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公認会計士は、法律に基づいた独占業務が認められています。
独占業務は財務諸表の「法定監査」で、会社法や金融商品取引法などの関連法令に基づいたものです。
監査は主に上場企業や、公益性の高い企業に対して行われるため、近年の新規上場案件の増加数や、海外上場企業の日本子会社に対する監査、内部統制などの案件が一定数あるため、引き続き公認会計士の需要は将来においても高いと言えるでしょう。
この記事では、AIの進化が業務に与える影響や、今後求められるスキル、キャリアパスの選択肢をわかりやすく解説します。
これからの働き方や専門性を見直したい実務者に向けた実践的なヒントが満載です。
公認会計士の将来性を登録者数と合格者データから読み解く
公認会計士という職業が、今後も社会に必要とされ続けるのか。その答えを探るうえで、まず注目したいのが登録者数の推移です。
2025年5月31日時点で日本公認会計士協会への登録者数は、正会員が36,910人(出典:日本公認会計士協会)、準会員が8,150人(同)で、合計は45,060人にのぼります。
2020年12月末時点では、正会員が32,744人、準会員が6,454人、合計で39,198人でした(出典:日本公認会計士協会)。
この5年間で登録者数は約14.95%増加しており、業界全体が安定的に成長していることがうかがえます。
令和6年(2024年)の公認会計士試験では、合格者1,603人のうち、20歳以上30歳未満の合格者が1,404人を占めています。女性合格者は359人で、全体の22.4%です。(出典:金融庁令和6年公認会計士試験合格者調、令和6年公認会計士試験)
これらのデータから、公認会計士という職業が今後も社会から求められ、成長を続けていくことが読み取れるでしょう。
公認会計士の将来性を考えたキャリアプラン
公認会計士の法定業務の1つである財務諸表の監査は、主に上場企業が株主に向けて公表する財務諸表の信頼性を担保するものであり、資本市場においても社会的にも意義のある仕事です。
公認会計士は、監査業務によりさまざまな業種を見ており、監査報告書の報告にあたり会社の経営者に進言することもあります。
監査業務を通じて業務統制や経営管理方法などを理解することで、ステップアップするための材料・きっかけを得ることができるでしょう。
公認会計士は法定独占業務である監査のほかに、非監査業務として上場を目指す上場準備企業(IPO準備企業)の任意監査や、アドバイザリー業務などを行います。
公認会計士はまた税理士として登録することが可能ですので、法人税や所得税、消費税のような企業にかかわる税務相談を対応することが可能です。
監査法人で昇進昇格を目指す
公認会計士の実務経験は監査法人で積んでいくことが一般的です。
監査法人で引き続き監査やチームマネジメントなどの経験を広げて、マネジャーやシニアマネジャーなどより高いポジションに向けて努力するということも現実的な選択肢の一つです。
海外企業とのミーティングや交渉ができるレベルの英語力を持っていれば、戦力のある人材としての評価が高まるでしょう。
BIG4などの最大手で監査業務の経験を積んでいれば、他の監査法人への転職の際に高い評価を受ける可能性があります。
投資銀行やM&Aのコンサルティングファーム
公認会計士はその会計や業務監査に基づく専門的能力を期待され、投資銀行や投資ファンドでの企業再生やM&Aに関する需要があります。
同様に、M&Aや会計系のコンサルティングファームでコンサルティング業務に就くことも可能です。
M&Aの重要な手続きの一つであるデューデリジェンスは公認会計士の業務の得意とする分野であり、この他にも経営分析、企業のバリュエーションなど財務会計の専門的な経験を生かすことができる業務があります。
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税務・会計コンサルタント分野
会計事務所、税理士法人でも、公認会計士の需要があります。
大手の事務所ではクライアントに上場企業や大企業があるため、会計の支援サービス、税務、管理会計のコンサルティングができる人材を必要としています。
相続税改正によって、より多くの相続税案件が増えましたので、個人または法人の資産税関連の対応のほか、事業承継アドバイスなど税務と会計の両方の経験が求められる案件でも必要とされるでしょう。
また、複雑なビジネスモデルを持つ世界的外資系企業や、海外展開企業では、その会計制度や税務制度の難易度が高くなります。
英語スキルがある公認会計士はこの分野での需要が高くなります。
年代別のキャリアプラン
認会計士試験合格者の約9割近くが20代であることを示しており、若手中心の職業であることがわかります。
令和6年(2024年)公認会計士試験における年代別合格者の人数と合格率は以下の通りです。
- 20歳以上25歳未満:61.5%(986人)
- 25歳以上30歳未満:26.1%(418人)
- 20代合計:87.6%(1,404人)
試験合格後は、監査法人での実務経験を積むことが一般的です。
若手はポテンシャル採用として育成され、将来的にはマネジャーやシニアマネジャーなどの管理職を目指すキャリアパスが開かれています。一方、一般企業では、将来の経理・財務部門のマネジャー候補として採用されるケースも多く見られます。
また、外資系企業やグローバル案件を担当する機会もあるため、英語によるコミュニケーション能力は重要です。
TOEICであれば少なくとも700点以上、Big4監査法人を志望する場合は800点以上を目指すことが望ましいとされています。
30代以降の転職では、これまでの経験を活かして経理・財務部門の責任者や、経営企画・内部監査などのポジションに抜擢される可能性があります。
特にベンチャー企業や中堅企業では、CFO(最高財務責任者)候補としての採用も視野に入るなど、キャリアの選択肢は多様です。
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公認会計士の将来性は
公認会計士は、合格率の難易度から日本の国家資格で上位に位置づけられている重要な資格です。
会計制度に関する高い専門性と監査業務による豊富な経験に裏付けされた資格であり、監査法人での高待遇や、一般企業における経営層への参画の可能性など、魅力のある資格です。
公認会計士の独占業務である「法定監査」は、対象企業数が上場企業から地方公共団体、信用金庫などの金融機関まで幅広く、景気の影響を受けにくい安定した職種の一つと言えます。
監査法人での公認会計士需要の高まり
公認会計士の仕事は、一般的に豊富な知識力とクライアントとの高いコミュニケーション力が必要とされ、年齢や性別を問わず誰でも活躍できる機会ができます。
かつては長時間労働が常態化していた監査業務も、デジタルツールの導入により合理化が進み、働き方が変化してきています。
最近では監査法人において監査対応ができるスタッフ数が十分でないことを背景に、パートタイムや時短出勤の制度を設け、出産や育児で休職する女性も復帰しやすい環境が徐々に整えられています。
育児や介護と両立しながら働ける環境が整いつつあり、特に人生のイベントでキャリアを中断しやすい女性にとっては安心して働くことができます。
公認会計士は、キャリアダウンを心配せず長く働いていけるというメリットがあります。
IT化による業務の効率性向上
IT技術の発達により、監査業務がますます効率的に実施できるようになってきました。
一般的なIT化の推進とAIによって、会計業務の一部または多くの部分は人の手に代わって対応されるようになるでしょう。
AI(人工知能)やデータ分析技術の急速な進化により認会計士の仕事は、いま大きな転換期を迎えています。
これまで人の手で行われていた膨大な帳簿の確認や証憑の突合せといった作業は、AIの導入により、瞬時に処理できるようになりつつあります。
日本公認会計士協会(JICPA)が2024年に発表した研究文書によれば、監査業務におけるAI活用は「異常検知」「分析的手続の高度化」「監査調書の作成補助」など、実務の多くの場面で広がりを見せています 。(日本公認会計士協会:AIによる監査の変化と公認会計士に期待される役割について)
こうした技術革新は、単なる業務の効率化にとどまりません。
AIは企業の取引データをリアルタイムで収集・分析し、異常値や不正の兆候を早期に検知することが可能です 。
これにより、公認会計士はより本質的な業務、たとえば経営層との対話やリスクへの助言、企業価値の評価といった高度な判断が求められる分野に、より多くの時間とエネルギーを注げるようになっています。
「AIによって会計士の仕事が奪われるのではないか」といった懸念の声もありますが、定型的な作業が自動化されることで、会計士の専門性が一層際立ち、企業からの期待も高まっています。
JICPAの報告でも、AIを活用しながら経営課題に切り込める人材が、監査法人やコンサルティングファームで特に重宝されていると指摘されています 。
AIは公認会計士にとって脅威ではなく、むしろ新たな可能性を切り拓く存在であると言えるでしょう。
まとめ
公認会計士の業務は監査の立場と企業で働く立場でそれぞれ目的が変わります。
ITやAIを効率的に利用することで、休日出勤も多く激務といわれていた監査業務が合理化され、より働きやすくなる可能性があります。
クライアント数や対応すべき監査業務は増加傾向にあるため、監査法人での公認会計士の需要は引き続き高いといえるでしょう。
企業に勤める場合でも、専門的能力の高さ、豊富な経験を背景に、経理部門の責任者や将来の幹部候補として公認会計士の需要が続くと考えられます。
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