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監査法人の数とは?今後の推移についても予測します

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監査法人は会計監査やアドバイザリー業務など、会計分野における高度なサポートを中心に実施する法人です。

上場企業などに会計監査が義務付けられているため、監査法人は常に一定の需要を誇ります。

 

社会的に高い必要性を持つ監査法人ですが、日本国内にどれほどの数が存在するのでしょうか。

規模別の監査法人数や、地域による偏りについても分析する上では興味深い内容です。

 

本記事では監査法人について、数という面からお話を進めます。

監査法人に興味のある方はぜひお読みください。

監査法人の数 ー規模別編ー

平成28年に発表された公認会計士・監査審査会によるモニタリングレポートによると、平成28年3月末時点の監査法人数は全体で214でした。

その中でも規模別に分けて詳しい数を確認します。

大手・準大手監査法人

大手監査法人とはBIG4(四大監査法人)に当てはまる監査法人です。

「上場会社を概ね 100 社以上監査し、かつ常勤の監査実施者が 1,000 名以上の監査法人」と定義されており、呼び名のとおり4法人が当てはまります。

 

準大手監査法人に明確な定義はありませんが、大手監査法人に当てはまらないものの、比較的大規模かつ多数の監査を実施する法人を指します。

平成28年時点では6法人が準大手監査法人の対象でした。

 

このように大規模と呼べる監査法人は、大手4法人と準大手6法人、計10法人です。

監査法人の数全体の1割未満となります。

 

※なお準大手監査法人のひとつであった優成監査法人は、平成30年に別の法人と合併し消滅しています。

本記事では平成28年時のデータを基にお話するため準大手監査法人を6と扱いますが、現在とは異なるためご注意ください。

中小規模の監査法人

続いては中小規模の監査法人です。

 

監査法人の全体数から大規模の監査法人数を除いた数が、中小規模の監査法人数となります。

したがって平成28年時点のデータでは、204法人が中小規模に該当します。

比率としては95%ほどの監査法人が中小規模です。

 

 

監査法人の話で多く話題に上がる法人は規模が大きい傾向ですが、中小規模の監査法人が圧倒的な数を占めます。

監査法人以外でも監査をするケースはある?

監査対応を行うのは、監査法人だけではありません。

会計監査を実施する個人事務所も存在し、モニタリングレポート内では中小規模と合わせて「中小規模監査事務所」と扱われています。

 

そもそも監査法人の定義は以下のとおりです。

「監査法人は、監査証明業務を組織的に行うことを目的として公認会計士が共同して設立した法人をいい、社員には5人以上の公認会計士を含む。」

 

すなわち5名以上の社員公認会計士がいない組織が監査業務を行う場合、監査事務所と呼ばれます。

 

監査を行う会計事務所数について詳細なデータはないものの、会計事務所の総数から考えると、決して少ない数ではないと考えられます。

監査法人の数 ー地域別編ー

続いては監査法人の数について、地域別での解説です。

地域によって監査法人の数に大きな偏りがみられます。

東京が圧倒的多数

日本公認会計士協会に登録している監査法人の数を使って確認します。

今回は2021年10月末時点のデータを用いました。

 

会員として登録している監査法人の数は合計267です。

そのうち東京会だけで172と圧倒的な数を誇ります。

 

東京会の監査法人が占める割合としては、全体の64%以上です。

東京はさまざまな企業の本店・拠点が位置する地域ですが、地域会に登録する監査法人の集中率も高いといえます。

都市部ほど数が増える

東京以外の地域にも監査法人が点在します。

他の地域においても、大都市のある地域ほど監査法人の数が多い傾向です。

 

東京会の次に数が多いのは近畿会であり、その数は35です。

大阪といった大都市が含まれているため、数の多さにも納得できます。

続く東海会の14も、愛知(名古屋)のような大都市が含まれています。

 

他にも複数の監査法人がありますが、狭い範囲に数が集中しているのは、数が3の神奈川県です。

監査法人の性質的な理由から、都市部に多く位置すると考えられます。

監査法人の数が少ない地域とは

都市部に監査法人が集中する一方で、監査法人の数が少ない地域も存在します。

 

東北会は複数の県を含んでいますが、監査法人の数は3です。

北陸会も1であり、いわゆる地方に位置する地域は少ない傾向にあります。

北海道会は広大な土地を持つものの6、沖縄会も1と少ない数です。

 

なお発表されている中で唯一0の地域が埼玉会です。

東京や神奈川への通いやすさから、埼玉県で監査法人を設立するメリットがそれほど大きくないためと考えられます。

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監査法人の数は今後どう推移するのか

業界の将来性を考える際は、企業数などの推移を予測するのが有用です。

監査法人の数が将来的にどう推移するのか考えてみます。

近年大きな変動はない

前提として数年の間、監査法人の数にそれほど大きな変動はありませんでした。

平成24年から平成28年の監査法人の推移は以下のとおりです。

※すべて3月末時点のデータです。

 

  • 平成24年:213
  • 平成25年:214
  • 平成26年:216
  • 平成27年:219
  • 平成28年:214

 

変動は大きくて5であり、大きな動きはないといえます。

監査法人の数自体は、よほどのことがない限りほとんど変動しないと考えられます。

高い需要があるため減少の可能性はかなり低い

今後の動きですが、監査法人の数が大きく減少する可能性は低いでしょう。

その理由として、監査法人が請け負う業務や性質が挙げられます。

 

最初に少し触れたように、監査法人の主な業務である会計監査は、上場企業などにおいて義務付けられているものです。

そのため監査法人は常に高い需要があり、日本全国で必要とされています。

 

会計監査は公認会計士の独占業務であるため、監査法人や公認会計士がいなければ実施できません。

 

監査法人でなくとも、公認会計士が個人で監査を請け負うことも可能です。

しかし規模の大きい企業の監査では、ある程度の人手が必要なため、監査法人に依頼するケースが多くみられます。

 

監査が必要なくなるなど、よほど大きな変化がない限り、監査法人の減少は考えにくいです。

なお増えすぎても需要と供給が合わなくなるため、監査法人数の大幅な増加の可能性も低いです。

就職・転職の競争率はどうなのか

監査法人の数自体はそれほど変化しないと考えられます。

そのような状況が続くと仮定した場合、就職・転職の競争率に何らかの影響はあるのでしょうか。

 

監査法人へ就職する人の多くは、公認会計士もしくは公認会計士試験の合格者です。

かつて公認会計士試験の合格者が多くなりすぎてしまい、競争率が非常に高い時期がありました。

しかし以降は合格者の数が適度なバランスを保っているため、極端な競争率にはなっていません。

 

合格者数の変動が小さく、公認会計士の需要が常にあるため、就職・転職の競争率に特別な影響は出ていません。

今後も監査法人の数・合格者数の数ともに大きな変動がない限り、競争率の極端な高まりは心配する必要ないと考えられます。

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まとめ

平成28年3月末時点の監査法人数は全体で214、そのうち大手・準大手と呼ばれる大規模の法人数は10です。

それ以外の監査法人数が204で、全体の95%を占めます。

個人で運営し監査業務を実施する監査事務所も存在するため、監査事務所の数自体はさらに多いと考えられます。

 

監査法人は大都市に集中する傾向ですが、中でも東京会に属する監査法人が圧倒的で、全体の64%以上が集まる状態です。

他にも近畿会や東海会、神奈川会など、都市部が含まれる地域ほど監査法人が多くみられます。

東北会や北陸会など、地方と呼ばれることのある地域は、会員として登録している監査法人の数が少ない傾向です。

 

監査法人の数は、毎年ほとんど変動がない状態です。

常に一定の需要があるため、監査法人の数が減少、あるいは大幅な増加をする可能性は低いと考えられます。

 

監査法人の数・公認会計士の合格者数ともに大きな変動がない限り、転職の競争率にもそれほど変化はないでしょう。

 

監査法人の数について参考になれば幸いです。

Profile レックスアドバイザーズ

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