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税理士は日本における国家資格のひとつで、税務相談や税務書類作成・税務代理など税務に関する業務を中心におこないます。
相談業務やアドバイザリー業務を請け負うことから、コンサルタントに通ずる部分も多いです。
実際に税理士資格を有しながらコンサルタントとして働く人も少なくありません。
どんな違いがあるのでしょうか。
この記事では税理士業務について紹介しながら、税理士がコンサルタントとして働く方法も解説します。
税理士とコンサルタントの違い
コンサルタントとしての活動もする税理士は存在するものの、税理士と一般的なコンサルタントは明確に異なる業種です。
まずは税理士とコンサルタントの違いから紹介します。
税理士は国家資格
税理士は日本における国家資格のひとつで、税務相談や税務書類作成・税務代理など税務に関する業務を中心におこないます。
相談業務やアドバイザリー業務を請け負うことから、コンサルタントに通ずる部分も多いです。実際に税理士資格を有しながらコンサルタントとして働く人も少なくありません。税理士試験に合格して税理士登録をしないと、税理士を名乗ることはできません。
税理士試験は誰でも受験できるものではなく、一定の受験資格を満たす必要があります。
- 大学・短大・高等専門学校を卒業し、法律学または経済学を1科目以上履修した者
- 大学3年次以上で、法律学または経済学を1科目以上含む62単位以上取得した者
- 司法試験合格者
- 公認会計士試験の短答式試験に合格した者
- 日商簿記検定1級または全経簿記検定上級の合格者
- 税務官公署の事務またはその他官公署の国税・地方税事務に2年以上従事した者
- 法人または個人の会計事務に2年以上従事した者
- 銀行・信託会社・保険会社などで、資金の貸付・運用事務に2年以上従事した者
- 税理士・弁護士・公認会計士などの補助事務に2年以上従事した者
いずれかの条件を満たすことで税理士試験の受験資格を得られます。
また試験に合格しても、2年以上の実務経験がなければ税理士登録はできません。
実務経験の時期は問われないため、試験合格の前・後どちらでも問題ないです。
コンサルタントには資格が不要
一方で、ただコンサルタントとして名乗るだけであれば特別な資格は不要です。
業務内容によっては資格が必要な場合もありますが、多くのコンサルティング業務は無資格でできます。
一般的にコンサルタントとして名乗る人の多くは経営に関するアドバイスを中心としており、こちらは資格不要な場合が多いです。
税理士もコンサルタントもクライアントの相談業務をおこなう点は共通していますが、資格の必要性や内容が異なります。
税理士がコンサルタント業務をおこなうことも可能
このように税理士とコンサルタントは別物ですが、税理士がコンサルタントとして業務をおこなうことも可能です。
先述したように経営コンサルティングには資格が不要なため、税務コンサルティングと併せて経営コンサルティングをおこなう税理士も多数存在します。
節税を代表とする税務関連には経営的な対策が必要とされることもあります。
そのため経営に関する知識を有する税理士は多く、それが転じて経営コンサルティングをすることも少なくありません。
そもそも税理士の独占業務である税務相談も、広い意味ではコンサルティング業務です。
よって税理士自体がコンサルタントとしての一面を持っているといえるでしょう。
税理士業界は現在、大きな転換期を迎えています。中小企業クライアントの減少やクラウド会計の急速な台頭により、従来の税務会計サービスに依存するビジネスモデルは存続の課題に直面しています。
これは単なる一時的なトレンドではなく、税理士という専門職の長期的な将来性に関わる根本的な変化と捉えられます。
このような状況下で、コンサルティングスキルを高めることは、単なるキャリアアップの選択肢に留まらず、専門家としての長期的な存続と成長のための必須戦略となりつつあります。
市場が従来の税務業務を超えた付加価値の高いサービス、すなわち経営コンサルティングを強く求めているという背景があります。
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税理士がコンサルタントとして働くには?
先述したように、税理士はコンサルタントとの共通点が多いです。
実際にコンサルタントとしての業務を中心に活動する税理士もいます。
それでは、税理士がコンサルタントとして働く方法を紹介します。
会計事務所でクライアントの税務相談などに乗る
税理士の主な勤務先は会計事務所ですが、そこで税務相談などを中心におこなえばコンサルタントとしての働き方が実現可能です。
税理士の主な業務は以下のとおりです。
- 税務相談
- 税務代理
- 税務書類作成
- 記帳や給与計算等の経理代行
- 経営コンサルティング・アドバイザリー業務
このうち上の3つが税理士の独占業務であり、税理士の中心業務といえます。
今回紹介したなかでは、税務相談と経営コンサルティング・アドバイザリー業務がコンサルタントに似た業務です。
そのためこの2つを中心に業務を請け負うことで、コンサルタントとしての色合いが強い活動ができます。
関連記事:税務コンサルとはどんな業務?
コンサルティング会社に勤める
会計事務所ではなくコンサルティング会社に勤めるのも、コンサルタントとして働く方法のひとつです。
税理士の持つ高度な税務知識はコンサルティング会社において非常に重宝されます。
コンサルティング会社はその名のとおり、コンサルティング業務が中心です。
会計事務所でもコンサルタントとしての色が強い働き方が可能ですが、コンサルティング業務を専業としたいのであればコンサルティング会社で勤務したほうが理想的な働き方ができるでしょう。
税理士資格や税理士として得たスキル・経験を活かしたいのであれば、コンサルティング会社において税務との関わりが深い分野を中心に業務を進めるのが効率的です。
ただし会社によっては税務分野はあまり引き受けていない場合もあるため、税理士としての能力が活かせない可能性もあります。
理想とする働き方を実現させるためには、事前に綿密な企業研究が必要です。
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新たな資格を取得する
コンサルタントとしての専門性を高め、市場での差別化を図るためには、新たな資格の取得が有効な手段となります。
税理士がコンサルタントとして働く際に役立つ資格を解説します。
中小企業診断士
中小企業診断士は、経営コンサルティングに関する唯一の国家資格であり、その信頼性は非常に高いです。
税理士業務との親和性も高く、特に財務・会計分野は税理士試験と重複する内容が含まれるため、税理士が比較的効率的に取得しやすい資格とされています。
税理士と中小企業診断士のダブルライセンスは、単に二つの資格を持つ以上の相乗効果を生み出します。これにより、より精度の高いコンサルティングが可能となり、税務・会計の専門知識に加え、経営全般に関するアドバイスを提供できるようになります。
また、他の税理士との差別化を図ることができ、転職市場においても高く評価され、AIやITによる業務代替への耐性も高まると考えられます。
MBA (経営学修士)
MBAは国家資格ではありませんが、経営に関する専門知識を体系的に習得した証明となります。
中小企業診断士が中小企業向けの経営コンサルティングに焦点を当てるのに対し、MBAは「経営者として必要な能力」「体系的な経営知識」「戦略的思考力」「人脈形成」といった、より広範で上位のビジネススキルを提供します。
MBAの取得は、個人のビジネス能力全体を向上させ、より高位のリーダーシップや戦略コンサルティングを目指す税理士に適しています。包括的なビジネス教育と多様な業界・国籍のビジネスパーソンとのネットワーキング機会は、キャリアパスを大きく広げるメリットとなるでしょう。
TOEICなど英語関連資格
国際的なビジネス環境が広がる現代において、英語力は単なるコミュニケーションツールではなく、戦略的なキャリア資産として機能します。
特に国際税務コンサルティングの分野では、TOEICなどの英語関連資格によって証明される英語力は高い需要と高収入に直結し、AIによる業務代替への耐性も高いとされます。
TOEIC700点以上のビジネス英語力は、国際税務業務や移転価格コンサルティング業務、国際資産税業務など、専門性の高い分野で転職を有利に進める上で大きな強みとなります。英語力は、形式的な「資格」と同等、あるいはそれ以上に価値のある「スキルベースの資格」として、市場での差別化と長期的なキャリア安定性をもたらします。
社会保険労務士、行政書士などの資格
コンサルティング業務の幅を広げるためには、他にも社会保険労務士、行政書士などの資格が役立ちます。
社会保険労務士は社会保険や労務関連の知識を提供し、行政書士は行政手続きに関するサポートを可能にします。
税理士がどのような種類のコンサルティング業務に進みたいかによって、取得すべき資格は異なります。
多忙な税理士が新たな資格やスキルを習得することは容易ではありませんが、実践的な学習方法を取り入れることで、目標達成は現実的なものとなります。
例えば、スマートフォンアプリを活用した学習、通勤時間の有効利用、そして日々の実務から知識を吸収するといった「スキマ時間の活用」や「自学力」を磨くことが重要です。これらの具体的な学習戦略を組み込むことで、読者が目標達成に向けて具体的な一歩を踏み出しやすくなります。
コンサルタントとして働く税理士に求められるスキル
書類作成や経理代行などを中心におこなう税理士と、コンサルタントとしての業務を中心におこなう税理士では、求められるスキルが異なります。
そこで、コンサルタントとして働く税理士に求められるスキルを紹介します。
経営感覚のスキル
一般的にコンサルタントといえば、経営に関するコンサルティング業務やアドバイザリー業務をおこなうことが多いです。
税務コンサルティングを中心としている場合であっても、コンサルタントとして働く以上は経営分野でのコンサルティングも求められます。
そのため経営感覚に関する高いスキルが必要です。
税理士の業務をとおしてさまざまな企業の経営状態に触れるため、経営に関する最低限の知識は持っている税理士が多いでしょう。
ただしだからといって、経営に関する適切なアドバイスができるとは限りません。
コンサルタントは経営におけるさまざまな要素を考慮しながら課題の解決策を見つけ、クライアントへ提案します。
そのためには学問上の知識だけでなく、いわゆるセンスと呼ばれるような感覚的なものも必要です。
経営感覚も努力次第で身につけることは可能ですが、より実務的な学習をしなくてはなりません。
コンサルタントとして働くのであれば、知識だけではなく経営感覚も鍛えましょう。
業界や職種に対する知識
経営活動全般における感覚だけでなく、クライアントの業界や職種に対する深い知識も必要です。
これは税理士業務で目にする財務諸表や申告書などから把握できる数字的なものだけでなく、業界や職種の基礎・立ち位置・時事的情報などの知識も含まれます。
業界や職種について詳しくないとアドバイスのしようがありません。
とはいえ存在するすべての業界・職種について把握することは不可能です。
毎日さまざまなニュースや情報に触れ幅広いい分野に関する知識を身につけるようにしましょう。
そのうえでクライアントなど特定分野における深い知識を勉強していきます。
コミュニケーション能力
クライアントとの直接的なやり取りが多いため、高いコミュニケーション能力も必要です。
せっかく十分な知識があり効果的な提案ができたとしても、コミュニケーション能力がなければ上手く伝えることができません。
コンサルタントとして働くためにはコミュニケーション能力を身につける必要があります。
ポイントを押さえた聞き方・話し方を意識するだけでも相手に与える印象は大きく変わります。
テクニックを学ぶためには勉強が必要です。
知識を得たらそれを活用できる状態にするためにコミュニケーションの経験を積んでいきましょう。
まとめ
税理士とコンサルタントにはコンサルティング業務をおこなうという共通点がありますが、実態は大きく異なります。
資格の必要性や主な業務など、さまざまな面において違いがあります。
資格を持たないコンサルタントが税理士の仕事をすることはできませんが、税理士がコンサルサントとして働くことは可能です。
ただしコンサルタントには税理士とは違ったスキルも求められるため、コンサルタントとして活躍するにはスキルを身につけるための努力が必要です。
税理士とコンサルタントの違いについて把握し、理想的な働き方ができるよう必要に応じた勉強を進めていきましょう。
Profile レックスアドバイザーズ
公認会計士・税理士等の有資格者をはじめとする会計人材専門特化した人材紹介会社。
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