転職お役立ち情報

簿記2級を耳にしたことはあっても、具体的な内容を知っている人は少ないかもしれません。
- 簿記2級ってどんな資格?
- 簿記2級は転職に役立つのか
- 簿記2級を活用して年収アップを狙う方法
今回は、年収アップを狙う簿記2級の活用法について解説していきます。
経理業務に携わるなら簿記2級は必須
簿記2級の資格を持っていることで、銀行のような金融機関や、地方公共団体等の特殊な公益法人を除けば、全国にある個人事業者から中小企業、中堅企業および大企業で、基本的な経理業務を対応することができることを証明できます。
人事評価においても、誰もが知る資格であることから、資格保有者に対する期待が高くなり、その期待に応えることで、高い経理処理能力があるものとして、良好な人事評価につながる可能性があります。
また、有資格の経理担当者として、社内外に対する信用・信頼にもつながりやすくなります。
簿記2級とは
日本商工会議所では、簿記2級のレベルを「経営管理に役立つ知識として、企業から最も求められる資格の一つ」と定義しています。
具体的には、「高度な商業簿記・工業簿記(原価計算を含む)を修得し、財務諸表の数字から経営内容を把握できるなど、企業活動や会計実務を踏まえ適切な処理や分析を行うために求められるレベル」と説明しています。
(出典)日本商工会議所
試験での簿記2級は、一般企業を総論化した「商業簿記」と、工場の経理を想定した「工業簿記」の2つの区分で構成されています。
商業簿記を学ぶことで、簿記の体系を理解し、サービス業やモノの売買を主体とした企業の経理の仕組みを把握することができます。
工業簿記は、簿記の仕組みを利用した内容で、工場における原材料や間接経費を含めた製造原価を把握することを主体としています。
簿記2級の試験内容は
簿記2級の試験は記述式となっており、商業簿記が第1問から第3問で小計60点が配点され、工業簿記が第4問と第5問で40点となっています。合計70点以上になれば合格となります。
近年の試験範囲の改定により、「商業簿記」は、より実務面に即した内容に変化しました。過去問題集に記載されていない新しい問題も出題されるようになっています。
そのため、試験に合格するためには、簿記の本質を理解し、基礎をしっかりと固めたうえで、様々な問題を解いて着実な応用力を身に着ける必要があります。
簿記の専門学校が公表している、簿記2級の合格に必要な所要時間は250時間前後とされています(簿記3級の知識がある場合)。
週に2回から3回通学して、6か月前後で合格を目指すイメージです。
(出典)資格の学校TAC
簿記2級の受験資格や難易度は
簿記2級の受験資格はありません。誰でも受験できます。
簿記2級の難易度は、「資格の学校TAC」によれば、その合格率を25%と予想しています。
ですが、実際の簿記2級の合格率は、2021年2月度試験で、申込者数45,173名、受験者数35,898名、合格者数3,091名で、合格率はわずか8.6%でした。
なお、その前回(2020年11月度)の合格率は18.2%、前々回(2020年2月)は28.6%でした。試験問題の内容・難易度が今後どのようになるのか、その合格率の推移が注目されています。
試験は通常、年3回開催されます。2021年では3回(2月、6月、11月)が予定されています。昨年(2020年)は新型コロナウィルス関連で2020年6月の試験が中止となりました。
(出典)日本商工会議所
経理・財務経験者向け
キャリアアップ転職相談
簿記2級を持つ方の転職事情は

多くの企業では経理職を希望する方に、簿記2級を持っているか、あるいは同等程度の経験があることを求めています。
そのため、転職活動では一般的に、簿記2級を持っていることで、書類選考のスタートラインに立つことができるようになる、といえるでしょう。
なお、中小企業から中堅企業での経理職の募集では、簿記2級があることで、採用選考が進みやすくなるケースも見られています。
簿記2級の転職マーケット事情
あらゆる企業で経理職があり、安定した需要があります。企業から最も求められる資格が簿記2級とされています(日田商工会議所より)。
会計事務所では、税理士資格を持たない方・税理士科目の合格がない方でも、簿記の資格を持っていれば入社が可能となっています。
中小企業から大企業まで企業規模を問わず、経理職に携わる方が簿記の資格を有していれば、その資格を持っていない方に比べて、有利な選考になると言えるでしょう。
実際には経験と企業規模によりますが、年収面でも、ある程度高くなることが期待できます。資格手当の対象としている企業もあります。
転職マーケットでは年間を通じて、求人募集があります。
経理部門の求人では、決算期の前に募集をすることが多くなっている傾向が見られ、この時期が年間で最も転職需要が高くなります。
簿記2級は、転職で必要な資格ランキングにおいても、常に上位に食い込んでくる転職市場で有力な資格です。
専門的な業務を行っていく場合だけではなく、社会人として汎用性の高い知識なので、仕事の幅を広げていく際にも活きてくる資格と言えます。
会計事務所での需要

会計事務所の主な収入源は、法人クライアントからの顧問報酬です。
中小企業クライアントへの巡回訪問業務は、簿記2級の資格があれば対応可能とされています。
そのため、多くの会計事務所では、巡回訪問業務や、 会計事務所内での事務作業としての需要があります。
会計事務所は、実力主義の世界ですので、税理士や公認会計士のような資格の有無よりも、業務の経験や実績が重要視されることがあります。簿記2級を持った方で、クライアントとの高いコミュニケーションが取れる方には、高い需要があります。
転職で必要な資格ランキングの【経理・財務・会計分野では】日商簿記資格が上位を独占している状況です。
その中でも、日商簿記2級は1位に位置づけており、網羅的に簿記の基礎知識を学習できるので、会計業界で働く際に基本となる資格となっています。
簿記2級の取得が転職に有利となる理由とは
簿記2級を学習すると、財政状態や経営成績、キャッシュフローの状況を判断するのに必要な知識を獲得できます。
学んだ内容は、実務で役立てていけるようになるので企業側からの需要が高く、転職によるキャリアアップを目指すのに重要です。
企業が求める資格としての簿記2級の価値
企業では、経営を行っていくのに会計知識のある人材を必要としており、転職市場における簿記2級の価値は高いです。
転職市場でニーズのある資格として、簿記2級は上位に位置づけているので、取得していると有利に転職活動を進めていけるようになります。
経理は、日々の記帳業務や経費の精算、入出金管理等、会計知識を活用して仕事を行っていけるようになるので簿記2級は有益です。
また、工業簿記の基礎が身に付いているので、製品を製造して販売している企業においても知識を活用していけます。
簿記2級の知識が実務で役立つ内容である
昨今における簿記2級の試験は、知識を実務で活用できるように改正されてきているので、実務経験のない人でも知識を活用しやすいです。
一方で、実務経験があったとしても、前職で特定の業務だけを任されていた場合、総合的な会計知識を兼ね備えているかは分かりません。
簿記2級の資格を保有していれば、簿記に関する総合的な知識を兼ね備えている証明ができます。
実務経験がない人は、簿記2級を取得していくことでポテンシャルを評価して貰い、経理職などに転職できる可能性を高めていかなければなりません。
簿記2級から始めるキャリアアップの可能性
簿記は、日々の取引を帳簿に記録しておくので、企業が経営を行うにあたってどのような取引をしているのか詳しくなれます。
簿記2級の知識は、経営管理において経営業績を財務的視点で考察する際に必須であり、管理者層にも必要な知識です。
今までの実務経験と合わせて資格を取得しておけば、管理者として転職できるかもしれません。
キャリアアップの可能性を秘めている資格であり、自営業だけではなく会社に所属していても活きてくる資格と言えます。
簿記2級の資格保有者が活躍できる職種とは?

簿記2級は、経理職の人向けの資格というイメージはありますが、企業の財政状態を把握して損益状況を正しく理解することができることを証明するので、経理職だけではなく経営企画や財務部門でも人気のある資格です。
経営企画、事業企画の経験者の場合
転職活動では、業務経験と実績が最も評価されますが、 経営企画や事業企画等、会社の損益を管理する職種への応募では、簿記2級の資格を持っていること、有利な選考となることが期待されます。
財務の経験者の場合
経理部と財務部が、それぞれ独立して存在する一般企業の規模は、中堅規模から大企業になります。
これらの企業では、従業員数も数百人から数千人規模となっており、 一定期間ごとにジョブ・ローテーションとして部署異動や業務の配置換えがあります。
財務に携わる方が簿記の資格を取得することで、経理に異動した際でも 即戦力として働くことができる証明になり、キャリア開発の一環として、簿記2級が役に立つことでしょう。
証券会社や銀行などの金融部門の場合
証券会社や銀行などの金融部門では、簿記の知識を必要としているので、募集要項に簿記2級が記載される場合も多いです。
融資やモニタリングの際に、財務分析を行って適切な評価をしなくてはならず、簿記の知識を獲得している必要があります。
財務分析によって、適切に財務状況を評価できるとリスクを軽減又は回避していけるようになるので有益です。
また、投資の手法としてファンダメンタルズ分析があり、中長期的に投資対象として有益かどうかを理解するのにも簿記知識が必要になります。
コンサルタント部門の場合
コンサルティングは、企業の問題を発見して適切に解決するための方法を導き出していく業務です。
ソリューションを経営者に提案していくのには、財政状態や経営成績、キャッシュフローの状況に対する深い理解が求められます。
経営者と簿記の知識を活用して、財務の視点からコミュニケーションを行っていければ、ソリューションを具体的な指針とすることが可能です。
M&Aコンサルティングや経営再建の際に、簿記2級の知識は役立てていける有用な知識と言えます。
営業部門の場合
営業は、簿記知識がなくても行えるので、簿記2級の資格を取得しなくても良いと思われがちです。
ですが、顧客の財務状況に応じた商品の提案が必要となってくるので、簿記知識があると有利になります。
財務の視点から、数字を活用する説明ができると、具体的に商品の必要性を伝えられるので信頼性UPに繋げていくことが可能です。
営業のスペシャリストとして、キャリアアップしていくためには簿記2級の知識を獲得しておくのが賢明と言えます。
簿記2級で年収はいくら上がる?
簿記2級を取得すれば、年収を上げられる可能性は高まりますが、直ぐに年収UPを狙えるわけではないので注意しなくてはなりません。
簿記資格は、実務に活用できるように改正されているものの、未だ資格と実務のギャップはあります。
専門的な内容も多く、働いたことのない人には難しい業務ばかりなので、実務経験が重要視されているのが事実です。
1年目の年収が350万円前後であっても、実務経験を積み3年目を過ぎてくれば年収500万円を超えてくる場合もあります。
年収UPを狙っていくためには、記帳業務や決算書作成などの基礎的な経理業務に加えて、より専門性の高い業務にチャレンジしていかなければなりません。
IFRS導入、連結決算、IPO、監査対応などの経験があると、転職市場で評価される可能性が高くキャリアアップを狙っていけます。
まとめ
簿記2級を取得することで、転職活動では、より多くの企業を選ぶことができる可能性を広げるだけでなく、自社内でのキャリア開発の手助けにもなります。
簿記2級の合格をきっかけに、より高度な資格として、簿記1級や公認会計士または税理士を目指す方もいます。
将来に向けたキャリア開発としても、有用な資格である簿記2級は誰でも受験できる容易さもあり、受験者からの人気が引き続き高く、転職市場でも求められる資格になるでしょう。
一方で、簿記2級を取得しても資格を活用して実務経験を積んでいかなければ、年収をUPさせるのは難しいです。
簿記2級を活用するためには、実際に専門的な業務を行える業界を選定していかなければなりません。
経理職のイメージは強いですが、簿記知識を活用して経営分析ができると仕事の幅は広がっていくので汎用性の高い知識です。
短期的に年収をUPさせられなくても、中長期的な年収UPを狙うためには簿記の知識が役に立ってきます。
Profile レックスアドバイザーズ
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