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監査法人の早期退職について解説!事例やその後の生活について

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早期退職とは経営難などの理由による人件費削減のため、会社が募集する希望退職に応募して退職することを意味します。

会社都合での退職として扱われ、退職者には通常より多めの退職金が支払われる傾向です。

 

業界・業種問わず発生する可能性のある早期退職ですが、監査法人でも早期退職募集が行われた過去がありました。

早期退職の必要性やその後の動きなどを知ることが、今後のキャリアを考える上で役立つ可能性があります。

 

本記事では監査法人の早期退職について、過去の事例をふくめて解説します。

監査法人の早期退職に関する事例

まずは監査法人の早期退職に関する事例の紹介です。

早期退職が募集された時期や退職者の人数などを解説します。

①トーマツの早期退職募集に多数が応募

BIG4(四大監査法人)のひとつである有限責任監査法人トーマツは、2011年に早期退職の募集を実施しました。

当時は公認会計士試験の合格者数が非常に多く、就職難まで発生していた状態です。

このような状況を打破するため、トーマツを含む大手監査法人は人員整理を進めるようになりました。

 

トーマツの早期退職募集は、一般の監査担当者などの枠が400人、幹部枠が40人でした。

しかし一般枠は予定を大幅に上回る応募者数が殺到、600人が集まる結果だったようです。

 

早期退職を実施した人数は、応募対象に当てはまるうちの1割ほどという多さでした。

 

早期退職者の多くは30代の会計士です。

転職するならキャリアアップの選択肢が多いうちが良いという理由で、早期退職に応募した人が多いと推測できます。

②新日本監査法人が早期希望退職を実施

EY新日本有限責任監査法人もBIG4のひとつです。

新日本監査法人はトーマツよりも1年早い、2010年に早期退職の募集を行いました。

 

募集対象は特定の部署に所属する人や若手を除いた約4800人です。

募集枠は400人でしたが、トーマツの事例と違い、希望者の殺到には至りませんでした。

早期退職の募集枠を埋めるため、さまざまな手回しが必要だったようです。

 

新日本監査法人の早期退職募集は、トーマツよりも1年早い時期に行われました。

前例がないため勝手や転職活動成否の可能性がわからず、慎重になっていた人が多かったためと考えられます。

③あずさ監査法人も早期希望退職の募集を

BIG4のひとつである有限責任あずさ監査法人は、2012年に早期退職の募集を行いました。

新日本、トーマツに続いての実施です。

 

あずさ監査法人は一人当たり人件費の高さなど、財政面でいくつかの課題を抱えていました。

それに加え公認会計士の合格者数増加による供給過多などによる収益率の悪化が起こり、早期退職募集に至ったと考えられます。

 

あずさ監査法人の早期退職応募者数は、前例の2法人より少ない280人程度でした。

早期退職割増賃金がやや低めな上、景気の悪化が進んでいたため、応募が少なかったと推測できます。

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監査法人の早期退職実施後はどうなる?

早期退職を実施した後、監査法人の内部はどうなるのでしょうか。

考えられる状況について紹介します。

残った人の負荷が増える

監査法人で業務をおこなう人の数は一気に減りますが、業務量自体の大きな変化はありません。

したがって早期退職者がいなくなる前と同じ業務量を、監査法人内に残った人がすべて請け負うことになります。

結果として残った人の負荷が増えてしまい、負担が大きくなります。

 

監査法人に限らず、早期退職後は残された人の負担増大が課題となりがちです。

業務量の調整が上手くいく、もしくは元々が業務量に対して人員が多すぎる状態だったなどの場合は、負荷が増えすぎる心配はあまりありません。

しかし実際のところ、早期退職実施後は業務負担の増大に悩まされがちです。

早期退職以外でも退職を選ぶ人が出る

早期退職実施から少し経つと、多くの場合、自己都合での退職を希望する人が出てきます。

早期退職募集の際は退職を選ばなかったにも関わらず、自己都合でも良いから退職したいと考えるのです。

 

退職を希望する理由として、早期退職による環境変化が考えられます。

人員数が大きく減ることで、業務体制や社内環境に変化が生まれます。

前述した負担増大も、早期退職実施による変化のひとつです。

 

このような状況に不満を覚え、退職を選ぶ人が出るのです。

 

そもそも:なぜ早期希望退職が募集されたのか

そもそも事例として紹介した監査法人では、なぜ早期希望退職が募集されたのでしょうか。

すでに触れた内容もありますが、あらためて解説します。

 

大きな理由として、公認会計士試験の大量合格による就職難が挙げられます。

採用枠を広げるために、内部の人員数を整理する必要があったのです。

 

また合格者多数による公認会計士の供給過多が、収益性の悪化にもつながっていました。

人件費削減による収益率改善も、早期退職で実現しようとした目的のひとつです。

 

 

このように早期希望退職を募集せざるを得ない状況がありました。

監査法人を早期退職した後について

監査法人を早期退職した人は、その後どのような道を進むのでしょうか。

選べるキャリアパスや生活への影響について解説します。

公認会計士として新たなキャリアを築く

早期希望退職の対象となる人は、ある程度勤続年数が長いケースがほとんどです。

すなわち別のキャリアを選べる可能性が十分に高いのです。

 

公認会計士は監査法人に限らず、さまざまな場所で活躍できます。

多くの公認会計士は最初の就職先として監査法人を選びますが、年数を重ねると監査以外のキャリアに進む人が増えてきます。

早期希望退職が募集されるタイミングは、公認会計士として新たなキャリアを築き始める良い機会となりやすいです。

 

別業種への転職や独立など、新たなキャリアを築くケースが多くみられます。

別の監査法人へ転職

別の監査法人への転職も、早期退職後に選ばれやすい方法です。

 

ひとくちに監査法人といってもさまざまな特徴が見られます。

社内環境や風土など内部的な要素は、監査法人によって違いが大きいです。

 

また特定の分野に特化しているなど、ほかでは見られない要素を持つ監査法人も存在します。

 

監査法人で勤務というキャリアを進み続けるとしても、複数の法人を経験することで幅を広げやすいです。

早期退職を機に、別の監査法人へ転職する人も多くいます。

早期退職して生活に困るケースは少ない

監査法人を早期退職した場合、当然ですが現職は失うことになります。

しかし生活に困るケースはそれほど多くありません。

 

前述したように公認会計士にはさまざまなキャリアパスが存在します。

早期退職の対象者はある程度監査法人での経験を積んだ人であるため、次のステップへ進む準備も十分です。

さまざまな職場で高い需要を誇るため、転職先に困る心配はほとんどないでしょう。

 

公認会計士の増えすぎによる就職難は新人に当てはまるものであり、経験を積んだ公認会計士にはあまり影響ありません。

したがって早期退職で生活に悪影響を与える恐れは小さいです。

 

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まとめ

かつてトーマツが実施した早期退職の募集では、予定していた枠を超える応募者が殺到しました。

一方でBIG4の中で最初に早期退職を募集した新日本監査法人は、前例がなかったため不安に感じた人が多かったようです。

あずさ監査法人のケースでは早期退職割増賃金の低さや景気の悪化により、応募者は少ない結果となりました。

 

監査法人で早期退職実施後は、残った人の負荷が大きくなってしまいます。

また環境変化を理由に、自主退職を選ぶ人も少なくありません。

監査法人の早期退職募集は、いずれも正当な理由により実施されたものでした。

 

監査法人を早期退職するタイミングは、公認会計士として新たな道を選ぶキッカケに最適です。

別の監査法人へ転職し経験を積むのも、キャリアアップに役立ちます。

早期退職後に生活で困る恐れはそれほど大きくないでしょう。

 

監査法人の早期退職について、事例とあわせて知っていただく機会になれば幸いです。

Profile レックスアドバイザーズ

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