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【最新版更新】税理士の年収事情 (2019年度の賃金構造基本統計調査より)

税理士の転職お役立ち情報

給与 年収

日本で最難関に区分される国家資格のうちのひとつが、税理士です。

税理士になるためには5つの科目に合格しなければならず、長い学習時間を費やさなければなりません。これだけの労力を費やして得られる期待がどれくらいなのかは誰でも興味があると思われます。

そこで、最も気になるのは、やはり年収事情ではないでしょうか。
難関資格で、法人・個人クライアントに対する専門サービス等を提供する税理士の年収は高いだろうとイメージされますが、はたして実際の税理士の年収事情はどうなっているのでしょうか。

税理士の平均年収

税理士の平均年収は、厚生労働省が毎年実施している「賃金構造基本統計調査」で確認することができます。
ただし、注意していただきたいのは、税理士単独での平均年収ではない点です。分類上、公認会計士と税理士の合算データとなっています。
また、この統計調査は、従業員が10人以上の事務所や企業で働く公認会計士と税理士の平均年収データが掲載されています。

人によって年収に大きな差がある

統計値には、平均年収を大きく上回る方々や、働き方を変えて年収が低いもののプライベートの生活を充実させている方など、その分布構造に大きなばらつきが含まれている可能性があります。

例えば、年収水準が高い外資系監査法人(Big4と呼ばれる世界的なネットワークを持つグループ)で働く公認会計士や、大手の税理士法人で働く税理士、あるいはコンサルティングファームに勤務している方は、一般企業の年収よりもかなり高額になっている傾向が含まれています。

また、個人で独立開業した公認会計士や税理士事務所で働く方の年収は一般企業より低い場合があります。

令和元年度(2019年度)の賃金構造基本統計調査

統計調査の「現金給与額(月額)」には、基本給、職務手当、精皆勤手当、通勤手当、家族手当、超過労働給与額も含まれています。

傾向としては、大企業に勤める方の年収は高い傾向にあり、性別によっても変わってくることです。

企業規模が10人以上に勤める労働者の場合

2019年度の平均年収は単純計算でおよそ693万円でした。

ただし、2019年度の調査対象とした労働者数が6,880人で前年の1/4程度になっていること、2018年および2017年の平均年収から大きな乖離が見られていること等から、2019年度は実態をとらえているかどうかに注意する必要がありそうです。

2019年度 n=6,880人
・現金給与額(月給)  476,000円×12か月=5,712,000円
・年間賞与額(ボーナス)  1,227,600円
・平均年収 約693万円
2018年度 n=25,380人
・現金給与額(月給)  583,300円×12か月=6,999,600円
・年間賞与額(ボーナス)  2,330,100円
・平均年収 約932万円
2017年度 n=29,580人
・現金給与額(月給)  692,500円×12か月=8,310,000円
・年間賞与額(ボーナス)  2,117,400円
・平均年収 約1,042万円

事業所規模による平均年収

賃金構造基本統計調査では、勤務する事業所規模ごとの平均年収データも掲載しています。区分は公認会計士・税理士で、男女を含みます。

2019年度から2017年度の賃金構造基本統計調査を見ると、企業規模100人~999人の区分で、年収が1,200万円(同区分の2018年度は729万円)で最も高くなりました。

 

「企業規模10~99人」および「企業規模1000人以上」の区分では、総じて2019年度の年収が前年比減。

なお、2018年度および2017年度の2年間では、企業規模1000人以上の区分の年収が最も高い傾向にありました。

企業規模10~99人

2019年度 n=4,580人
・現金給与額(月給)  403,300円×12か月=4,839,600円
・年間賞与額(ボーナス)  1,050,300円
・平均年収 約588万円
2018年度 n=2,320人
・現金給与額(月給)  483,800円×12か月=5,805,600円
・年間賞与額(ボーナス)  1,035,800円
・平均年収 約684万円
2017年度 n=5,440人
・現金給与額(月給)  425,500円×12か月=5,106,000円
・年間賞与額(ボーナス)  1,124,800円
・平均年収 約623万円

企業規模100~999人

2019年度 n=420人
・現金給与額(月給)  913,800円×12か月=10,965,600円
・年間賞与額(ボーナス)  1,055,900円
・平均年収 約1,200万円
2018年度 n=110人
・現金給与額(月給)  551,700円×12か月=6,620,400円
・年間賞与額(ボーナス)  674,100円
・平均年収 約729万円
2017年度 n=2,610人
・現金給与額(月給)  565,700円×12か月=6,788,400円
・年間賞与額(ボーナス) 1,227,800円
・平均年収 約801万円

企業規模1000人以上

2019年度 n=1,870人
・現金給与額(月給)  555,300円×12か月=6,663,600円
・年間賞与額(ボーナス)  1,699,800円
・平均年収 約836万円
2018年度 n=22,940人
・現金給与額(月給)  593,500円×12か月=7,122,300円
・年間賞与額(ボーナス)  2,468,900円
・平均年収 約959万円
2017年度 n=21,530人
・現金給与額(月給)  775,300円×12か月=9,303,600円
・年間賞与額(ボーナス) 2,475,900円
・平均年収 約1,177万円

(出典)厚生労働省 令和2年賃金構造基本統計調査の変更に伴う遡及集計について

給与所得者全体の平均年収と税理士の平均年収を比較

税理士の年収は一般的な平均年収とどれくらい差があるのでしょうか。

この観点も気になるところです。

「令和元年度分(2019年) 民間給与実態統計調査(国税庁)」では、平均年収は436万円(正規雇用・非正規雇用をあわせた5,255万人)です。

2017年度は432万円(正規雇用・非正規雇用をあわせた4,945万人)でした。

2019年度の平均年収を男女別にみると、男性が 540 万円(前年比1.0%減)で、女性が 296 万円(前年比 0.8%増)となっています。

2019年度の平均年収693万円(賃金構造基本統計調査。交通費を含む点に留意ください)と比較すると、およそ1.58倍になります。

 

この統計比較から、税理士は、高い年収を期待することができる業種といえるでしょう。

従業員規模別の平均年収

平均年収は規模が大きくなると高くなる傾向にあります。従業員数別では次のとおりです。

  • 10人以上29人以下 404万円(うち男性496万円、女性280万円)
  • 100人以上499人以下 437万円(うち男性521万円、女性313万円)
  • 1,000人以上4,999人以下 508万円(うち男性632万円、女性323万円)
  • 5,000人以上 516万円(うち男性687万円、女性291万円)

ここでも従業員規模が多い企業ほど高い年収を期待することができることがわかります。

業種別の平均給与

また、年収は業種別によっても大きな開きがあります。

第13図「業種別の平均給与」では全業種平均が436万円でした。

「宿泊業・飲食サービス業」が260万円、「サービス業」が359万円で平均給与を下回っている一方、「情報通信業」が599万円、「金融業・保険業」が627万円、「電気・ガス・熱供給・水道業」では824万円で平均給与を大きく上回っています。

 

税理士がどの業種で働くかによって、その年収も大きく変化する可能性があることが推察できます。

年齢別の平均給与

また、日系企業の多くは年齢別あるいは勤務年収により年収が上昇する傾向にあります。

「年齢階層別の平均給与」では全年齢平均が436万円(うち男性540万円、女性296万円)でした。

年収のピークは50歳~54歳の525万円(うち男性679万円、女性320万円)で、次に高いのは55歳~59歳の518万円(うち男性686万円、女性301万円)です。

統計では、60歳~64歳の411万円(うち男性522万円、女性254万円)、70歳以上の282万円(うち男性343万円、女性205万円)も記載されています。

の年齢の一般の方は、既に退職されている年齢ですので、これらの年収は特定の職種で働く方の年収に偏ります。

しかし税理士は税務と会計の専門家として企業を退職後でも働くことが可能ですので、一応の目安になるかもしれません。

(出典)国税庁 令和元年分 民間給与実態統計調査

年収事情のまとめ

いかがでしょうか?

事業所(企業)の規模、業種、年齢により平均年収に差があることがわかりました。

会計事務所においては、事務所の規模とクライアント規模、そしてサービスラインナップに相関があることも要因になります。

 

背景として、特に大規模事務所、外資系事務所になれば、上場企業や売上規模の大きいクライアント、グローバル企業などのクライアントを持っていること、専門的なサービスとして、組織再編や事業承継など、いわゆるスポットと呼ばれるプロジェクト事業にも積極的に関わり事務所の売上が高くなりますので、これらが年収に反映されます。

もちろん、少数精鋭で売り上げを伸ばしている事務所もあるため一概にはいえませんが、より高い年収をめざすのであれば、大手事務所にチャレンジするのもひとつです。

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会計事務所入所後の税理士の年収の推移

税理士の平均年収データを見てきましたが、これはもちろん平均であり、経験年数の長さやスキルの高さにより、増減があります。

会計事務所の経験年数による年収の推移を見ていきましょう。

未経験~経験年数5年程度(科目合格者)

税理士になるには、毎年1回行われる税理士試験を受けなければなりません。

資格をめざす方のほとんどは、試験勉強と並行して会計事務所で経験を積むため、スタートからしばらくは科目合格者としての勤務になります。

300万円~500万円程度の年収となります。

経験年数5年以上、3科目合格以上または税理士

経験を重ねると、法人顧問業務をひとりで担当できるようになるため、年収アップを期待することができます。

税理士試験3科目に合格すれば、BIG4と呼ばれる大手税理士法人へのチャレンジも可能になりますし、税理士資格を取得すれば、さまざまなプロジェクトにも携わることができ、仕事の幅を広げることができます。

事務所の規模にもよりますが、600万円以上の年収を期待することができます。

会計事務所に勤める場合のまとめ

このように、会計事務所での年収アップは、税理士資格の有無が大きくかかわります。

最近は業務を分業化し、資格がなくとも活躍できる事務所も増えてきましたが、やはり資格の取得は年収アップにプラスになります。

経験を積みながら勉強し、税理士としての活躍をめざすのが、年収アップの近道になるでしょう。

事業会社に就業する場合の税理士の年収

大手上場企業やグローバル企業でも、税理士を採用する場合があります。

税務だけではなく、会計業務はもちろん財務や経営企画など、会計事務所では経験できない業務に携わるチャンスがあります。

税理士としてというよりも、一社員として会社に貢献し、活躍することとなります。

 

年収は、就業している会社の規模や給与テーブル、職位によりますが、600万円~800万円程度が多いようです。

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独立開業する場合の税理士の年収

税理士資格を取得し、独立をめざす方も多いでしょう。自分のペースで、自分の好きな仕事をできるという魅力があります。

けれど、クライアントを確保し、さらに優良顧客や報酬の高いプロジェクト案件を獲得するには営業力や人脈が重要です。

独立してすぐはなかなか優良顧客を獲得できず、知人の事務所を手伝ったり、低い報酬のクライアントの仕事を数多くこなしたりすることもあります。

軌道に乗れば、新たな仕事を獲得するなど、収入はどんどん上がっていきます。

まとめ

税理士は様々な業種で働くことができる選択肢の広さ、専門性を高めることで、高度な案件に対応することができる業務の幅等から、働き方次第で、年収面でもチャンスに恵まれた職業だといえます。

例えば、大企業でも多くの税理士が従業員として働いています。

一般の経理系職員に比べれば、チームマネジャーや部門責任者への昇進昇格の可能性は高くなっている傾向にあります。

 

税理士法人であれば、シニアマネージャー、ディレクター等の役職を得ることで年収が1千万円を超えることもあります。

パートナーになれば共同経営者として年収が2千万円を超えることも珍しくありません。

 

個人で事務所を独立していく場合は、法人クライアントの数、個人の資産税の対応案件数等を多くこなすことで、事務所の売上(年収)を拡大できる、実力主義の世界でチャレンジできます。

経験を積むことで着実にキャリアアップできますので、年収面だけではなく、ご自身の希望に合った働き方や仕事を選択していくことができることに、税理士の魅力があると考えられるでしょう。

Profile レックスアドバイザーズ

公認会計士・税理士等の有資格者をはじめとする会計人材専門特化した人材紹介会社。
■公認会計士・税理士・経理の転職サイトREX
https://www.career-adv.jp/
■株式会社レックスアドバイザーズ
https://www.rex-adv.co.jp/

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