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非常勤監査役の役割と仕事内容を解説
監査役の目的と役割
①監査役とは
監査役とはなんでしょうか。
監査役とは、株主総会で選任される会社法上の役員です。
主な役割は、取締役の職務執行を監査する役割を担っています。
取締役が行っている職務に対して、不正がないかを独自に調査し、取締役会や株主総会で報告したり、不正行為差止請求の権限を持ちます。
監査役の目線があることで、特に代表取締役が独断できない経営判断をしないための抑止力となっています。
②監査役の役目
監査役の役目は、監査役監査基準に記載があります。
「株主の負託を受けた独立の機関として取締役の職務の執行を監査することにより、企業の健全で持続的な成長を確保し、社会的信頼に応える良質な企業統治体制を確立する義務を負っている」(監査役監査基準2条1項)
この記載内容から、監査役は、第三者的な立場から、企業が健全な経営判断や、業務執行を行っているかを監査することで、企業が株主や投資家からの信頼を得るだとわかるでしょう。
また、監査役は上場企業だけでなく中小企業にも適正なコーポレートガバナンス(企業統治)体制の確立、コンプライアンス(法令遵守)が求められ、監査役にはそれを担保する役割を期待されています。
③監査役の重要性
監査役は、近年その重要性が注目されてきています。
その背景には、上場企業による不正会計の件数が増加傾向にあることが挙げられます。
2019年度は70件以上の上場企業による不正会計処理問題が発生しています。
また、2020年度も50件以上と高い推移にあり、監査役による第三者の目線での監査がより一層重要視されています。
監査役は、その業務の重要性から、上場企業における子会社管理の観点からも重要視されています。
前述の通り、上場企業による不正会計問題について、子会社での不正会計も少なくありません。
近年では、上場企業の経理部員が、子会社の状況を把握するために子会社の監査役となるケースも増えています。
このように、監査役は単なる形式上の役割ではなく、独立した第三者的な立場から監査意見を述べる重要なポジションです。
監査役の常勤非常勤の違い
①常勤監査役の仕事内容
常勤監査役とは、他に常勤する必要がある職務についておらず、その会社の営業時間中はその会社の監査役としての職務についている監査役のことをいいます。
つまりは、その企業の監査役として専任している監査役が常勤監査役となります。
法律上禁止はされていませんが、複数の会社の常勤監査役を兼任することはできないとされています。
②非常勤監査役の権限
常勤監査役以外の監査役が非常勤監査役になります。
実務上は、取締役会や監査役会に出席するために月に1,2回は会社に出社することが多いようですが、それ以外で企業に出社することは少ないです。
なお、常勤監査役と非常勤監査役の権限と責任の範囲に違いはありません。
③常勤監査役と非常勤監査役の関係
基本的に常勤監査役と非常勤監査役に密接な上下関係があるということはありません。
あくまで監査役は、第3者的な立場から企業の業務執行が正しく実行されているかを監査する立場です。
その業務範囲と責任に明確な差はありません。
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常勤・非常勤監査役の責任と報酬
①常勤監査役の報酬
常勤監査役の報酬は企業の規模にもよりますが、一般的に500~1,000万円程度になります。
これは非常勤監査役と比較すると高い報酬となっていますが、これは常勤監査役が非常勤ではなく常勤で業務に従事しているため、単純に業務期間が長いから報酬が高くなっているだけです。
非常勤監査役と比較して時間単価が突出して高いというわけではありません。
②非常勤監査役の報酬
非常勤監査役の報酬は、一般的に100~500万円程度と言われています。
これは、単純に常勤監査役と比較して業務に従事する日数が、常勤監査役と比較して少ないことが要因です。
また、近く予定されているCGコードの改訂などでは監査役の半数以上が社外監査役であることが盛り込まれる予定になっています。
③非常勤監査役の将来性
非常勤監査役は、過去その名前だけで勤務実態がないなど定年後の天下り的なポジションのイメージが残っていました。
ただし、近年では上場企業による不正会計事件など監査役による監査責任などの重要性が注目されているため、名ばかりの監査では通用しなくなっています。
そのことからも、非常勤監査役の役割や重要性は注視されていくことでしょう。
まとめ
監査役は、一般の従業員からすれば何をしているかわからないポジションです。
ただし、その監査という役割は非常に重要な役割を担っている、本来その立場は豊富な知識や経験を有した人がなれるポジションです。
これは今まで、日本の会社体制において、監査が重要視されていなかった弊害です。
今後、グローバル基準に日本が対応していくなかで、より監査役の重要性は高まっていくとともに、監査の意味を企業内で浸透していくことでしょう。
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