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税理士になるには何年かかるのでしょうか。
税理士は、基本的には税理士試験に合格の上、実務経験を積まなければなれません。
税理士になりたい!試験を受けたい!と思っても、税理士試験の受験資格、難易度から合格に必要な期間など、気になることはたくさんあるでしょう。
大学院に進むことで科目免除が受けられるなど、税理士になるための時間を短縮する方法もあります。
税理士になるまでに要する期間や税理士登録の流れについて解説します。
税理士になるには何年かかる?税理士登録までの流れ
税理士になるには、原則として、税理士試験に合格する必要があります。
まず税理士試験から税理士になるまでの流れを解説しましょう。
税理士試験の概要
税理士試験は、税理士になるために必要な知識や実務能力を有するかどうかを判定する試験です。
「会計学に属する試験科目」「税法に属する試験科目」に分かれています。
例年8月に実施され、チャンスは年に1回のみです。
税理士試験の受験資格
令和5年から、税理士試験の受験資格に大きな変更がありました。
会計学に属する試験科目、「簿記論」「財務諸表論」は受験資格の制限が撤廃されたのです。
これにより、税理士を目指すための門戸が広がったと言えるでしょう。
また、税法に属する試験科目についても、学識、資格、職歴など、様々な分野の受験資格が定められ、いずれか一つの要件を満たせば、受験資格を有することになります。
例えば在学中の大学生や専門学生でも履修した単位数に応じて受験資格が得られ、挑戦が可能です。
また、社会人は実務経験が受験資格になることもあります。
国税庁による税法科目の受験資格は以下の通りです。
・学識による受験資格
- 大学、短大又は高等専門学校を卒業した者で、社会科学に属する科目を1科目以上履修した者 括弧 証明書類
- 大学3年次以上で、社会科学に属する科目を1科目以上含む62単位以上を取得した者
- 一定の専修学校の専門課程を修了した者で、社会科学に属する科目を1科目以上履修した者
- 司法試験合格者
- 公認会計士試験の短答式試験に合格した者
・資格による受験資格
- 日商簿記検定1級合格者
- 全経簿記検定上級合格者
・職歴による受験資格
- 法人又は事業行う個人の会計に関する事務に2年以上従事した者 括弧 証明書類
- 銀行、信託会社、保険会社等において、資金の貸付け・運用に関する事務に2年以上従事した者
- 税理士・弁護士・公認会計士等の業務の補助事務に2年以上従事した者
それぞれ証明書類の提出が必要になります。
引用出典:国税庁「税理士試験受験資格の概要」
税理士試験については、こちらの記事もチェック
税理士試験の試験科目
税理士試験の試験科目は全部で11科目あり、そのうち5科目に合格する必要があります。
試験科目は3種類に大別されます。
種類 |
特徴 |
該当する科目 |
必須科目 |
全受験者が受験・合格する必要がある科目 |
簿記論 財務諸表論 |
選択必須科目
|
2科目のうちいずれか1科目に合格する必要がある (2科目両方の受験も可) |
法人税法 所得税法 |
選択科目 |
原則として組み合わせは自由。 ただし消費税法または酒税法、住民税または事業税はいずれか一方しか受験できない。 (消費税法と酒税法両方の受験は不可) |
相続税法 消費税法または酒税法 国税徴収法 住民税または事業税 固定資産税 |
税理士試験の合格の基準
税理士試験の合格基準点は満点の60%です。
合格基準は国税庁の公式サイトに明記されています。
合格基準が明確に定められている以上、絶対評価の試験にみえると考える人も多いでしょう。
しかし税理士試験の合格率は会計2科目が20%前後、税法科目が15%と、毎年同じぐらいの水準を保っています。
試験の内容が難しい年も簡単な年も、合格率に大きな違いはありません。
したがって税理士試験は実質的には相対評価の試験であり、上位15〜20%が合格になるよう、配点が調整されていると考えられます。
正答率が60%を超えていても、配点が高い問題や多くの受験者が答えられる問題に回答できなければ、落ちてしまう恐れが大きいです。
なお、税理士試験の解答および配点基準は公開されません。
実務経験を経て税理士資格を得る
税理士登録には実務経験が必要です。
通算2年以上の実務経験が必須となります。
この実務経験には税務官公庁における事務のほか、その他の官公庁及び会社等における税務又は会計に関する事務が含まれます。
ただし、会計事務所で経理事務を行っていても、簿記の知識がなくてもできる簡単な事務や、電卓を使ってデータの入出力を行う簡単な事務は実務経験としてカウントされません。
試験に合格する前の期間のものであっても、実務経験として数えることができます。
税理士登録にかかる費用
税理士登録は、必要書類を提出するだけではできません。
登録の際は、日本税理士会連合会に登録手数料、そして、登録免許税を国税として納めなけばなりません。
さらに登録手数料5万円・登録免許税6万円のほか、各地域の税理士会への入会金などが必要です。
登録料については、こちらの記事もご覧ください。
税理士試験の受験科目を解説
税理士試験は科目別制です。
同時に5科目を受験する必要はありません。
1科目ずつ受験することが可能です。
科目合格は生涯有効ですので、時間がかかったとしても着実に合格へ近づくことができます。
会計科目について
「会計学に属する科目」は通称会計科目と呼ばれます。
- 簿記論
- 財務諸表論
の2科目です。
これは免除とならない限り、必修の科目になります。
h3変更 税法科目について
税法は選択科目です。
- 所得税法
- 法人税法
- 相続税法
- 消費税法
- 酒税法
- 国税徴収法
- 住民税
- 事業税
- 固定資産税
のうち、3科目を選びます。
ただし、所得税法又は法人税法のいずれか1科目は必ず選択しなければなりません。
チャレンジする科目の選び方
試験対策の手間を最小限に抑え、最短で試験に合格するためには「合格率の高い科目にチャレンジする」戦略が重要と考えられます。
ただし、税理士試験で選択した科目は、税理士としての経験に直結します。
科目の選び方には注意が必要です。
例えば、相続税法を選択科目にしたとしましょう。
相続税を主な業務とする会計事務所への就職に有利です。
どの科目を選択するかは、キャリア選択にも影響を与えます。
重要な問題となりますので「合格しやすさ」だけで科目を選ぶのは避けましょう。
数年後・数十年後にどういう税理士になりたいかも考慮してください。
税理士試験の科目についてはこちらの記事もご覧ください。
税理士試験の科目を知りたい!受験必須の科目や試験の内容などを解説
税理士とはどんな職業?
税理士は、主に税務関連の業務を行う専門家です。
クライアントにアドバイスとサポートを提供します。
会計事務所だけでなく、コンサルティング会社、事業会社で活躍している税理士もいます。
税理士の代表的な業務:独占業務
税理士の仕事内容として、まずは「税理士の独占業務」があげられます。
税理士の独占業務は
- 税務代理
- 税務書類の作成
- 税務相談
の3つです。
税理士法では、税理士以外がこの3つの業務を行うことを禁止しています。
税務代理
税務代理とは納税者に代わって所得税・法人税・相続税等の申告を行うことです。
また、税務調査があれば、納税者に代わって対応します。
税務書類の作成
税務書類の作成とは、所得税・法人税・相続税の申告に必要な書類を作成することです。
決算、確定申告など、繁忙期の税理士がかかわる主な業務になります。
税務相談
税務相談は、税務申告や書類作成に関する相談です。
税金の計算方法・税務手続き・節税対策等のアドバイスを行います。
税理士の活躍の場
税理士は、独占業務以外にもたくさんの仕事があります。
例えば、会計業務のサポート。
税務申告書の作成には、毎日の月次・四半期・年次の計算書類の作成が必要です。
税理士はこれらの業務をサポートします。
また、税理士の仕事には経営をサポートすることも含まれます。
融資を受けやすい事業計画書の作成などの「資金調達」や、売上アップやコスト削減をサポートする「利益アップ」に関するものなどがあります。
スムーズなM&Aや事業承継をサポートするのも税理士の仕事です。
税理士の仕事についてはこちらの記事もご覧ください。
税理士がおすすめの理由
税理士をおすすめする理由の一つとして、税理士の平均年収の高さがあげられます。
税理士には個人で開業している税理士と勤務税理士がいます。
独立開業した税理士は業務をすべて自分で処理できるようになり、平均年収は高い傾向です。
また、一般のサラリーマンよりも、勤務税理士の方が年収は高いとされています。
年収を考えると、税理士は魅力的な仕事であると言えます。
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税理士合格まで何年かかる?試験の攻略法を解説
通常、税理士試験受験者は数年にわたって試験を受け続けます。
公式の発表はなされていません。
中には試験に合格するまでに3〜5年かかった人もいれば、7〜10年かかるという人もいます。
こうしたバラつきは、税理士試験の合格に期限がないことも原因のひとつです。
一度合格すれば失効はありません。
公認会計士試験と大きく違う点です。
ただし、合格率はどの科目でも低いので、勉強時間が必要なことも確かでしょう。
2〜3年での合格であればかなり早いほうです。
通常は5年以上かかると言われ、そのつもりでいることをおすすめします。
勉強に集中して短期で合格をめざす場合
繰り返しになりますが、試験に合格しただけでは税理士にはなれません。
大学生や卒業したばかりなど、勉強に集中の上、1年の準備期間で全科目を受験、合格する人もいないわけではないのです。
ただし、税理士になるには、2年以上の実務経験が必要です。
実務経験を積む2年間が、税理士になるための最低年数と言えます。
働きながら試験勉強をして合格をめざす場合
働きながら税理士になるには、最低でも3~5年ぐらいはかかると考えましょう。
税理士法人や会計事務所で働けば、サポートを得られます。
働きながら最短で税理士の資格を取りたいのであれば、会計事務所で働きながら科目合格を取っていくのも方法の一つです。
会計事務所での経験が実務経験と認められれば、全科目取得後、すぐに登録することも可能になるでしょう。
大学院で学んで免除を受ける方法
税理士試験には大学院で学んで免除を受ける方法があります。
修士課程等の科目試験免除制度は、試験の各分野(税法科目、会計科目等)において、いずれかの科目のいずれかの試験において基準点を取得した者 (いわゆる一部科目合格者) が、修士号に関連する研究について国税審議会による認定を受ける制度です。
国税審議会からの認定を受けると、税法の場合は残りの2科目、会計の場合は残りの1科目に合格したものとみなされ、試験は免除されます。
費用はかかりますが大学院に進学することもひとつの方法と考えられるでしょう。
科目免除については、こちらの記事もご覧ください。
専門学校vs.独学
独学で税理士になりたい、と誰しも一度は考えるでしょう。
しかし、税理士試験は、非常に難しい国家試験です。
試験に合格するには多くの学習時間がかかります。
独学で合格することは非常に困難と言えます。
通常の受験生は専門学校に通い、サポートを受けながら勉強に挑むことになります。
専門学校には通学もあれば通信もあります。
独学とまではいかなくとも自力で学習する割合を調整することも可能ですし、自分にあった勉強方法を見つけていってください。
社会人として働きながら税理士をめざすには
税理士試験は、難易度が高いことで知られます。
仕事をしながらであれば勉強する時間も限られ、合格までの道のりを遠く感じるかもしれません。
しかし、働きながら勉強して合格した税理士もたくさんいます。
働きながら税理士試験に合格するコツをご紹介します。
税理士試験勉強を応援してくれる事務所がある
会計事務所や税理士法人には、税理士を志す社員がたくさんいます。
そのため、周囲の目を気にすることなく試験対策に集中できます。
先述したように、税理士試験に合格しても税理士登録をしなければ税理士として働くことはできません。
独立開業を考えている方は、会計事務所でできるだけ多くの実務経験を積むことをお勧めします。
特に「税務調査」は教科書で学ぶのは難しいものです。
クライアントとの信頼関係を築く上で最も重要な課題であり、間近で見ることで大切な経験となるでしょう。
税理士事務所勤務についてはこちらの記事もご覧ください。
試験前休暇・勉強会・科目合格手当について
税理士試験等の受験のための特別試験休暇があったり、勉強会を実施したり、サポートしてくれる会計事務所もあります。
税理士学科試験合格者には手当が支給されるケースもあるので、働く環境はしっかりと選びましょう。
残業が多くて試験勉強できないときは
働きながら合格するには、税理士試験についてよく理解している職場で働くことが非常に重要です。
必要な場合は転職した方が良いかもしれません。
会計事務所に特化した転職エージェントを利用すれば、税理士試験に詳しい会計事務所を見つけることができます。
よくある質問
最後に、税理士資格についてよくある質問3つを紹介します。
税理士資格の取得をスムーズに進めるため、税理士資格についての疑問や不安は早めに解消しておきましょう。
試験に対する理解を深めるだけでなく、税理士資格についての情報収集もしておくのが理想です。
合格までに必要な勉強時間の目安は?
5科目合格までに必要となる勉強時間の平均はトータルで4,000時間程度です。
すべての科目に1発合格した場合でも2,000時間はかかるでしょう。
受験回数によっては合計6,000時間を超える可能性もあります。
なお、各科目の合格に必要な勉強時間の目安は以下の通りです。
- 必須2科目・相続税法:400~500時間
- 選択必須2科目:600~700時間
- 消費税法:300時間
- その他税法科目:150~200時間
複数回受験をする場合はさらに長くなります。
理系出身でも税理士試験を受けられる?
理系出身でも受験資格を満たしていれば税理士試験を受けられます。
理系出身の人が満たしやすい受験資格として以下の例が挙げられます。
- 大学等を卒業した者で、社会科学に属する科目を1科目以上履修している
- 大学3年次以上の学生で、社会科学に属する科目を1科目以上取得し、社会科学に属する科目を含め計62単位以上を取得している
- 日商簿記検定1級または全経簿記検定上級の合格者
- 会計事務所等での2年以上の実務経験がある
社会科学に属する科目を履修していない場合や資格取得に向けた勉強をするのが難しい場合でも、職歴要件を満たせば受験可能です。
税理士資格取得後の主な就職先は?
税理士資格取得後の主な就職先として、会計事務所(税理士法人)が挙げられます。
前述のように、税理士資格を得るためには会計事務所等での2年以上の実務経験が必要です。
そのため税理士登録をする前から会計事務所に勤めるケースが多くみられます。
試験に合格し実務要件を満たして税理士登録をした後も、税理士としての経験を積むために会計事務所で働く人が多いです。
同じ会計事務所に所属し続けるか、税理士登録を機に転職するかは、人によって異なります。
ある程度の実務経験を積んだ後は退職し、独立開業をするケースも多いです。
まとめ
税理士試験は難易度が高く、最低でも数年勉強をする覚悟が必要です。
また、税理士試験に合格しただけでは税理士登録はできません。
「実務経験2年」という要件も考慮する必要があります。
税理士になるためには、試験の受け方や実務経験の準備など、工夫が必要なことがたくさんあります。
仕事と勉強を両立するには、よりよい環境が非常に重要なことであると言えるでしょう。
今回の記事が皆様の税理士に対する理解を深めるきっかけとなれば幸いです。
Profile レックスアドバイザーズ
公認会計士・税理士等の有資格者をはじめとする会計人材専門特化した人材紹介会社。
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