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M&Aアドバイザーの役割と資格の重要性|必要スキル・おすすめ資格・選び方を解説

更新日:2025.06.05

会計士の転職お役立ち情報

M&Aアドバイザーの役割と資格の重要性|必要スキル・おすすめ資格・選び方を解説

この記事では、以下の内容を解説します。

  1. M&Aアドバイザーの役割や必要なスキル
  2. M&Aアドバイザーが資格を取得するメリット
  3. M&Aアドバイザーに関する資格5つとそれぞれの特徴や試験内容、取得の難易度
  4. お客様目線でM&Aアドバイザーを選ぶ際の、M&Aアドバイザーの役割と資格の重要性について

M&Aアドバイザーの役割と必要スキル:資格の重要性

まずはM&Aアドバイザーに資格は必要なのかを解説します。

業務内容や求められる知識について取り上げました。

 

M&Aアドバイザーに必須の資格はあるのか?

結論としては、M&Aアドバイザーとして働くうえで必須となる資格はありません。
そのため資格を持ってない人であってもM&Aアドバイザーとして働くことは可能です。

M&A業務は特定の資格所有者のみしかおこなえない、いわゆる独占業務というものではありません。
高い能力が必要なことは事実ですが、資格の有無に関わらず誰でもM&Aアドバイザーになることができます。

M&Aアドバイザーの業務内容と求められる専門知識

M&Aアドバイザーの主な業務内容は以下のとおりです。

  • M&Aの戦略立案・サポート
  • デューデリジェンスの実施(企業価値の算出やリスク調査をし、買収に適した企業かどうかを検討する作業)
  • 企業同士の交渉サポート
  • 資金調達や対外公表などM&A遂行過程のサポート
  • スムーズなポストマージャーインテグレーション(組織統合)のサポート

M&Aアドバイザーは、M&Aの始めから終わりまでを一貫してサポートします。

幅広い専門知識が必要な理由

M&Aアドバイザーとして働くために資格は必要ありませんが、幅広い専門知識は必要です。
たとえば企業価値の算出では財務や税務の知識、交渉や取引執行のサポートではM&Aの事例や業界に対する知識が求められます。

 

幅広い専門知識が求められるため、M&Aアドバイザーとして働くには勉強が必要不可欠です。
資格がなくても働くことはできますが、知識を得るためには勉強は必要ということを認識しなければなりません。

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M&Aアドバイザーの資格取得メリット:キャリアアップと信頼性向上

M&Aアドバイザーは誰でもなることができるとお話しました。
しかし、資格を持つことで得られるメリットは確かに存在します。

 

M&Aアドバイザーが資格をとるメリットについて紹介しましょう。

クライアントからの信頼獲得:資格の重要性

M&Aアドバイザーが資格を持っていることで、クライアントからも信頼を得ることができます。
資格が必要ないということで、極論をいえば誰でもM&Aアドバイザーを名乗ることが可能です。

M&Aは企業のあり方を大きく変えるため、しっかりとした知識を持ったM&Aアドバイザーに担当してほしいと考えるクライアントが多いでしょう。
そのためM&Aアドバイザーとしての知識を証明できる資格を持っている人は、クライアントからも信頼を獲得しやすいです。

信頼の獲得はスムーズな業務を進めるために重要であり、その過程において資格はかなり効果的です。

転職活動や昇格での優位性:知識証明の効果

資格を持っていることで客観的に知識の証明ができるため、転職活動や昇格で有利です。

その人がどれほどの知識を持っているかというのは、外から簡単に判断できるものではありません。
しかし資格は一定の知識を持った人のみが取得できるため、資格を持っている人は知識を持っていると簡単に把握できます。

転職活動においては自身の知識を明確に証明する材料として、資格が非常に有用です。
また企業内での評価においても、資格をひとつの基準としているケースがあります。

資格を持っていることで、スムーズに昇格できる可能性が高いです。

業務への意欲向上:自信と専門性の相乗効果

資格を持っていることで自信を得ることもできます。
資格は自信につながり、自信があることでより意欲的な業務ができる可能性が高いです。

資格は他者へ一定以上の知識やレベルを証明できる確実な手段です。
資格を取得することで他者から評価を得やすくなるため、自信につながる場面は増えます。

 

また資格の取得は簡単ではありません。
ほとんどの場合は計画的な勉強や継続した努力が必要です。
その努力を経て乗り越えることも、自信につながる理由のひとつです。

2025年注目のM&Aアドバイザー向け資格:詳細比較

M&Aアドバイザーの仕事に活かせる資格として多数の選択肢があります。
資格によって試験内容や難易度、取得するメリットなどが大きく異なるため、各資格の特徴を押さえることが大切です。
その上で、自分の希望やリソースに合わせて取得を目指す資格を選びましょう。
今回はM&Aアドバイザー向け資格を5つ紹介します。

各資格の違いや特徴の比較一覧表

M&Aスペシャリスト資格:概要・試験内容・メリット

M&Aスペシャリスト資格とは、日本経営管理協会(JIMA)が運営・認定する資格です。

M&Aの実務に特化した資格であり、M&Aコンサルティングの現場で必要となる専門知識やスキルが問われます。
M&Aスペシャリスト資格の取得により、実務に活かせる知識やスキルを持っている旨の証明が可能です。

受験料と取得難易度

JIMAでは検定試験の運営だけでなく、M&Aスペシャリスト資格の取得支援を目的とした公開講座を開催しています。

公開講座および検定試験の費用は以下の通りです。

公開講座受講料:77,000円(税込)
検定試験受験料:11,000円(税込)
受講+試験受験料:88,000円(税込)

 

M&Aスペシャリスト検定試験の合格率は公開されていませんが、以下の理由から難易度は高いと考えられます。

  • M&A実務に必要な知識が問われる
  • 「M&A実務」「職業倫理」「法務」「会計」「税務」と試験範囲が幅広い
  • 一般知識問題と論述問題の両方が出題されるため、単純な暗記ではなく深い理解が求められる

 

なお、検定試験の合格基準は正答率60%以上とされています。

キャリアへの影響と評価

M&Aスペシャリストの資格取得により、M&A実務に必要な知識を有する旨を証明できます。
そのため転職や昇級・昇格等で有利になる可能性が高いです。

また、M&Aスペシャリストの資格取得と同時にJIMAへ入会することになります。
M&A関連の研修やセミナーに参加できる機会が増えるため、さらなるスキルアップや人脈作りが期待できます。

JMAA認定M&Aアドバイザー:業界認知度と特徴

JMAA認定M&Aアドバイザーとは、一般社団法人日本M&Aアドバイザー協会(JMAA)が運営・認定する資格です。
M&Aに関する幅広い支援や活動を行うJMAAが運営することから、M&Aアドバイザー関連資格の中でも特に高い認知度を誇ります。

JMAAにはいわゆる資格試験が存在しません。
養成講座を受講し、JMAAから正会員としての入会を認められることで資格を付与される仕組みです。

 

試験内容と合格基準

前述のように、JMAA認定M&Aアドバイザーには資格試験が存在しません。
JMAA認定M&Aアドバイザー資格を取得するまでのステップは以下のようになります。

  1. M&A実務スキル養成講座を受講し、修了試験を受ける
  2. 理事会の審査を受け、JMAA正会員として入会する
  3. JMAAより「JMAA認定M&Aアドバイザー」資格が付与され、認定証書が発行される

1の養成講座を受講して修了試験に合格、JMAA規程の入会資格を満たすことで資格が付与される仕組みです。

養成講座は公式テキストを使用するものの、座学ではなく実践的な内容と公表されています。

講座や修了試験の具体的な内容、JMAAが定める入会資格は公開されていません。
そのためJMAA認定M&Aアドバイザー資格を取得するまでの詳しい難易度は不明となります。

資格取得後のキャリアパス

M&A実務スキル養成講座はM&Aアドバイザーだけでなく、以下のような職業の人も受講しています。

  • 公認会計士・税理士
  • 中小企業診断士・経営コンサルタント
  • 弁護士
  • 不動産会社
  • その他一般事業会社

 

JMAA認定M&Aアドバイザー資格はM&A事業の実務に携わるだけでなく、関連する他の職業でも活かせるでしょう。

M&Aアドバイザー以外のキャリアパスも幅広く存在します。

M&Aエキスパート認定資格:専門性と市場価値

M&Aエキスパート認定資格とは、一般社団法人金融財政事情研究会と日本M&Aセンターが共同で認定するM&A関連資格の総称です。

M&Aエキスパート認定資格は以下3つの資格が存在します。

名称 特徴
事業承継・M&Aエキスパート 事業承継および中小企業M&Aに関する基本的な知識が問われる
事業承継シニアエキスパート 事業承継実務に関する最難関資格
M&Aシニアエキスパート 中小企業M&A実務に関する難関資格

受験要件と試験概要

M&Aエキスパート認定資格に該当する3つの資格試験について、それぞれの受験要件や試験概要を紹介します。

 

名称

受験要件

試験概要

事業承継・M&Aエキスパート

特になし

【試験日・試験場所】

CBT方式で全国のテストセンターで通年実施。好きな日時に予約可能


【出題形式】

四答択一式30問、総合問題10問


【合格基準】

100点満点中70点以上


【受験手数料】

7,700円(税込

事業承継シニアエキスパート

事業承継シニアエキスパート養成スクール(Web講義)修了後に認定試験の受験資格を付与される

【試験日・試験場所】

CBT方式で全国のテストセンターで通年実施。好きな日時に予約可能


【出題形式】

四答択一式50問


【合格基準】

100点満点中60点以上


【料金】

Web講義受講料:132,000円(税込)

CBT方式試験受験料:11,000円(税込)

M&Aシニアエキスパート

M&Aシニアエキスパート養成スクール(Web講義)受講。修了後に認定試験の受験資格を付与される

認定後のメリットと活用法

M&Aエキスパート認定資格に該当する3つの資格は、いずれもM&Aの専門知識を証明できる資格です。

特にM&Aシニアエキスパートと事業承継シニアエキスパートは高度な知識を求められるため、資格取得により転職や昇格で有利になるでしょう。

公認会計士資格:M&Aにおける重要性と活用

公認会計士は会計・財務分野におけるトップクラスの国家資格です。
M&A事業ではデューデリジェンスや企業価値の算定など高度な会計知識を求められる場面が存在します。

そのためM&A仲介会社に在籍する公認会計士も多くみられます。

試験内容と難易度

公認会計士の試験は短答式試験と論文式試験の2つに分けられます。
それぞれの試験科目は以下の通りです。

 

試験の種類

試験科目

短答式試験

  • 財務会計論
  • 管理会計論
  • 会社法
  • 監査論

論文式試験

【必須科目】

  • 会計学(財務会計論・管理会計論)
  • 監査論
  • 企業法
  • 租税法

【選択科目】

以下のうち1科目受験

  • 経営学
  • 経済学
  • 民法
  • 統計学

 


公認会計士試験は国家資格の中でも最難関クラスといわれています。
令和6年度の公認会計士試験の合格率は以下の通りでした。

 

合格率

短答式第1回

約10.8%

短答式第2回

約9.5%

論文式試験

約36.8%

総合

約7.4%

 

合格までに必要な勉強期間は最短でも1.5年~2年、勉強時間は最低でも2,500時間、基準は3,500時間程度といわれています。

 

M&A分野での公認会計士の役割

M&A分野で公認会計士が活躍する場面として以下の例が挙げられます。

  • 企業価値の算定(バリュエーション)
  • デューデリジェンスの実施
  • M&A戦略の立案サポート
  • ストラクチャリング
  • PMI(買収後の経営統合作業)の支援

M&A事業では会計・財務の高度な知識が必要となるため、公認会計士はさまざまな場面で活躍できます。

 

関連記事:公認会計士になるには?試験や就職の流れと受験資格について解説
公認会計士の資格取得の流れとは?試験内容や受験資格、難易度をわかりやすく解説

税理士資格:M&Aでの税務戦略と必要性

税理士とは税務分野における唯一の国家資格です。

税務相談、税務代理、税務書類の作成という3つの独占業務を有します。
税務分野だけでなく、関連性のある会計、経理、経営などのアドバイスやサポートを行う税理士も多いです。

受験から取得までのプロセス

税理士資格を取得するまでの大まかな流れは以下の通りです。

  • 税理士試験に合格する
  • 通算2年以上の実務経験を積む
    (税理士試験合格前の実務経験も就労実績として認められる)
  • 税理士登録申請を行い、税理士会・日税連における調査を経て登録
  • 税理士試験の合格だけでなく実務経験の要件も満たす必要があります。

 

税理士試験は科目合格制を採用しており、11科目中5科目合格することで税理士となる資格を有する者として認められます。

科目は必須科目、選択必須科目、選択科目が存在し、それぞれ以下の通りです。

 

【必須科目】
※いずれも合格が必須

  • 簿記論
  • 財務諸表論

【選択必須科目】
いずれか1科目の合格が必須 ※2科目受験・取得も可能

  • 法人税法
  • 所得税法

 

【選択科目】

  • 相続税法
  • 消費税法または酒税法
  • 国税徴収法
  • 住民税または事業税
  • 固定資産税

M&Aアドバイザーとしての税理士の強み

税理士資格がM&Aアドバイザーとしての仕事に活かせる理由として以下の2つが挙げられます。
M&A手法によって発生する税金が異なるため、正しい申告・納税のためには税務の専門知識が必要である
M&Aでは多額の税金が発生する可能性があり、税理士による節税サポートの需要が高い

税務申告のサポートや節税のアドバイスは税理士の独占業務のため、M&A事業において税理士は高い需要を誇ります。

 

関連記事:税理士とはどんな仕事?資格試験内容から求人の探し方まで詳しく解説!
税理士になるには?受験資格や資格を得るまでの流れを紹介

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成功するM&Aアドバイザーの選び方:4つの重要ポイント

M&Aアドバイザーとして選ばれる存在になるためには、お客様がどのような基準でM&Aアドバイザーを選んでいるかを知ることが大切です。
顧客はM&Aアドバイザーをどのように選んでいるか、ポイントとなる要素を4つ紹介します。

1. 実績と資格のバランス:信頼性の指標

M&Aアドバイザーを選ぶ上で重視するポイントの1つとして、実績と資格のバランスが挙げられます。
M&A実務の実績が豊富でも資格は持っていない、高度な資格を持っているけれど実績は少ない、どちらも好印象にはつながりにくいです。

実績と資格のどちらか一方に注力するのではなく、両方をバランス良く伸ばしていくのが理想といえます。

2. 専門性と対応力:依頼内容との適合性

一口にM&Aといっても、実施する手法、業界、規模などのさまざまな要素によって進め方や注意するべき点は異なります。
そのため専門分野や得意分野を確認した上でM&Aアドバイザーを選ぼうとするケースも多いです。
お客様に選ばれるM&Aアドバイザーになるためには、専門性や強み、対応範囲をわかりやすくアピールするのが良いでしょう。

3. コミュニケーション能力:円滑な取引の鍵

M&Aの事前準備から契約締結までには最短でも数ヵ月、長ければ数年単位の時間を要します。
企業とM&Aアドバイザーも長い付き合いになるのが前提な上、経営の根幹に関わるような相談を行う場面も多いです。
そのため、真摯に対応してくれるか、パートナーとして信頼できるか等を判断するためにコミュニケーション能力も重視されます。

4. 費用対効果:透明性のある料金体系

M&Aアドバイザーへの依頼には高額の費用がかかるため、料金体系も重視されます。
料金体系をチェックする際に重視されるポイントは以下の3点です。

  • 料金体系が明確でわかりやすいか
  • 追加料金が発生するケースについて詳しく記載されているか
  • 着手金は発生するか、金額はどのように計算するか

 

M&A手数料はさまざまな項目があり複雑になりやすい分、透明性が重視される傾向です。

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まとめ

M&Aアドバイザーには必須の資格がなく、誰でもM&Aアドバイザーとして働くことが可能です。
しかし資格取得により、信頼性の向上、転職活動や昇格で有利になる、自信につながり業務に対する意欲が高まる等のメリットを得られます。

一口にM&Aアドバイザーに関連する資格といっても多数の選択肢があり、資格によって特徴や難易度が大きく異なります。
M&Aアドバイザーとして資格取得を目指すのであれば、それぞれの特徴を押さえて比較検討した上で自分に合うものを選びましょう。

Profile レックスアドバイザーズ

公認会計士・税理士等の有資格者をはじめとする会計人材専門特化した人材紹介会社。
■公認会計士・税理士・経理の転職サイトREX
https://www.career-adv.jp/
■株式会社レックスアドバイザーズ
https://www.rex-adv.co.jp/

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