転職お役立ち情報

税理士試験 科目合格者の転職は有利?評価される理由と成功するためのポイント

更新日:2025.06.05

税理士の転職お役立ち情報

税理士試験 科目合格者の転職は有利?評価される理由と成功するためのポイント

税理士試験には、科目合格制度があるのでうまく利用していけば計画的に税理士試験の合格を目指していけます。

 

  • 税理士試験の科目合格とはなにか
  • 科目合格者の転職市場のニーズ
  • 科目合格者の転職におけるポイント

 

今回は、税理士試験の科目合格者における転職について解説していきます。

税理士科目合格とは?

税理士試験の科目一覧

税理士試験は、試験科目が11科目 に分かれており、科目合格という概念が存在しています。

科目合格があるので、税理士試験は計画的な学習が可能であり、社会人にも人気な資格となっているのです。

科目合格とは、どのような制度なのか正確に押さえて上手に活用していく必要があります。

 

税理士試験の「科目合格」とは?

税理士試験に合格するためには、11科目ある試験の中から5科目に合格しなくてはな

りません。

11科目は、会計に属する科目(簿記論・財務諸表論)・税法に属する科目(法人税法・所得税法・相続税法・酒税法・消費税法・固定資産税・事業税・住民税・国税徴収法)です。

11科目のうち、1科目でも合格すれば 以後その科目を受ける必要はなくなるのが、科目合格という制度と言えます。

税理士試験合格となるために必要な5科目は、すべて1度の試験で合格しなければならないのではなく、科目ごとに合格できるのが税理士試験の特徴です。

合格した科目を除き、残りの科目を翌年以降に受験して最終的に5科目合格すれば、税理士試験に合格したという認識になります。

 

科目合格は一生有効|途中で辞めても評価される理由

科目合格には、期限がないので1度合格してしまえば、一生受ける必要はありません。

科目合格がなく、1度にすべての科目に合格しなくてはならない試験だと、1科目でも落とせば不合格です。

この場合、不合格だった人は実績がないので勉強をしてきたのかどうか証明ができません。

一方で、税理士試験は科目合格していれば勉強してきた事実を、公式に証明できるのが強みです。

途中で勉強を辞めて就職する場合でも、科目合格があれば評価を得られるので有益と言えます。

自分で選べる!科目選択制とおすすめの組み合わせ

税理士試験に合格するためには、会計に属する科目(簿記論・財務諸表論)、法人税・所得税のいずれか1科目、残り2科目を選択する必要があります。

苦手な科目は、集中するため1科目だけ受験したり得意な科目を組み合わせ、2〜3科目同時に受験することも可能です。

おすすめなのは、自分のキャリアプランに応じた科目を選択することであり、大企業で働くなら法人税、会計事務所で働くなら所得税と言えます。

また、消費税は実務で汎用性が高く、独立を目指すのであれば相続税法も外せません。

科目合格は履歴書や職務経歴書にもアピール材料になる

科目合格は、履歴書や職務経歴書に記載できるので、努力してきた事実を伝える材料になります。

科目ごとの合格率は、基本的に20%前後なので簡単な試験ではなく、1科目でもアピールとして有効です。

相手企業の規模や特徴を把握して、実務で活用できる科目に合格していると、評価される可能性が高くなります。

履歴書や職務経歴書に科目合格を記載する場合には、「20××年×月 税理士試験(科目名)合格」と記載するのが基本です。

1科目でもOK?3科目以上で広がる転職先とキャリアの可能性

税理士試験は、1科目でも合格できれば評価される可能性は高いですが、3科目以上合格できると仕事の幅は広がります。

会計に属する科目を基本として、税法に属する科目の数科目に合格していると、転職できる企業が増えていく可能性が高いです。

会計や税金に関する知識を活用して、キャリアアップを目指すのであれば、3科目以上合格しておくと有利になります。

専門性の高い業務を任されるようになれば、貴重な経験をすることができて、転職市場で価値を高めることが可能です。

 

関連リンク:税理士試験科目合格者の年収は科目数と関係ある?キャリアアップの方法を解説

税理士試験の最新情報はこちら!

税理士になる!税理士試験最新情報

税理士科目合格者の転職市場における需要

税理士試験科目合格者向けの求人は、 会計事務所を中心に多くあります。

会計事務所の求人には地域特性があり、
地方では一般的に求人案件数が少なく、首都圏では中堅規模からBig4最大手規模の会計事務所まで大小さまざまな会計事務所が存在し、募集年齢、対応業務、合格した科目数等により、多様な募集があります。

会計事務所・税理士法人でのニーズは根強い

求人情報の割合

税理士試験科目合格者の価値を最も評価してくれるのは、会計事務所です。

会計事務所の求人募集では、地場のクライアントの往査および事務所内での事務作業の募集要項として「資格は簿記2級から」とする求人が多い傾向です。
税理士試験で科目合格をしていることで、簿記2級より上位の試験に合格しているものとして高い評価を受けることができるでしょう。

大手の会計事務所では、将来の税理士候補を期待した採用が視野に含まれていますが、転職希望者に求めるその他の資質として、高い水準の英語力や、高度で専門的な実務経験を有していることが望まれることも。

これらを満たす科目合格者を積極的採用する会計事務所が多いです。

一般企業(経理・財務)でも評価されやすい

一般企業では、通常、在籍中に資格取得したことで評価される会計系の資格として、「公認会計士」「税理士」あるいは「簿記2級以上」等としている企業が少なくありません。
税理士試験の科目合格者は、実績として素晴らしいものの、人事評価の対象に含まれていない可能性が高いことを、あらかじめ理解しておきましょう。

中途採用に関しては、一般企業の経理あるいは財務部門での選考過程において、税理士試験の学習で培われた知識と経験から、より高いパフォーマンスを発揮することができるかどうかが期待されています。

【税理士・税理士科目対象】
なんとなく転職したい・中長期でキャリアを考える方向け
転職相談

詳細はこちら

税理士試験の科目合格者の状況

税理士試験の各科目は、それぞれ合格率が異なっています。

必須項目の簿記論および財務諸表論は必ず合格しなければならず、 選択科目では所得税法あるいは法人税法のどちらかを必ず合格しなければなりません。

働きながら学習をする方は、各科目の総学習時間を考慮した試験対策が大切です。

「2024年度(第74回)税理士試験結果」では、以下のとおりでした。

<必須科目>
簿記論   17.4%
財務諸表論 8.0%
<選択科目>
所得税法  12.6%
法人税法  16.4%
相続税法  18.7%
消費税法  10.3%
酒税法   12.1%
国税徴収法 13.0%
住民税   18.2%
事業税   13.7%
固定資産税 18.0%

(出典)国税庁

税理士試験の受験者数は年々増加傾向にある

税理士試験の受験者と合格者の推移

少子高齢化、会計・税務ソフトウェアの普及、クラウドサービスの一般化により、税理士業界を取り巻く環境は大きく変化しています。

この結果、税理士の受験者数は令和2年度までは減少傾向にありましたが、その後増加傾向にあります。

受験者総数では、令和2年度の受験者総数は26,673人(合格率20.3%)に対して、平成27年度の受験者総数は38,175 人(合格率18.1%)でした。
一時はおよそ30%近い受験者数が減少したことになります。


(出典)国税庁 過去の試験結果等

1科目合格者から4科目合格者までの数は多い

税理士試験の合格者になるためには、5科目の合格が必要です。
社会人であれば毎年1科目ずつ合格して、最低でも5年間かかる計算になります。

合格した科目に有効期限はありませんので、着実に合格に向けて進んでいくことができますが、長期間にわたって試験勉強を続けていかなければならない心理的負担、家庭環境の変化等により、科目合格者の立場をやむなく継続する方も、数多くいます。

科目合格者が実際にどれくらいいるかは分かりませんが、「令和2年度(第70回)税理士試験結果」に基づいて簡易に推測すると、現時点で少なくとも14,600人近い科目合格者数がいることになると考えられます。

以下、推測の前提条件です。

  • 各科目合格者の総数は6,357人でした。このうち最初の第1歩として合格を目指す簿記論または財務諸表論の合格者総数の合計は4,059人です。
    少なくとも1科目合格者が、毎年この人数だけ増えると仮定すれば、5年後の合格までの期間でおよそ20,000人が、科目合格者の総数となります。

  • 税理士試験で5科目合格となった方の数は、同じ年度で5,402人増えました。この数だけ科目合格者数が減少するものとします。

  • <令和2年度の科目別の受験者数と合格者数>
    簿記論 10,757人のうち2,429人が合格
    財務諸表論 8,568人のうち1,630人が合格
    税理士試験の合格者数 5,402人



(出典)国税庁 令和2年度(第70回)税理士試験結果

税理士試験の科目合格者が、全員税理士を目指すわけではない

税理士になれば、法定業務を自らの名前で実施できることや、独立開業が可能になるなど、税理士の独占業務を行うことが可能となり、責任と権限がより大きくなります。

科目合格者が会計事務所に勤める場合は、「税理士補助業務」として働くことが多いです。しかしながら、中堅規模までの会計事務所では、「補助業務」とはついているものの、税理士の独占業務以外の実務作業面は税理士と大きな差がなく業務に携われます。

法人税法のような税法科目や、財務諸表論に合格した科目合格者は、実務に直結した知識を得ていますので、さらに実務経験を積んでいきながら、事務所スタッフやチームのマネジメントを担当することができます。
そのため、科目合格者の状態を継続したままでも会計事務所内での昇進や昇給を果たすことも可能です。

科目別|合格者の転職先傾向と有利になるポイント

税理士試験科目合格者の転職マーケットは、前述した通り会計事務所の求人が多く占めますが、その他に一般企業の経理や財務部門にも求人があります。

一般企業では、どのような経理経験があるのかという実務中心の採用となるのが一般的です。

書類選考や面接において、科目合格をしていることに一定の評価を受ける可能性があるかもしれませんが、経理の実務経験が重視されます。科目合格は強い武器というよりも、科目合格の勉強過程で得た高度な知識を、実務にどのように反映できるかが選考のポイントとなってくるでしょう。

簿記論・財務諸表論 合格者:経理職や会計補助業務で強い

簿記論と財務諸表論は、経理業務に携わる方にとって、実務にも直結する有益な学習内容であることと、受験をする方の多くが経理業務のバックグラウンドを持っていることを背景に、毎年、多数の受験者がいます。

これらの科目は、学習項目の内容を鑑みると、簿記1級と同等かそれ以上の価値がありますので、会計事務所や一般企業の経理部門等に転職しやすくなります。

法人税法・所得税法・消費税法 合格者:税務専門職に直結

法人税法や消費税法等は、法人クライアントの実務に直結する科目のため、即戦力として、会計事務所に転職できる可能性が高くなります。

所得税法は、個人事業者の課税所得計算、サラリーマンの住宅ローン控除、不動産売買や株式取引等にもかかわるため、個人のクライアントが多い会計事務所で重宝されるでしょう。

所得税法は個人に関する税法として見られがちですが、実務上は法人クライアントに関する給与に係る源泉所得税や、法人から個人に対する配当に関わる等もあります。

3〜5科目合格者:将来の税理士候補として厚遇されることも

転職を検討する科目合格者は、簿記論と財務諸表論に合格していることが多く、さらに法人税法あるいは所得税法に合格していれば、近いうちに税理士試験の合格者になる可能性が高いことが予想されます。

そのため、中堅から大手の会計事務所では、将来の税理士と期待された採用が多い傾向にあります。

一方、一部の中小規模の会計事務所では、科目合格者から在籍した後に晴れて税理士資格を有し、別事務所への転職や独立開業を機にクライアント流出の可能性を恐れ、税理士になる可能性が高い方を敬遠する事務所もあります。

しかしながら、会計事務所業界は長らく売り手市場の状態であることから人手不足に陥る会計事務所も多く、事務所の大小に関係なく転職しやすい状況はしばらく続くことでしょう。

求人情報はこちら

税理士・税理士科目合格の求人・転職情報一覧

税理士・税理士科目合格・会計事務所・税理士法人・一般企業(事業会社)の転職・求人情報一覧

税務・会計・監査の求人・転職情報一覧

転職で後悔しないために|科目合格者が意識すべき3つのこと

税理士試験の科目合格者は、転職する際に意識すべき内容について注意しなければなりません。

闇雲に転職してしまうと、せっかくの科目合格を活かしていくことが出来ない場合もあるので、慎重に転職先について検討しましょう。

 

自分のスキルと経験を客観的に見直す

科目合格者が転職する場合には、応募企業に対するアピールの方法を模索していくのがポイントになってきます。

相手を無視した主観的なアピールではなく、自分を俯瞰してみて客観的に評価対象となるスキルや経験を模索しておかなければなりません。

応募企業の経営状況を把握すると、どのような人材を募集しているのかが見えてくるので有用です。

応募企業で活用できる自分のスキルや経験を、積極的にアピールしていくと評価して貰える可能性が高まります。

将来の税理士像やキャリアパスを想像して職場を選ぶ

税理士と言っても、多様なキャリアパスがあるので将来なりたい税理士像を明確にしていく必要があります。

税理士として、どのような業務に従事していきたいのか、専門性について考えておくのが賢明です。

会計事務所や税理士法人に勤務するだけではなく、独立の意向があるのか、一般企業で働くつもりなのかは大きな違いと言えます。

企業によって専門性が異なるので、自分の歩んでいきたいキャリアパスを想像して職場を選択するのが大切です。

一般企業へ転職する理由を明確にする

税理士試験の科目合格者は、試験を通じて学習する体制が整っているので、一般企業でも活躍していけます。

一方で、税理士試験を受験している人は税理士として会計事務所に勤める場合が多いので、一般企業へ転職する理由を明確にするのも重要です。

経理部門だけではなく、経営企画部門でも税理士試験で獲得した知識を活用していくことができます。

自分が合格している科目の学習で得た知識が、企業でどのように活きてくるのかを考えておかなければなりません。

転職エージェントを活用して「見えない情報」を掴む

応募企業に有効なアピールは、応募企業における経営状況の情報を正確に掴んでいく必要があります。

一方で、転職活動を行いながら応募企業の経営状況を正確に掴んでいくのは難易度が高いです。

転職エージェントをうまく活用すると、オウンドメディアに載ってないような、入手しづらい応募企業の情報を得ることもできます。

「見えない情報」を掴んでいくと、応募企業において顕在化していないニーズを把握できるので有益です。

転職エージェントの力を借りれば、効率的な転職活動ができるので、自分に最適な企業に出会える可能性も高まります。

ご相談はこちら

まとめ

税理士試験の科目合格制度は、医師や弁護士と異なり、一歩ずつ着実に前へ進むことができる試験となっています。

 

職場や家庭等の環境の変化により、一時的に試験勉強を中断することがあるかもしれませんが、あきらめずに継続することで、税理士試験の合格者を目指すことができます。

そして、その先のキャリアプランを大きく前進させることが期待できるでしょう。

 

税理士試験の科目合格は、計画的に学習をしていけるので社会人が税理士を目指すのに適した制度です。
科目合格者は、適切にアピールできれば評価して貰えるので、仕事の幅は大きく広がっていきます。
キャリアアップを目指して転職する場合には、科目合格で得た内容と企業のニーズを正確に把握していかなければなりません。
自分だけで転職活動をするのが不安な人は、転職エージェントを活用すれば自分の強みを客観的に探して貰えるので、最適な企業への転職に繋がります。

 

Profile レックスアドバイザーズ

公認会計士・税理士等の有資格者をはじめとする会計人材専門特化した人材紹介会社。
■公認会計士・税理士・経理の転職サイトREX
https://www.career-adv.jp/
■株式会社レックスアドバイザーズ
https://www.rex-adv.co.jp/

公認会計士・税理士・経理・財務の転職は
レックスアドバイザーズへ

カジュアルキャリア相談 カジュアルキャリア相談