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簿記1級合格に必要な勉強時間は?独学で合格できる難易度か?

更新日:2025.08.26

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簿記1級合格に必要な勉強時間は?独学で合格できる難易度か?

簿記1級は、非常に難関な試験と言われ、税理士試験の受験資格として認められるほどの試験です。
試験科目が4つあり、まんべんなく得点しなければ合格できません。

そのため合格率も低く、入念な準備が必要と言われます。
合格までどれくらい勉強時間が必要なのでしょうか。

予備校では、簿記1級合格に向けたコースが用意されていることもあります。
独学では合格できないのでしょうか。

この記事では、

  • 簿記1級の試験について
  • 2級・3級との違い
  • 難易度
  • 勉強時間

などについて解説します。

そもそも簿記1級とは?

そもそも簿記1級は、どのような内容でどこが開催している試験なのでしょうか、
まずは簿記1級について紹介します。
また、他の級との違いについても解説します。

 

合格後のキャリアプランについてはこちらの参考記事をご覧ください。
日商簿記1級は就職に有利なのか?メリットや就職先についても紹介
 

簿記1級とは“日商簿記”1級のこと

一般的に簿記1級というのは、商工会議所が開催している日商簿記1級のことを指します。
簿記検定は主に3種類の試験があります。

高校生が主に受験する「全商簿記」、経理専門学校生が中心の「全経簿記」最も一般的な日商簿記の3つです。
レベルは日商が一番高い試験になっていると言われ、社会人が主に受けます。
そのため受験者数も多く、知名度も一番高いと言えます。

全経1級や全商1級が日商2級のレベル感になっており、レベルや勉強範囲に合わせた受験が必要になります。

簿記1級の試験時間や合格基準は

日商簿記は商業簿記、会計学、工業簿記、原価計算の4科目で構成されています。

 


商業簿記と会計学で90分、工業簿記と原価計算で90分の合計180分の試験時間です。
合格するには全体の70%以上を正解する必要があり、1科目でも40%未満がある場合には全体が70%を超えていたとしても不合格となります。全体の力を付けることはもちろんのことですが、苦手科目を作らないということがポイントとなります。
いくら全体の力があっても苦手科目があるとそれだけで不合格になってしまいます。

科目グループ 試験時間
商業簿記・会計学 90分
工業簿記・原価計算 90分
合計 180分

簿記1級の手前には初級、3級、2級がある

簿記試験の級ごとの学習対象比較

日商簿記には、初級、3級、2級、そして1級があります。

初級は簿記の仕組みなどを勉強するものであるため、3級から受験する人が多いです。

3級は商業簿記、2級になると工業簿記が加わり、1級になるとさらに科目が増えます。
就職などの際には2級以上が評価され、経理などであれば2級が条件とされている企業もあります。
なお、1級は公認会計士受験生や税理士受験生も受験することから、レベルが急激に上がる傾向です。

経理などであれば就職で求められることはほとんどありません。

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簿記1級の難易度はどれぐらい?

難易度が高い簿記1級の試験。
2024年11月実施の試験での合格率は15.1%。

これはかなり高い合格率で、同年6月の試験ではわずか10.5%でした。
平均して10%~13%前後の合格率と言われます。

問題全体の難易度もさることながら、4科目ごとの得点で40%以上を満たさねば不合格という仕組み上、苦手な科目をカバーアップするという方法が使えません。
これも難易度が高いと言われる理由のひとつでしょう。

年2回のチャンスで、4科目全てを、まんべんなく点を取れるように準備することが必要です。
合格率が比較的上がっているとはいえ、やはり難関の試験です。

それゆえに「簿記の最高峰」と呼ばれる簿記1級。
複雑な経理にも対応できるという、実力の証明になります。

より詳しく知りたい方はこちら
簿記1級の難易度はどれぐらい?メリットや合格に向けたポイントも紹介
 

簿記1級の試験内容とは?

ここまで見た通り、簿記1級には4科目あります。
それぞれの科目について解説していきましょう。

簿記1級の科目は全部で4科目

簿記3級では商業簿記、簿記2級では商業簿記と工業簿記という科目です。
1級になると商業簿記には会計学が、工業簿記には原価計算が加わり、全部で4科目となります。
2級より科目数も増えるのですが、さらに各科目の試験範囲も広がります。

2級から1級は相当レベルが上がるため、受験するにはある程度時間を確保して進める必要があります。

商業簿記と会計学

商業簿記とは、正確な決算書を作成するために必要な知識が問われます。
会計学は、大企業の会計処理で必要な知識が問われます。

商業簿記は仕訳や財務諸表、帳簿の記帳などの実務に近い問題が多く、一方会計学は企業会計原則のような条文の穴埋め問題や財務分析などの問題が多く出題されます。
内容は近いですが、聞かれ方などが異なるので、試験に向けて、それぞれの対策が必要です。

工業簿記と原価計算

工業簿記は、工場を経営していく上で製品製造に関する簿記の知識が、原価計算は製品の原価を計算するための知識が問われます。
工業簿記でも原価計算の内容も出題されるため、原価計算の内容を押さえておくことが工業簿記・原価計算を攻略するポイントです。

なお、工業簿記や原価計算は最初のところで間違えてしまうと全て間違えてしまうというリスクがあります。
そのため、計算の前提が間違えていないか慎重に進めることが重要です。

簿記1級の求人

簿記1級の求人・転職情報一覧

簿記1級合格までの勉強時間は?

続いて、簿記1級の合格にはどれぐらいの勉強時間が必要なのでしょうか。

必要な時間数について解説します。

簿記1級に合格するには簿記3級や簿記2級が必要か?

簿記1級の受験資格に簿記3級や簿記2級の合格が要件となっていないため、必ず受験が必要かと言うとそんなことはありません。
ただし、それぞれに関わることがあるため、簿記3級や簿記2級を勉強した上で簿記1級を進めた方が効率的にできる部分もあります。

また、簿記3級や簿記2級は簿記1級の基本的なところが出題されます。
簿記3級や簿記2級をしっかりとマスターした上で進めないとつまずいてしまう可能性もあるでしょう。
簿記3級や簿記2級で苦手なところがあるか、確認してみるのも良いかもしれません。
苦手があれば、確実につぶした上で進めていきましょう。

独学の場合、簿記3級では100時間、簿記2級では300時間

続いて、簿記3級や簿記2級に合格するまでの勉強時間を紹介していきます。

簿記3級に合格するには100時間程度が、簿記2級に合格するには300時間程度が独学では必要と言われています。
2級は1日3時間ならば100日、2時間なら150日程度必要です。
3級や2級は大学の授業などでも取り扱われているため、独学で取得することも可能です。
予備校等を活用して取得する人もいますが、メジャーな資格だけに問題集やテキストが充実していて、独学で合格する人も多いです。

独学の場合、簿記1級では600時間

簿記1級に合格するには600時間程度の勉強時間が必要だと言われています。
簿記3級や簿記2級と比較して科目数は増え、試験範囲が広がるため、勉強時間は増えます。
1日3時間勉強できるとして、200日必要な計算です。
6月の試験に合わせるなら前年から準備しなければなりません。

また、1級になると公認会計士受験生なども受験し、レベルが上がります。
予備校もうまく活用して勉強しないと合格の可能性は上がらないとも言われています。

簿記1級合格までの受験回数や勉強期間は?

続いて、簿記1級合格までの受験回数や勉強する期間を解説します。


受験回数には合格率も影響するため、合格率についても紹介します。

簿記1級の合格率を解説

日商簿記1級の合格率は、だいたい10%前後となっています。

 

ここ最近は概ね10%前後で推移をしており、±2%前後の幅で推移しています。

相当前には3.5%とかなり低かった回もありますが、大体上記の幅で推移しています。

 

簿記1級は10%の合格率の上に年に2回しか試験がなく、1回の合格者が1,000名程度であるため、希少性の高い資格となっています。

 

実施回 受験人数 合格者数 合格率 実施日
169 12,286名 9,828名 1,027名 10.4%
168 12,939名 10,420名 1,572名 15.1%
167 11,798名 9,457名 992名 10.5%
165 12,886名 10,251名 1,722名 16.8%
164 11,468名 9,295名 1,164名 12.5%

出典:商工会議所 受験者データ

日商簿記1級の合格率は、だいたい10%~13%前後です。

ここ最近は概ね10%~13%前後で推移をしており、±2%前後の幅で推移しています。
かなり前には3.5%とかなり低かった回もありますが、大体上記の幅で推移しています。

簿記1級は10%の合格率の上に年に2回しか試験がなく、前述したように合格率も低めです。
希少性の高い資格と言えるでしょう。

簿記1級の受験回数はどれぐらい?

では、上記の合格率を踏まえてですが、受験回数はどれぐらいなのでしょうか。

これは人によって大きな差があります。
ただ、1回で合格できたという人は少ないようです。
元々税理士・会計士試験の勉強をしている、会計に関する業務を日常的に行っている、商学部出身といったように、簿記に関する深い知識を持っている人は1~2回で合格していることが多いです。
平均的な受験回数は2~3回と言えるでしょう。

ただし上記の通り、年に2回しか受験チャンスがありません。
そのため、モチベーションを保ち続けるのは難しく、合格までたどり着けない、ということも起きるようです。

簿記1級の勉強期間は?

それでは、簿記1級に合格するまで、どれくらいの勉強期間が必要なのでしょうか。
元々の知識量、1日どれだけ勉強時間が取れるのか、何回の受験での合格を目指すかによって変わります。

簿記1級の予備校で設定されているコースを見てみましょう。
概ね6ヶ月から1年となっています。
初めて受験に挑戦するまでにそれぐらいの期間がかかると言い換えられるでしょう。
そして受験の機会が年に2回しかないことを踏まえると、再受験するごとに半年程度勉強期間が延びることになります。

なぜ簿記1級を取得したいのか。
モチベーションをしっかり持ち勉強を続けることが合格につながります。

 

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まとめ

簿記1級の勉強時間について解説しました。
簿記1級は難関資格であり、受験の機会は年に2回しかありません。
試験科目は4科目あり、すべてにおいてバランスよく得点する必要があります。

合格率は10%台。
しっかりとした準備が欠かせません。
必要な勉強時間はおよそ600時間と言われ、受験日の照準に合わせ勉強しましょう。

独学では難しいと言われ、予備校を活用する人も多いです。
まずは自分のスタート地点を知りましょう。
計画的な勉強をすることが非常に大切です。

Profile レックスアドバイザーズ

公認会計士・税理士等の有資格者をはじめとする会計人材専門特化した人材紹介会社。
■公認会計士・税理士・経理の転職サイトREX
https://www.career-adv.jp/
■株式会社レックスアドバイザーズ
https://www.rex-adv.co.jp/

この記事の監修者

鈴木 康泰
鈴木 康泰
鈴木 康泰
紹介文

人材業界経験20年以上。

大手派遣会社で16年勤務後、現職のレックスアドバイザーズにて会計業界(税理士法人・監査法人・コンサルティングファーム)出身者を中心としたキャリア相談・転職支援に従事。

個々の大切な価値観に寄り添った支援をしている。

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