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非上場企業の財務諸表を確認する方法とは?

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財務諸表には、企業のお金に関するあらゆる情報が掲載されています。

就職や転職にあたっては、その企業の財務諸表は是非確認しておきたいものです。

 

ですが、日本の企業数のうち9割以上を占める非上場企業は、財務諸表を投資家に向けて一般公開することは多くありません。

 

そんな非上場企業の財務諸表を確認する方法はあるのでしょうか?

今回は、そんな場合の確認方法をいくつかご紹介します。

財務諸表とは

まずは財務諸表についてのおさらいをしていきましょう。

財務諸表の概要

財務諸表とは、企業の一年間の活動をまとめ、現在の財政状況を表したものです。

その性質からも、よく「企業の成績表」や「健康診断書」に例えられることが多いですね。

財務諸表にもさまざまあり、それらを挙げると

 

  • 損益計算書
  • 貸借対照表
  • キャッシュフロー計算書
  • 株主資本等変動計算書

 

などが挙げられます。

特に

 

  • 損益計算書
  • 貸借対照表
  • キャッシュフロー計算書(以下CF計算書)

 

の3つは、特に会社の経営状況を正確に理解するために欠かせない資料として「財務三表」と呼ばれています。

では、それぞれの資料から読み取れる情報について見てみましょう。

 

財務諸表で分かること

3つの表の記載内容は、それぞれ次の通りです。

 

  • 損益計算書→会社の1事業年度の事業報告、損益計算をしたもの
  • 貸借対照表→会社が持っている資産、負債、資本金をまとめたもの
  • C/F計算書 →会社の実際のお金の流れを表したもの

 

それでは1つ1つ確認してみましょう。

 

損益計算書

損益計算書は「会社の1年間の成績表」に例えられることも多く、その資料には次のことが書かれています。

 

  • 売上高(一年間の総収入)
  • 原材料費(原材料の仕入れ値など、製品作成に直接関わる値段)
  • 売上総利益(粗利益とも言います)(売上高ー原材料費)
  • 販売費・一般管理費(人件費、水道光熱費など、製品販売に間接的に関わる値段)
  • 営業利益(売上総利益ー販売費・一般管理費)
  • 営業外損益(家賃収入や配当金など、本業以外の事業で得た損益)
  • 経常利益(営業利益ー営業外損失+営業外収益)
  • 特別損益(不動産売却など、突発的に発生した損益)
  • 税引前当期純利益(経常利益ー特別損益)
  • 税引後当期純利益(税金を引いた後の純利益)

 

特に営業利益は、その会社が本業でしっかりと利益を出せているかが分かる非常に重要な項目です。

 

貸借対照表

貸借対照表は、会社が持っている資産、負債、資本が書かれています。

これらは更に細かく

 

資産

  • 流動資産(現金など)
  • 固定資産(不動産など)

負債

  • 流動負債(買掛金など)
  • 固定負債(長期借入金など)

資本金

 

に分けることができます。

 

「流動資産」と「固定資産」の違いは、簡単に言うと「直ぐに使えるお金かどうか」です。

現金や売掛金など、今すぐ使える資産が流動資産に当たります。

 

対して建物、土地、ソフトウェアなどの固定資産はすぐに現金化することが難しく、お金の流動性が低いため「固定資産」と呼ばれています。

「流動負債」と「固定負債」の違いは、返済しなければいけない期間で変わります。

 

買掛金、短期借入金などの場合、基本的に1年以内で返済する必要があり、これらの項目が「流動負債」と言われています。

対して長期借入金など、完済に1年以上を要するものは「固定負債」と呼ばれるのです。

 

損益計算書が「会社の成績表」に例えられるのに対して、貸借対照表は「会社の健康診断表」に例えられることがあります。

損益計算書と違い、貸借対照表はこれまでの会社の業績の結果が全て反映されているからです。

ですから、財務諸表を参照する際には、ついつい損益計算書の売上や利益ばかりに目が行きがちですが、本当に大切な情報はこちらの貸借対照表に詰まっていると言ってもいいでしょう。

特に資本金/資産で求められる「自己資本比率」は、会社の体力を測るための特に重要な項目だと言われています。

貸借対照表に目を通す際には、是非確認しておきたい重要事項です。

 

CF計算書

CF計算書では、会社のお金の実際の流れが書かれています。

例えば売掛金は、実際にはまだお金が振り込まれていなくても「売上」として扱われます。

 

そうすると、まだお金は貰っていなくても損益計算書には計上されてしましますよね。

すると、実際のお金の流れと損益計算書上のお金の流れは異なってくることになります。

 

そんな時、実際のお金の流れを正確に把握するのがCF計算書なのです。

CF計算書には、主に次の項目があります。

 

  • 営業活動によるCF(売掛金、買掛金などの実際の支払い状況)
  • 投資活動によるCF(不動産や株式の売買など)
  • 財務活動によるCF(借入金の返済や新規借入など)

 

営業活動によるCFは+、投資活動によるCFはーの方が良いと言われています。

 

これら3つの財務諸表を上手く読み解くことで、企業の正確な情報を読み解くことができるのです。

 

上場・非上場企業の財務諸表を確認するには?

財務諸表を読み解くことで、企業の重要な情報を読み解けることが分かりました。

それでは、そんな財務諸表の照会の仕方を見ていきましょう。

上場企業の場合

上場企業は、投資家に向けて全ての財務諸表を開示する義務があります。

企業のHPを見れば「決算短信」「有価証券報告書等」という項目があり、そこから確認することが出来ます。

 

また、証券会社でも参照することが出来ます。

証券会社の場合は分かりやすくまとめている場合があるので、こちらの方が見やすいかもしれません。

非上場企業の場合

非上場企業の場合、財務諸表開示義務のある上場企業と違って一般公開している企業は多くありません。

したがって、証券会社を参照しても勿論掲載されていませんし、企業のHPを見ても財務諸表を公開していない場合が多々あります。

 

ですが、自分が企業に就職するとき、その会社がどんな財政状況なのかは気になりますよね。

非上場企業でも、財務諸表を確認できる場合がいくつか存在します。

 

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非上場企業の財務諸表を確認する方法

非上場企業が公開していなくても、財務諸表を確認する方法がゼロというわけではありません。

ここでは3つの方法をご紹介します。

有価証券報告書

有価証券報告書の開示義務は、基本的に上場企業に課されています。

ですが、非上場企業の場合でも、一定の要件を満たす場合は有価証券報告書の提出が義務付けられます。

例えば

 

  • サントリー
  • JTB

 

これらの企業は上場はしていませんが、要件を満たすために有価証券報告書を開示する必要があります。

 

開示されているかどうかを確認するためには

EDINET (edinet-fsa.go.jp)

等にアクセスし、照会したい企業名を入力すると参照することができます。

決算公告

全ての株式会社は、定時総会終了後に決算を公告することが義務付けられています。

その公告方法は官報、日刊新聞、企業HPから選択します。

 

公告義務を怠ると罰金が発生するこの制度ですが、実情としては少なくない企業が公告を行っていません。

制度として浸透していないこと、費用がかかるために体力のない企業には公告が難しいことなどが理由に挙げられます。

 

公告義務に従っている場合、官報のデータベースで参照出来ることがあります。

 

会社四季報

会社四季報の未上場版を見ると、財務諸表程の正確な情報ではありませんが、多数の企業情報を参照することができます。

 

2021年版の四季報の目次を見てみると

 

「事業内容・業績・役員・取引先・採用数など多数の項目を収録した約4,200社、コンパクトに企業情報をまとめた約8,900社、合計約13,000社の未上場企業情報を掲載しています。」

出典:会社四季報・未上場会社版2021年版 | 東洋経済STORE (toyokeizai.net)

 

とありますので、企業情報を知るにはうってつけの資料だと言えるでしょう。

 

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まとめ

今回は、非上場企業の財務諸表の確認の仕方をお伝えしてきました。

財務諸表は、その会社の財務状況を正確に確認できる非常に重要な資料です。

就職や転職の際に確認できる場合はぜひ参照していきたいですね!

 

Profile レックスアドバイザーズ

公認会計士・税理士等の有資格者をはじめとする会計人材専門特化した人材紹介会社。
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