なお、5科目すべてに合格するまでにかかる年数は最短でも2年、平均4〜5年といわれています。
ひとつひとつの科目のボリュームが大きいため、1年ですべて合格するのは現実的ではありません。
科目ごとの勉強時間目安
続いて科目ごとの勉強時間の目安を紹介します。
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科目 |
勉強時間 |
|
簿記論 |
400~500時間 |
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財務諸表論 |
400~500時間 |
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法人税法 |
600~700時間 |
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所得税法 |
600~700時間 |
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相続税法 |
400~500時間 |
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消費税法 |
300時間 |
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酒税法 |
150~200時間 |
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国税徴収法 |
150時間 |
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住民税 |
200時間 |
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事業税 |
200時間 |
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固定資産税 |
250時間 |
なお、上記の勉強時間はいずれも合格までに最低限必要な勉強時間といえるでしょう。
より合格率を高める・上位の成績をおさめるためには、目安の2〜3倍程度の勉強時間が必要となります。
1科目あたりの勉強時間がトータルで1000時間を超えるケースも珍しくありません。
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勉強する科目を選ぶ際のポイント
税理士試験は合計5科目に合格する必要がありますが、そのうち税法の選択2科目は好きなものを選べます。
そして、同じ税法でも科目によって特徴や仕事で活かせる場面などが大きく異なります。
限られた時間の中で効率的に勉強を進めるには、自分に合う科目を選んで勉強することも大切です。
この章では勉強する科目を選ぶ際のポイントを2つ紹介します。
計算問題と理論問題の学習バランス
税理士試験は年単位という長期戦になるため、勉強スケジュールの計画が必要不可欠です。
ここでは、スケジュールの立て方について解説します。
税理士試験は、相対評価の試験なので合格率が高い科目でも、人気のある科目であれば合格者のレベルは高くなりがちと言えます。
周りの人より得点を獲得できるようになる必要があるため、計算と理論どちらが得意なのかで決定するのも重要です。
例えば、「簿記論」は計算100%なのに対して、「国税徴収法」は理論100%の試験となっています。
科目の内容を理解して、計算と理論のバランスを考えながら得意な科目を選択しましょう。
キャリア形成を視野に入れた科目選択
税理士試験は、税理士になるための試験であり、税理士資格を取得した後のキャリアまで考えていかなければなりません。
税理士としてどのように働いていくつもりなのかを考えて、キャリア形成に必要な科目選択がキャリアプラン実現の鍵を握ります。
税理士の中でも、公的な機関・一般事業会社・会計事務所や税理士法人などの勤務先によって、活用する知識が異なってくるので注意が必要です。
実務で活用する科目を選択していれば、就職や転職で有利に働くので慎重に検討しましょう。
税理士試験に向けた勉強スケジュールの立て方
税理士試験は年単位という長期戦になるため、勉強スケジュールの計画が必要不可欠です。
ここでは、スケジュールの立て方について解説します。
試験に向けた年間スケジュールを決める

まずは試験に向けた年間スケジュールを決めましょう。
税理士試験は毎年8月に実施されます。
試験日から逆算してスケジュールを立てていくのが効率的です。
試験の3〜4ヶ月前には、予想問題や過去問などの問題演習、苦手対策に集中できるのが理想です。
そう考えると、毎年4月頃までには全範囲を完了させておく必要があるでしょう。
1年に何科目勉強するかによってもスケジュールが変わります。
1年に1科目であれば、学習範囲を一通り終わらせた後、復習のためにもう一巡する時間を確保できる可能性が高いです。
しかし、1年に複数科目を受験する場合や勉強を始めるタイミングが遅い場合、復習のためにもう一巡する時間を取るのは難しいかも知れません。
この場合は学習範囲全体の勉強は一巡にし、知識の定着・理解のために問題演習の時間を多く確保するといった方法もあります。
受験する科目の種類や数、勉強を始める時期を考慮した上で、年間スケジュールを立てましょう。
1ヶ月・1週間に確保できる勉強時間を考える
1ヶ月・1週間に確保できる勉強時間を考えることも大切です。
確保できる勉強時間の量に合わせて、受験科目の種類や数、勉強の進め方を決めます。
1ヶ月に100時間、週に20~30時間ほどの勉強時間を確保できるのであれば、複数科目の勉強もできるでしょう。
一方で、1週間に確保できる勉強時間が20時間未満と短めの場合、複数科目の勉強は難易度が高くなります。
受験科目を決定しスケジュールを立てるためにも、勉強のために確保できる時間の洗い出しが必要です。
1日での時間配分を考える

最後に1日の時間配分を考えましょう。
勉強時間の長さそのものは同じでも、生活スタイルによって適切な時間配分は異なります。
たとえば仕事が終わるのが遅く夜に勉強時間をとるのが難しい場合、朝早く起きて勉強するのが良いでしょう。
逆に、終業時間が早い場合、仕事後の方がまとまった勉強時間を確保しやすくなります。
平日にあまり勉強時間が取れないため、休日に集中して勉強するケースもあります。
このように自身の生活スタイルや1日の流れを考慮した上で、1日の時間配分を決めるのがおすすめです。
税理士試験では勉強するべきことが多いため、多くの勉強時間を確保する必要もあります。
少しでも多くの勉強時間を確保する方法として、スキマ時間の活用が挙げられます。
たとえば電車通勤の場合、電車の中でテキストを読む・暗記を進めることが可能です。
ほかにも始業前・移動時間や待機時間・昼休み・家事と家事の間など、スキマ時間は多く存在します。
スキマ時間を無駄にせず上手く活用することが、勉強時間の確保・効率的な勉強のために大切です。
効率的に税理士試験の勉強を進めるコツ
難関試験に向けた勉強は、単に勉強量が多ければ良いわけではありません。
質の高い勉強をするためには、効率的かつ的確な方法で勉強をする必要があります。
特に税理士試験のような実質的には相対評価の試験の場合、ライバルよりも高い得点をとれるよう、質の高い勉強をすることが大切です。
この章では税理士試験に向けた勉強を効率的に進めるために押さえるべきコツを6つ紹介します。
確実に得点獲得できる問題を重視する
理解はとても重要ですが、合格できるかどうかはあくまでも本試験の得点が合格基準点を超えているかで評価されます。
出題されそうな問題を勉強する必要があり、実際に出題された過去問を参考にヒントを得ながら学習を進めるのが肝心です。
出題意図を探りながら、日々の勉強の中で着実に得点を獲得できるようになっていかなければならず、難しい問題を理解するよりも簡単な問題を間違えないようにすれば、点数は伸びていきます。
計算演習を行っていくと、少しずつ理解が深まり理論問題ができるようになってくる場合も多いです。
分からない問題を追い過ぎないように問題を取捨選択しながら、総合的に得点をあげられるように勉強を進めていきましょう。
アウトプットを怠らない
税理士の勉強でありがちなのが、テキストを読むなどインプットだけになり、アウトプットを怠ってしまうことです。
実際に問題を解きながらポイントを把握していく必要があり、効率的に問題を解くことを心掛けていかなければなりません。
理解しているはずなのに、実際の試験では手が止まってしまうのは、沢山の人が経験している問題です。
難しい問題との向き合い方、電卓の打ち間違いなど、実際に起こりうるミスは解いていかなければ気付けません。
出来る限り本試験の環境と同じ環境下で学習しておくと、当日自信を持って受験できるようになります。
問題集や過去問を日々解いていき、本試験が近づいてきたら専門学校の答案練習に参加して実践的な知識を獲得しておきましょう。
基礎と応用のバランスを意識する
コツコツ学習を行っていると、基礎が当たり前に感じられてしまい、復習を怠ってしまう場合も多いです。
相対評価の試験で、基礎的な問題が出題された時には、合格する他の受験生は必ず解いてくると言っても過言ではありません。
基礎問題は、合格するために得点しなければならない部分なので、必ず解けるようにして、苦手な論点をなくしていく必要があります。
応用問題に気を取られ過ぎると、基礎問題を疎かにしがちですが、配点は基礎問題のほうが高い可能性もあるので注意しなければなりません。
一方で、応用問題でも難易度が高すぎなければ他の受験生は解いてくるかもしれないので、基礎と応用のバランスを考えながら学習を進めることです。
基礎問題は、絶対に解けるように徹底して学習しておき、解けそうな応用問題は積極的にチャレンジしていきましょう。
必要な科目の勉強時間を多めに見積もる
必要な勉強時間は多めに見積もることをおすすめします。
税理士試験は合格基準点が60点と設定されていますが、実際は上位10~20%の人が合格となっており、実質的には相対評価性の試験です。
そのため合格のためには正答率60%を目指すのではなく、ライバルよりも上位の成績を取る必要があります。
ほかの受験者よりも良い成績を取るためには、その分多くの勉強時間が必要です。
また、仕事やプライベートの事情により、最初に想定したよりも勉強時間がとれないケースも少なくありません。
最初の段階で勉強時間を多めに見積もることで、計画の乱れにも対応しやすく、余裕を持った勉強ができるようになります。
柔軟なスケジュールを組む
税理士試験では勉強時間の十分な確保が必要ではあるものの、厳しすぎるスケジュールにしないことも大切です。
スケジュールが厳しすぎると少しのズレが大きな影響を与え、その後の計画を守れなくなる・修正が難しいといった恐れが大きくなります。
定期的に予備日を設ける・時間を長めに確保するなど、余裕を持ったスケジュールを設定しましょう。
余裕をもったスケジュールを組んだ場合でも、仕事や体調などさまざまな要因によって、想定通りに勉強できないケースが起こり得ます。
そのため、定期的にスケジュールの見直しや調整をする必要もあります。
1週間・1ヶ月・1年等、キリの良いタイミングでスケジュールを見直し、必要に応じて調整しましょう。
税理士試験は5科目合格までに最短でも2年、一般的には3〜5年程度かかります。
試験は年1回のため、不合格となった場合は翌年以降も勉強する必要があります。
このように税理士試験は、合格までに数年といった長い期間を要することが前提の試験です。
勉強を続ける覚悟をするためにも、長期戦を前提に計画や生活スタイルを確立した上で、柔軟なスケジュール調整を行うべきといえます。
税理士試験の勉強に関するよくある質問
最後に、税理士試験の勉強に関するよくある質問として以下の2つを紹介します。
- 税理士試験はどのような試験ですか?
- 税理士資格を取得するまでにどれくらいの勉強時間と期間が必要ですか?
気になることが残った状態では勉強に集中できない恐れがあります。
税理士試験の勉強に関する疑問や不安を解消した上で、本格的な勉強を始めましょう。
税理士試験はどのような試験ですか?
税理士試験は科目合格制の試験です。
11科目のうち必修2科目・選択必修1科目・選択2科目の計5科目に合格すると資格を取得できます。
平均科目合格率は15%強と難易度が高いです。
税理士資格を取得するまでにどれくらいの勉強時間と期間が必要ですか?
まとめ
税理士試験に合格するためには、年単位でのハードな勉強が必要です。
そのため、日々どれだけの勉強時間を確保できるか、現実的なスケジュールを立てられるかがカギとなります。
今回紹介したコツはいずれも大切ではありますが、少し意識するだけで押さえることができます。
税理士試験の勉強について詳しく解説してきましたが、今回触れていない部分についての疑問や不安をおもちの人もいるでしょう。
特に、試験勉強と並行して働く場合の職場選びや、合格後の就職先などについてお悩みの人が多いのではないでしょうか。
レックスアドバイザーズでは、税理士を目指す人や一部科目合格者、試験合格者に対する転職支援も行なっています。
税理士試験の勉強や転職について、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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この記事の監修者

人材業界経験20年以上。
大手派遣会社で16年勤務後、現職のレックスアドバイザーズにて会計業界(税理士法人・監査法人・コンサルティングファーム)出身者を中心としたキャリア相談・転職支援に従事。
個々の大切な価値観に寄り添った支援をしている。
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