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財務管理とは?経理との違い・役割・実務で押さえるポイントを解説

更新日:2025.12.04

経理の転職お役立ち情報

財務管理を担当する男性

財務管理とはなんでしょうか?

業務内容や経理との違いがわからないという人も多いでしょう。

 

財務管理の役割は企業価値を高めることです。

過去の取引記録をする経理とは異なります。

 

資金管理の重要性や業務を行うポイントについて解説します。

財務管理とは

財務管理とは、会社における資金の調達・運用方法を管理することです。

資金を管理できれば取引機会を無駄にせず、黒字倒産の危険も回避していけるようになります。

 

財務管理により資金面から会社をサポートすれば、会社にとって最適な意思決定を実現することが可能です。

最適な資金調達や運用形態を模索する

資金調達と運用の流れ

財務管理では、企業価値を高めるためにどのようなタイミングで資金を調達・運用していくのが望ましいのかを計画します。

 

資金調達には銀行融資や社債、株式発行など複数の手段があり、企業の成長段階や財務状況に応じて最適な方法を選ぶ必要があります。

また、調達した資金を設備投資・研究開発・人材育成等どの分野に配分するかによって、将来の収益性は大きく変わります。

M&Aでは取引先企業の企業価値の算定や、資金の運用形態についても考えなくてはなりません。

 

会社を持続的に成長させていく為には事業に必要な資金調達を行い、適切な運用をしていくことで企業価値を高めていく必要があるのです。

そのため財務管理では、調達と運用を戦略的に判断し、リスクを最小限に抑えながら企業価値を高めるための計画や実行を進めることが求められます。

資金を管理しなくてはならない理由

会計では主に収益や費用による利益の管理を行います。

一方で、会計の目的である利害関係者への報告により、期間帰属の決定は収支時点とは切り離されているのが特徴です。

 

利益が出ている会社は調子が良いように感じられますが、実際には運転資金を確保できないことによる黒字倒産の危険もあり得ます。

リスクや取引機会に備えて余裕資金を確保していく為にも、資金管理は会社にとって重要なのです。

経理と財務管理の業務内容の違い

経理と財務管理は、お金に関する情報を取り扱うのが共通点です。

実務における分類は明確ではなく、それぞれの業務における担当が曖昧になっている場合もあります。

 

一方で、本来与えられている役割は異なっているので注意しなくてはならず、経理と財務管理による性質の違いに着目してみることです。 

経理は過去、財務管理は未来について考える

経理の業務 財務管理の業務
仕訳・帳簿作成 資金繰り管理
請求書や領収書の処理 予算編成や資金計画
給与計算 資金調達(借入・株式発行など)
決算書の作成 資金運用(投資や借入金返済など)
税務申告 キャッシュフロー分析

経理と財務管理はどちらも会社のお金を管理・記録する仕事ですが、目的および役割は全く異なります。

 

経理の最大の目的は、正確な決算・納税・法令遵守を実現することです。

これらの目的を果たすために、経理ではお金を用いた過去の取引についての正確な記録・整理が求められます。

 

一方で財務管理の目的は、資金繰りの安定や企業成長に向けた適切な投資判断を行うことです。

そのため財務管理は、将来の予測に基づいて資金を動かす役割を担います。

 

同じお金に関する仕事でも、経理は過去を、財務管理は将来を扱う点が特徴といえるでしょう。

 

経理と財務の違いとは?仕事内容・必要なスキル・将来性を徹底解説!

財務会計と財務管理の違い

財務会計の業務 財務管理の業務
仕訳や帳簿の作成 資金繰りの管理
決算書(貸借対照表・損益計算書など)の作成 予算編成と予算実績管理
キャッシュフロー計算書の作成 資金調達(借入、社債、株式発行など)
税務申告のための資料作成 資金運用(投資、借入金返済、余剰資金の活用)
株主・投資家・金融機関など外部への報告 キャッシュフローの予測と改善策の立案
  経営戦略に基づく財務シミュレーション

財務会計と財務管理の違いは、「誰を対象としているか」「誰に向けた業務であるか」といえます。

 

財務会計の目的は、法令に基づき財政状態や経営成績、キャッシュフローの情報について財務諸表を通じて利害関係者に報告することです。

株主・投資家・金融機関・税務当局など「外部の利害関係者」に対する報告が最終的な目的となります。

 

一方で財務管理の業務は、経営者や管理部門など「社内の意思決定者」に向けた情報活用を目的としています。

外部の利害関係者を対象とした財務会計とは反対に、財務管理は内部における管理が目的です。

管理会計と財務管理の違い

管理会計の業務 財務管理の業務
部門別・事業別の収益やコストの分析 資金繰りの管理(短期・長期のキャッシュフロー計画)
原価計算・原価管理 資金調達(借入、社債、株式発行など)
予算編成と予算実績管理 資金運用(投資や借入金返済、余剰資金活用)
損益分岐点分析や利益計画の策定 財務リスク管理(為替・金利リスクなど)
経営層への意思決定支援資料の作成 企業価値向上のための資本構成作り

管理会計と財務管理はいずれも内部における管理を目的としていますが、「何を管理するか」「何のために行うか」が異なります。

 

管理会計は経営層や各部門の意思決定をサポートすることが目的です。

そのため業績やコストの分析に重点を置いています。

 

財務管理は会社全体の資金繰りや調達・運用を「資金面から最適化」することを目的としています。

業績やコストなど損益計算書から把握できる情報よりも、お金の流れや配分を重視する点が特徴です。

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財務管理の具体的な業務内容

財務管理の具体的な業務内容は、資金をどのように調達・運用するのかについて計画を立てていくことです。

資金計画を立てていくにあたって分析を行いながら、短期的な資金管理だけではなく中長期的な予算を策定します。

 

財務管理が行う業務内容を把握して、会社における役割を理解していきましょう。

財務諸表分析

財務諸表分析

財務管理の基盤となるのは、貸借対照表・損益計算書・キャッシュフロー計算書といった財務諸表の分析です。

各書類の特徴を紹介します。

 

主な構成要素

書類から読み取れる情報の例

貸借対照表

資産

(キャッシュ、債権、固定資産など)

 

負債

(借入金、未払金、社債など)

 

純資産

(資本金、利益剰余金など)

企業の財政状態や資金調達方法

損益計算書

収益

(売上、営業活動以外による収益など)

 

費用

(経費、営業活動以外によるコストなど)

企業の経営成績、特にコストがかかっている部分など

キャッシュフロー計算書

営業活動、投資活動、財務活動それぞれによるキャッシュフロー

お金の動き、キャッシュフローの内訳など

分析の視点は大きく「成長性分析」「安全性分析」「収益性分析」「生産性分析」の4つです。

 

目的

分析対象の例

成長性分析

業績の成長度合いや将来性などの分析

売上高増加率、経常利益増加率、営業利益増加率など

安全性分析

資金繰りが安定しているかの分析

流動比率、固定比率、株主資本比率など

収益性分析

収益を上げられているかの分析

売上高利益率(総利益、営業利益、経常利益、純利益)

生産性分析

設備や人員などの生産手段を効率良く活用できているかの分析

労働生産性、労働分配率、総資本回転率など

把握したい情報にあわせて適切な分析手法を選ぶ必要があります。

資金管理

財務管理では、経営を行うにあたって資金を調達しなければなりません。

金融機関からの借り入れや社債や株式の発行など資金調達の方法は様々であり、状況に応じて最適な資金調達を行っていきます。

 

運転資金の確保するためには、棚卸資産回転期間と売上債権回転期間から買入債務回転期間を控除したキャッシュサイクルを算定することです。

予算管理

予算管理とは、売上や経費などの予算目標を設定して行う管理です。

事業における具体的な計画を立てていけるようになり、部門間の調整や会社全体の統制における機能を果たせます。

 

予算の編成を行い、実際に予算統制において予算と実際の分析を行っていくことで、改善点を探ることが可能です。

予算管理においてキャッシュフローまで落とし込むことで、資金の流れを把握できます。

財務管理を効果的に進めるためのポイント

財務管理で行う資金の調達・運用は会社の運命を左右する部分であり、他部署との連携を図っていかなければなりません。

闇雲にならないように、視野を広げて効率的な管理を行っていくのが鍵を握ります。

他部署とのコミュニケーションを強化する

財務管理は、経営環境に応じて迅速に意思決定を行わなければならず、適時適切に必要な情報を集めなければなりません。

他部署とのコミュニケーションをしておけば、円滑に情報提供を受けられるようになります。

 

スピード感を持って分析が出来るようにすることで、取引機会を失うことなく最適な意思決定が可能です。

黙々と資金計画を立てるだけではなく、日頃より他部署との連携強化を目指していきましょう。

財務管理と経理業務を切り分ける

財務管理と経理は似ている業務があり、特に中小企業では混同して行われていることが多いです。

経理業務を分けていければ、財務管理の業務に集中することが可能になります。

より適切に資金の調達・運用ができるようになるでしょう。

 

財務管理は経営の行方を左右する意思決定をすることもあり、集中して業務をするのが大切です。

リスクを把握する

財務管理は、利益を追求するために資金の調達・運用するだけではなく、リスクから会社を守り抜く役割もあります。

会社経営で注意するべき主なリスクとして以下の例が挙げられます。

  • 取引先リスク:主要顧客の倒産や支払い遅延
  • 資金繰りリスク:銀行からの融資条件の悪化
  • 市場リスク:為替変動や株価の下落
  • 事業リスク:新規事業の失敗や競合の参入による収益悪化
  • 法規制リスク:税制改正や会計基準の変更
  • 人的リスク:経営陣やキーマンの退職

 

このように内的要因から外的要因まで様々なリスクが存在するため、すべての資金を運用するのは危険です。

リスクを事前に把握・予測し、緊急時の資金調達手段や内部留保で備えることが重要です。

財務管理システムを導入する

財務管理では、財務分析から計画を立てていくにあたり、システムを導入することで効率的に管理していけるようになります。

定常業務である請求書の作成を自動化したり、支払い状況も一括で管理が可能です。

キャッシュフローを見える化することで現状を把握できるようになり、経営における変化にいち早く気付けます。

 

リスクを回避するためにも、財務管理システムにより異常を検知していくことです。

財務管理担当者に求められるスキルと知識とは

財務管理への転職を希望するのであれば、事前に財務管理に求められるスキルや知識を身につけておくのが理想です。

実務を通して身につけることもできますが、選考の過程でスキルをアピールできれば転職活動で有利になる可能性が高いです。

この章では財務管理担当者に求められるスキルや知識について、実務面・知識面・スキル面の3つに分けて紹介します。

資産運用やリスク分析など経営視点の考え方

財務管理担当者には、資産運用やリスク分析など経営視点での考え方ができることが求められます。

スキル面・知識面・実務面のうち、実務面に該当する要素です。

 

前述のように、財務管理は経営者や管理部門など「社内の意思決定者」に向けた情報活用を目的としています。

また、財務管理における資金調達や運用などの業務は、リスクを最小限に抑えながら企業価値を高めるためのものです。

財務管理は会社を成長させるための経営戦略にかかわる業務のため、担当者は業務にあたり経営視点で考える必要があります。

財務諸表の読み方と会計・税務の基本知識

財務管理の具体的な業務内容として、財務諸表分析を挙げました。

財務諸表の数字を用いて分析をするためには、当然ながら財務諸表の読み方を知っている必要があります。

また、財務諸表をより深く読み解くためには、それぞれの数字がもつ意味や計算におけるルールについての知識も必要です。

計算方法を知っているだけでは計算結果が何を示すかまでは理解できず、情報を活用しきれない恐れがあります。

したがって、財務管理の担当者には財務諸表の読み方と会計・税務に関する基本的な知識も求められます。

ITツール・システム活用スキル

財務管理の業務では多くの情報を分析する必要がありますが、すべて手作業で行うと膨大な時間がかかってしまいます。

そのためデータの整理や分析、計算等の場面ではITツールやシステムを活用するのが一般的です。

 

しかし、ITツールやシステムを使いこなすには、ツール等の操作方法や特徴についても理解する必要があります。

ITツール・システムを一通り活用できるようになるまでは、実務で躓いてしまう場面が多く発生し、想定よりも時間がかかる恐れがあります。

以上の理由から、財務管理として働くにはITツール・システム活用スキルが高いのが理想です。

最低でも基本的なPC操作のスキルは身につけるべきといえるでしょう。

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まとめ

財務管理とはどんな業務か、経理との相違やポイントについて解説しました。

財務管理の役割は、資金調達・運用に伴う管理により企業価値を高めることです。

未来に向かって模索していく点で、過去の取引記録をする経理とは異なります。

 

業務内容は、財務諸表の分析から資金計画や予算編成・予算統制により、財務的視点で管理を行っていくことです。

他部署とのコミュニケーションを日頃より行いながら、財務管理システムで効率的な管理をするのがポイントになるでしょう。

Profile レックスアドバイザーズ

公認会計士・税理士等の有資格者をはじめとする会計人材専門特化した人材紹介会社。
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