転職お役立ち情報

本記事で説明する内容は以下のとおりです。
- 税理士法人の定義、および税理士が共同で組織的に業務を行う目的
- 税理士事務所や監査法人との違い、税理士法人の社員構成と責任
- 税理士法人の主な業務内容と、定款に定めることで行える付随業務
税理士法人とは、複数の税理士が共同で設立する組織です。
企業や個人に対し、税務代理、税務書類の作成、税務相談といった専門的なサービスを提供します。
個人の事務所との違いは、組織的な継続性と規模のメリットを活かすことです。
これにより、質の高い総合的な税務サービスを実現します。
この記事では、税理士事務所・監査法人・会計事務所との違いや、税理士法人の働き方などを解説します。
税理士法人とは
税理士法人とは、税理士が共同で設立した、組織的に税務サービスを提供する専門家による法人です。
まずは税理士法人の概要から説明します。
個人税理士事務所・監査法人・会計事務所とはどう違うのか、税理士法人での働き方について詳しく解説します。
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税理士法人の定義と設立された背景
税理士法人は、2001年の税理士法改正により導入されています
これにより、税理士個人が行っていた業務を法人形態で組織的に行えるようになりました。
業務提供の安定性、継続性、および高度な業務への信頼性を確保し、納税者の利便性向上を目的としています。
主な特徴としては「法人形態の準用」として、 法律上、合名会社に準じた法人形態となっています。
また、社員は全員が税理士であること、社員の数は2人以上であることという要件があります。
税理士法人の組織形態と社員の責任
税理士法人は、法律上、合名会社に準じた法人形態をとることが大きな特徴です。
このため、合名会社のルールが多く当てはめられています。
税理士法人の社員(構成員)は、全員が無限責任社員となります。
もし法人が借金や損害賠償といった債務を負い、法人の財産だけでは支払いきれない場合、社員個人がその全額に対して無限に責任を負うということです。
この強い責任体制が、法人の業務に対する高い信頼性を支えています。
原則として、税理士法人の社員は全員が法人の代表権と業務執行権を持ちます。
つまり、社員全員が対外的には「会社の社長」のような権限を持つことになります。
代表権は定款(法人のルールブック)によって特定の社員に限定できますが、業務執行権を制限することは原則としてできません。
なお、組織運営や設立、解散手続きなどについては、税理士法に定めがない事項について会社法の規定が準用されます。
この組織形態は、事業会社に比べると特殊です。
社員間の信頼関係に基づき、組織全体として高い責任感を持って業務に取り組むことを求めるものと言えるでしょう。
税理士法人の社員構成と条件
税理士法人は、税理士が集まって作る組織です。
不正なく厳正な業務を行うために、その構成員(社員)には厳格な条件が設けられています。
まず、社員になれるのは税理士のみです。
経営に参画し責任を負う立場である社員になれるのは、税理士資格を持つ人に限定されています。
また、税理士法人の設立には税理士が2人以上社員としていなければ設立・維持できません。
もし社員が1人だけになってしまった場合、一定期間内に補充できなければ解散しなければなりません。
これは組織としての維持条件です。
現在税理士として業務停止処分を受けている人など、税理士だとしても社員として認められない人もいます。
こうした条件は、税理士法(第48条など)によって細かく規定されています。
税理士法人は高い公共性と信頼性が求められる法人です。
そのため、組織のメンバーに対しても厳しい適格性が求められます。
事務所の設置と社員の常駐ルール
個人の税理士事務所は、原則として主たる事務所以外に事務所を設けることが認められていません。
一方、税理士法人は主たる事務所とは別に「従たる事務所」(支店)を設置することが可能です。
税理士法人にすることで、広いエリアでのサービス提供や事業拡大が容易になります。
ただし、税理士法人が従たる事務所(支店)を設置する際には、社員の常駐義務が生じます。
その事務所の所在地を含む区域に設立されている税理士会の会員である社員を常駐させなければなりません。
責任ある社員の配置が義務付けられているのです。
税理士法人は支店展開がしやすいというメリットがありますが、同時にその地域に責任を持つ社員の配置が厳格に求められていると覚えておきましょう。
社員の競業禁止ルール
税理士法人の社員は、他の税理士法人の社員となることは厳しく禁止されています(税理士法第48条の14)。
なぜ、兼任が禁止かというと、利害対立を回避するためです。
一人の人間が複数の税理士法人の意思決定に関わることで、法人間の不必要な利害対立が発生する可能性があります。
また、依頼者との信頼保護も理由のひとつです。
契約した法人の社員が競合する別の法人にも属しているとしたら、依頼者はどう感じるでしょうか。
情報の機密性や業務の公平性に対する信頼関係を損なうことにつながりかねません。
この競業禁止規定は、強行規定(法律が強制的に適用される規定)です。
たとえ他の社員全員の同意があったとしても、この禁止規定が解除されることはありません。
税理士法人の健全性と公共性を保つため、法人内部の意思にかかわらず、兼任は厳しく禁止されています。
全ては依頼者と法人の信頼関係を守るための重要なルールです。
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税理士法人の業務内容
税理士法人では、記帳代行や税務申告などは基本的な業務です。
それに加え、相続・承継支援、経営アドバイスなど、幅広いサービスを提供しています。
税理士法人が担う業務の種類と、その全体像について解説します。
税理士法人が行う業務の全体像
前提として、税理士法人が行える業務は、税理士業務(税務代理、書類作成、税務相談)に限定されます。
税理士業務に付随する業務(記帳代行、巡回監査など)も行えますが、あくまで定款に定めた範囲内に限られることに注意しましょう。
また、財務書類の調製やコンサルティングなど、税理士に準ずるとみなされる業務も可能です。
ただし、不動産賃貸業など、税理士業務と無関係な業務は行えません。
法人の専門性と公共性を維持するために設けられた制限です。
記帳代行
記帳代行業務は、税理士法人の重要な日常業務の一つです。
経理業務を自社で行うのが難しい中小企業や個人事業主などが顧客となります。
クライアントから預かった領収書や請求書などに基づき、会計データの作成を代行する業務です。
この記帳代行業務は、税理士法において税理士業務に付随する業務と位置づけられています。
そのため、税理士法人がこの業務を行うためには、あらかじめ法人の「定款」にその旨を明確に定めている必要があります。
定款に記載がないまま記帳代行を行うことはできませんので、注意が必要です。
税務申告
税理士法人のコア業務は税務申告です。税理士法第2条第1項業務に該当します。
税理士法人は、法人・個人双方の税務申告業務を専門的に担います。
税務代理は、納税者に代わって、税務署への申告や申請・届出を行う業務です。
税務調査の際に立ち会い、税務当局と交渉・折衝するといった業務も含まれます。
続いて、税務書類の作成。
決算書に基づき、法人税、所得税、消費税などの税務申告書を作成し、税務署に提出する一連の業務です。
これは税理士だけが行える独占業務です。
税務相談も重要な業務のひとつとなります。
税金の計算方法、節税対策、税法上の判断など、税務に関する具体的な疑問や相談に対し、専門的な知識に基づいて助言を行います。
巡回監査
巡回監査とは、税理士法人が顧問契約を結んだ企業や個人事業主に対して、定期的に訪問し、その企業の会計資料や会計記録を確認する業務です。
主に毎月、または決算期には重点的に行います。
この業務は、顧問先の帳簿や資料の「適法性」「正確性」「適時性」を確保することが目的です。
監査を通じて会計処理の誤りや問題点を早期に発見した場合、すぐに指導を行います。
これにより、企業は適正な月次決算と期末決算の実現ができるのです。
巡回監査は、税理士業務(2条1項業務)に付随して行う業務(財務書類の作成や記帳代行など)に該当し、税理士法第2条第2項業務として位置づけられています。
記帳代行と同様に、巡回監査業務も税理士法人の定款にその旨が明確に定められていなければ行えないことに注意しましょう。
その他の付随業務・関連業務
税理士法人は、依頼者の利便性向上のため、社会保険労務士業務の一部を行うことも認められています。
ただし税理士法人が行えるのは、社会保険労務士法で規定されている業務のうち、「その他財務に関する事務」に限定されます。
具体的には、給与計算に伴う社会保険料の計算や、労働保険の年度更新手続きの一部などです。
税理士業務と密接に関連し、財務会計と切り離せない事務が該当します。
税理士法人が税理士業務に付随する形でのみ、関連業務を提供できるという趣旨です。
純粋な労務管理業務については、税理士法人は行うことができません。
こちらは、専門家である社会保険労務士の独占業務となります。
税理士法人の業務範囲には明確な制限があるという点に留意が必要です。
税理士法人は何が違う?税理士事務所・監査法人・会計事務所との比較
税理士法人はよく、税理士事務所、監査法人、会計事務所と混同されがちです。
どう違うのか、会社の携帯や仕事内容についてそれぞれ解説します。
税理士事務所と税理士法人の違い
税理士業務を行う形態として、「税理士事務所(個人経営)」と「税理士法人(組織経営)」の二つがあります。
それぞれ特徴と提供できるサービスに違いがあるので、確認しておきましょう。
|
比較項目 |
税理士事務所(個人経営) |
税理士法人(組織経営) |
|
設立主体 |
開業税理士(税理士個人) |
2名以上の税理士(社員税理士) |
|
責任形態 |
税理士個人が無限責任を負う |
法人が責任を負い、社員税理士は無限責任を負う |
|
業務の継続性 |
税理士個人の能力や健康状態に左右されやすい |
組織として存続するため、継続性が高い |
|
支店展開 |
原則として主たる事務所以外に事務所を置けない |
従たる事務所(支店)を設置できる |
|
提供サービス |
業務範囲は税理士個人に限定される |
複数の専門性を持つ社員を集め、組織的なサービスを提供しやすい |
税理士法人は、複数の税理士が共同で設立・運営します。
組織化によって、サービスの幅と質を高め、より幅広く、高度な専門的サービスが提供しやすくなります。
また、組織全体として業務を引き継ぐことが可能になり、事業の継続性も高まります。
クライアントにとっては、大きな安心感につながるでしょう。
監査法人との違い
税理士法人の主な目的は税務です。
一方、監査法人の主な目的は会計監査です。
企業が作成した財務諸表が適正であるかを第三者の立場でチェックし、投資家や金融機関などの利害関係者にその信頼性を保証します。
対象となる顧客と業務範囲、関わるクライアントや業務の性質も違います。
税理士法人の主な顧客は中小企業から大企業、個人事業主、相続人などです。
監査法人は主に上場企業や、法律で監査が義務付けられている大会社をクライアントとします。
監査法人は「社会のインフラ」として上場企業の数字を保証することが業務です。
税理士法人はというと、「ビジネスの伴走者」として、より幅広い企業や個人の税務全般を支える役割を担います。
会計事務所との違い
会計事務所は俗称であり、一般に会計事務所と呼ばれている会社は、税理士事務所であるケースが多いです。
会計事務所と税理士法人の違いは、税理士事務所と税理士法人の違いとほとんど同じです。
税理士法人で働くにはどうしたらよい?
税理士法人で社員(役員)として経営に参画し、責任ある立場で働くには、税理士資格の保有が必須です。
資格がない場合でも、税理士の業務をサポートする補助スタッフとしては働けます。
実務経験を積みながら、プロフェッショナルを目指すといった働き方が可能です。
税理士法人には、資格の有無や合格科目数、これまでのキャリアに応じた多様なポジションが存在します。
ここでは、税理士法人での働き方やキャリアの選択肢について解説します。
税理士資格を持っている場合の働き方
税理士資格を保有している人が税理士法人で働く場合の、主な立場や業務の進め方・規模別のキャリアについて解説します。
まず、資格保有者が税理士法人に属する場合、法人に属する税理士として、登録区分の変更が必要です。
法人の規模によって、得られる経験や業務スタイルは大きく異なるので注意しましょう。
BIG4に代表される大手では、組織が完全に分業化されており、「国際税務」「組織再編」「資産税」など、特定の分野に特化した業務に携わることが多くなります。
専門性を高めることができ、上場企業などの大規模案件に携わるチャンスも豊富です。
一方、中堅・小規模税理士法人では1人の税理士が担当する範囲が広い傾向です。
法人税務から個人の確定申告、経営相談まで幅広い実務経験を積むことができます。
また経営者と直接対話する機会が多いのも特徴です。
オールラウンダーとしてのスキルが磨けると言えるでしょう。
税理士法人は個人事務所と違い、組織全体で責任を共有します。
チームで業務をカバーし合えるのは、大きなメリットです。
複数の税理士が在籍しているため、高度なノウハウを共有できます。
難解な事案に直面した際も内部で意見交換や相談が可能であり、自身の知見を広げやすい環境です。
資格がない場合・簿記資格のみの場合の働き方
税理士法人の社員(役員)になるには税理士資格が必須です。
資格がない場合や日商簿記などの会計資格のみを保有している場合でも、税務スタッフやアシスタントとして勤務は可能です。
記帳代行・会計ソフトへの入力、税務申告書の作成補助、税務署に提出する各種届出書の作成・事務などが主な業務になります。
税理士試験の科目合格者や、現在資格取得を目指して勉強中の人にとって、税理士法人は最高の学習環境といえます。
参考書で学んでいる知識が、実際の顧客の帳簿や申告書でどのように適用されているかを肌で感じられますし、多くの税理士法人では、職員の資格取得をバックアップする体制が整っています。
試験直前の休暇付与や定時退社の推奨、自習室の用意などが一例です。
また、税理士登録には「2年以上の実務経験」が必要ですが、試験勉強と並行して経験を積むことができます。
合格後の登録がスムーズになります。
未資格からのスタートでも、正確な事務処理能力や顧客とのコミュニケーション能力があれば業務は不可能ではありません。
現場で培った知見は、試験勉強にも大きなアドバンテージとなるでしょう。
税理士法人に法人化するメリット
個人税理士事務所から「税理士法人」へと組織を変更することは、単なる形態の変化というだけではありません。
主なメリットを解説します。
まず、法人格を持つことによる、社会的信用の向上が挙げられます。
大企業や上場企業の中には、コンプライアンスや事業継続性の観点から「個人事務所ではなく法人としか契約しない」という規定を設けているケースも少なくありません。
法人化することで、より大規模な案件を受注するための強力な武器となります。
先ほども解説しましたが、個人の税理士事務所は、税理士法により一箇所しか事務所を置けません。
税理士法人には「従たる事務所(支店)」の設置が認められているので、拠点を増やして広域のニーズに応えたり、特定の地域に特化したサービスを展開したりすることが可能です。
組織として福利厚生を整え、明確なキャリアパス(昇進制度)を提示できるようになります。
優秀な人材が集まりやすくなり、複数の税理士が在籍することで、ベテランのノウハウを若手に継承する仕組みも作りやすくなるはずです。
チーム体制で顧客をサポートでき、人材育成とサービス品質の安定を同時に実現できます。
税理士法人の設立手続きの流れ
ここまで、税理士法人は、合同会社という特殊な会社形態の会社であると説明してきました。
税理士法人は、その主たる事務所の所在地において設立の登記を行うことで成立します(会社法第48条の9)。
税理士法人の設立手順について解説します。
1. 定款の作成
税理士法人を設立する場合、会社のルールについて定めた定款(ていかん)を作成しなければなりません。
定款には、
- 絶対的記載事……必ず記載しなければならない事項
- 相対的記載事項……記載しなければ効力を生じない事項
- 任意的記載事項……社員になろうとする税理士が任意に定められる事項
という3つの要素を記載します。
税理士法人を設立する場合には、絶対的記載事項について記載しなければなりません。
税理士法人が設立の際に記載しなければならない絶対的記載事項は次のとおりです。
- 目的
- 名称
- 事務所の所在地
- 社員の氏名及び住所
- 社員の出資に関する事項
- 業務の執行に関する事項
※業務を執行する権限は税理士法人の社員全員にあり、その権利義務を制限することはできません。
※税理士法人は、税理士でない者に税理士業務を行わせてはなりません。
2. 税理士法人の設立登記
すでに説明したように、税理士法人は、主たる事務所の所在地において設立の登記をすることによって成立します(税理士法第4 条の9)。
定款の作成・認証、出資金の払込みその他設立に必要な手続きが完了したあと、主たる事務所の所在地において登記を行うことで、税理士法人として認められます。
3. 日税連への届出
設立登記をした税理士法人は、税理士法第4条の6第3項の規定によって、税理士会の会員となります。
日税連への届出は、登記の日から2週間以内に届けなければならないことになっていますので注意してください。
まとめ
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公認会計士・税理士等の有資格者をはじめとする会計人材専門特化した人材紹介会社。
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この記事の監修者

約15年間転職支援業務に従事。
事業会社の正社員のキャリア支援を行った後、直近5年間はレックスアドバイザーズで会計士・税理士の支援を中心に活動。
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