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上場企業の財務諸表について解説!非上場企業との違いや読み方のコツなど

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書類をチェックするスーツの男性

財務諸表とは企業の財政状態や経営成績を表す書類です。

財務諸表を上手く活用・分析することで、企業の状態を適切に把握できます。

 

財務諸表を上手く活用するためには、財務諸表の意味や使い方などを知ることが大切です。

特に上場企業と非上場企業を比較すると異なる点が多いため、両者の違いを押さえたうえで読む必要があります。

 

この記事では上場企業の財務諸表を見る際に押さえるべきポイントを解説します。

財務諸表を公開する理由や非上場企業のものとどう違うのかなどについても取り上げました。

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上場企業が財務諸表を公開する理由

財務諸表について理解をするためには、財務諸表の役割や必要性について知る必要があります。

はじめに上場企業が財務諸表を公開する理由を解説します。

 

投資家向けに企業価値を公開するため

上場企業が財務諸表を公開する理由のひとつは、投資家に向けて企業価値を公開するためです。

投資家は財務諸表から企業の情報を読み取り、投資する価値があるかを判断します。

 

財務諸表では、企業の財政状態や経営成績が数字で明確に示されています。

数字は言語と違い、作成者側の考えによる影響を受けません。

すなわち余計な情報を一切加えることなく、必要な内容のみを提示できるのです。

 

投資家が企業価値を確認するためには、主観が混ざっていない正確なデータが必要です。

そのためすべての投資家に株式を公開している上場企業には、財務諸表を公開する義務もあります。

取引先に自社の経営状況を把握してもらうため

財務諸表を活用する関係者とは、投資家だけではありません。

取引先や取引先候補に経営状況を把握してもらうためにも、財務諸表が有用です。

 

多くの企業は信頼に値する企業を取引先として選びます。

大きな取引をする場合は互いに多額の売掛や買掛が生じますし、取引は数年に渡ることもあります。

この信頼を得る方法のひとつが、事業や経営に問題がないと証明することです。

財務諸表の情報を分析すれば、経営状況が安定していて信頼に値するかを判断できます。

 

現在の経営状況が良い場合でも、将来の経営も安心とは限りません。

しかし将来のことは誰にもわからないからこそ、予測のためには財務諸表のように明確なデータが必要です。

 

就活生に自社について知ってもらうため

財政状態や経営成績は、直接的な関係者以外が確認することもあります。

その代表的な例が、就職や転職時の企業研究です。

財務諸表は求職者の情報収集にも使われます。

 

とくに新卒の就職活動では、大学で企業分析をレクチャーしているところもあるほどです。

これから初めての社会人生活を踏み出す就活生は、長く活躍できるかという観点で、安定性・財政状態などに問題がない企業を選ぶ人が多くいます。

財務諸表から読み取れる情報が応募先候補を決める要因となるケースもあるのです。

 

なお安定などを重視しない場合であっても、企業について理解を深めるうえで財務諸表は有用です。

自分がどのような仕事をしているのか、その仕事は世の中にどんな影響を与えているのかというのは、働くうえでのモチベーションにつながります。

上場企業を検討する就活生の多くは、財務諸表を確認しています。

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上場企業と非上場企業の財務諸表に見られる違い

上場企業と非上場企業では、財務諸表にさまざまな違いが見られます。

どのような違いがあるか具体的な内容を解説します。

使用される勘定科目

上場企業と非上場企業の財務諸表には、使用される勘定科目が違うケースが多いです。
より正確に表現すると、上場企業の財務諸表では、非上場企業では見られない勘定科目が使われることがあります。

上場企業でよく見られる勘定科目の例は以下の通りです。

  • 自己株式

非上場企業では株主関係や相続などの問題がない限り、自己株式勘定はほとんど使用されません

  • 非支配株主持分

非上場企業の多くは株式の譲渡制限をかけているうえ、少数株主としての株式保有はリスクが大きいです。

そのため非支配株主が存在しないことが多く、結果としてこちらの科目も使われません。

  • 法人税等調整額

税効果会計を適用した場合に発生する科目です。

税効果会計が義務付けられているのは上場企業および規模が大きな非上場企業のみです。

そのためほとんどの非上場企業では使用されません。

 

上場企業と非上場企業は性質や適用される義務が違うため、使用される勘定科目にも違いが発生します。

 

項目数

上場企業は非上場企業に比べ、必要な会計処理が多いです。

そのため財務諸表に使われる項目数も多くなります。

 

また上場企業は正確な情報を伝えるために、勘定科目を細かく使い分けることが求められます。

そのため自然と、財務諸表の項目数が増えるのです。

 

上場企業と非上場企業の財務諸表を比較すると、項目数の違いをより実感できるでしょう。

桁にも注意

上場企業は比較的規模が大きいため、各勘定科目の金額も大きくなりがちです。

そのため財務諸表において、百万円といった桁を使うケースが多く見られます。

 

規模の小さい非上場企業では、円や千円といった桁を使うケースが多いです。

そのため非上場企業の感覚で上場企業の財務諸表を読むと、桁を勘違いしたまま読み進めてしまうリスクがあります。

 

桁の違いによって金額はまったく違うものになります。

基本的なこと、当たり前と思われるかもしれませんが、使われている桁に注意して必ず確認が必要です。

上場企業の財務諸表を読むうえでのポイント

財務諸表は読み方を知らなければ上手く活用できません。

上場企業の財務諸表を読む際に最低限押さえておきたいポイントを解説します。

売上高が大きければ安定しているとは限らない

売上高は損益計算書の最初に記載されており、金額が大きいほどインパクトも感じます。

しかし売上高が大きいからと行って、経営が安定しているとは限りません。

 

たとえ同業他社より売上高が大きくても、赤字決算が何年も続く企業は経営に問題があると考えられます。

また負債額が大きい企業も、社会的信頼が低くなります。

売上高はあくまで基準のひとつであり、大きさが安定の程度と比例するわけではありません。

 

財務諸表を読むときには、さまざまな情報を確認する必要があります。

まずは財務諸表で分析できる基本事項を理解するべき

財務諸表の各勘定科目が示す内容がわかっても、そこから何を分析できるかわからなければ適切な活用はできません。

そのため財務諸表で分析できることについて、基本事項の理解をしておくべきです。

 

財務諸表のうち貸借対照表では、自己資本比率や流動比率などから財政状態などを分析できます。

損益計算書の各利益は、経営の安定性などを分析するうえで有用です。

キャッシュフロー計算書を使えば、資金の使い方や安定性などが求められます。

 

財務諸表から何が分析できるか押さえておけば、データをより適切に使えるようになります。

上場企業特有の科目も押さえておく

前述したように上場企業の財務諸表には、非上場企業では見られない特有の科目が多いです。

そのため上場企業ではどのような科目が使われているか知っておけば、よりスムーズに財務諸表を読めるようになります。

 

勘定科目の中には、名称だけでは意味がつかめないものが少なくありません。

しかし言い換えれば、科目を押さえておけば理解できる内容が増えるということです。

 

上場企業の財務諸表には、非上場企業では見られない勘定科目が存在します。

そのため財務諸表を読むのであれば、事前に勘定科目について調べておくと効率的です。

 

まとめ

上場企業には財務諸表を公開する義務がありますが、その理由として、投資家へ企業価値を伝えるためというものが挙げられます。

取引先や候補先が契約の検討をする際に、経営状況確認のために財務諸表を確認することも多いです。

就活生が企業研究のために活用するケースも見られます。

 

上場企業と非上場企業の財務諸表では、使われる勘定科目が違います。

また上場企業の財務諸表は非上場企業と比べると、項目数が多いです。

使われている桁が違うことも多いため、桁に注意が必要です。

 

財務諸表を読む際には、売上高が大きいといって安定しているとは限らない点に注意します。

財務諸表を上手く使うためには、そもそも何が分析できるか把握しておく必要があります。

上場企業特有の勘定科目についても押さえておきましょう。

 

上場企業の財務諸表はさまざまな場面で使われるため、事前に理解を深めておくと役立ちます。

Profile レックスアドバイザーズ

公認会計士・税理士等の有資格者をはじめとする会計人材専門特化した人材紹介会社。
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