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BATIC(国際会計検定)とは?2021年から試験制度が変更に
BATIC(国際会計検定)とは、商工会議所が主催する国際会計に関する試験です。
その概要や試験内容また日本で注目されている理由について本記事で解説していきます。
BATICとは?その概要について
①BATICとは
BATICとは、東京商工会議所主催の国際会計検定です。
名称は「Bookkeeping and Accounting Test for International Communication」の略からきています。
IFRS(国際会計基準)による会計スキルとビジネスシーンに必要な英語力の2つを同時に測る検定試験です。
試験で用いられる言語は英語で、合否の判定はありません。
TOEICなどと同様にスコア制の点数制度です。
近年日本でもグローバル化を受け、国際会計基準の適用が推進されています。
国際会計基準を適用するうえでの知識を身に着けた証明になるBATICは、企業や会計専門職から注目を集めている検定試験です。
②IFRS検定や日商簿記検定との違い
経理に役立つ資格はいくつかありますが、BATICはどう違うのでしょうか。
まず日商簿記検定との違いですが、出題のベースとなる会計基準が異なります。
国際会計検定は国際財務報告基準(IFRS)に沿って出題されます。
一方、日商簿記の出題は日本の会計基準がベースです。
IFRS検定は、その名のとおり国際会計基準の検定で、主催はロンドンに本拠地を置くICAEWという団体。
国際会計基準の検定という点はBATICと共通ですが、こちらは合否判定があり、また日本語で受験可能です。
英語は苦手だけど国際会計基準は勉強したいという方にはIFRS検定がおすすめです。
BATICは英語でしか受験できません。
英語の理解力がより求められるのがBATICといえます。
③USCPA(米国公認会計士)との違い
国際的な資格として人気のUSCPA(米国公認会計士)はどうでしょうか。
こちらも出題のベースとなる会計基準が異なり、USCPAでは米国会計基準(USGAAP)が用いられます。
BATICとは受験料にも大きな違いがあり、USCPAは米国で受けるなら1科目あたりUS$208.4。
日本で受けるなら1科目あたり約6万円と受験にかかるコストが高いです。
USCPAに合格すれば、海外で公認会計士として働くためのライセンス取得になります。
試験は英語のみで難関ではありますが、国際会計基準を学ぶには適切な資格です。
日本の公認会計士試験ほど難関でないことも人気の秘密でしょう。
しかしながら受験料が高く独学に関しては困難です。
国内企業の経理職としてスキルアップする目的であれば、BATICの方が向いているでしょう。
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BATICとは?試験内容について
①受験資格
特別な受験資格は求められません。
ただし、試験当日において、日本国内に居住している方に限ります。
②試験内容
試験の問題は、マークシートによる選択式問題と記述式問題との2つから構成されており、出題はすべて英文です。
以前は通学試験のみの実施でしたが、オンラインで受けられるようになりました。
記述式問題については解答も英文で行うことになっています。
試験科目は1種で制限時間は70分。
満点は400点です。
③出題範囲
- Basic Concepts of Accounting and Bookkeeping……会計と簿記の基本概念
- Transactions and Journal Entries…… 取引と仕訳
- Journal and Ledger…… 仕訳帳と元帳
- Trial Balance ……試算表
- Adjusting Entries…… 決算修正仕訳
- Accounting for Inventory and Cost of Sales…… 棚卸資産と
売上原価の会計処理 - Worksheet and Closing Entries…… 精算表と締切仕訳
- Financial Statements ……財務諸表
- Basic Assumptions and GAAP…… 基本的な前提とGAAP
- Financial Statement Analysis …… 財務諸表分析
- Internal Control…… 内部統制
- Cash Control…… 現金管理
- Accounting for Assets and Liabilities ……資産と負債の会計処理
④合格基準
合格・不合格ではなく取得したスコアによって3つの称号が認定されます。
- 初級レベル(50%) ・・・Entry
- 中級レベル(80%) ・・・Middle
- 上級レベル(90%) ・・・Advanced
受験者はスコアシートを受け取ることができます。
⑤試験日程
2021年にBATIC(国際会計検定)試験内容が改定されました。
インターネット上での受験(IBT)が可能になったことが大きな変更点です。
試験受付期間は第41回が6月28日(月)~7月30日(金)、試験実施日は7月14日(水)~8月6日(金)。
第42回 11月1日(月)~12月6日(月)に受付、試験実施期間が11月15日(月)~12月13日(月)でした。
以前は年2回、7月下旬ごろと12月中旬の年2回に実施されていましたが、少し試験期間が広がっています。
ただし、現在は会場受験(CBT)も同時に行われている、いわば移行期間といえます。
今後日程の変動や会場受験が取りやめになる、IBTに一本化するなど、さまざまに変化する可能性は十分あり得ます。
必ず公式ページを確認しておくようにしましょう。
BATICとは?難易度について
BATICは、マークシートと記述の併用により出題される試験です。400点満点で、合否判定はありません。
英語力は標準的なビジネスレベルが必要とされ、TOEICのスコアでいえば750点ほどといえます。
BATICとは?評価について
①信頼性
BATICで自身のスキルアップを図ることにより、グローバルな会計スキルを有したビジネスパーソンであることを示すことができます。
またBATICは英語の試験であり、ビジネスに必要な英語力があることも同時に証明できます。
②外資系企業への転職
グローバルな会計スキルを身につければ、転職の幅も広がります。
海外に事業所を持つ企業、外資系企業のほか、海外からの資金調達や国際的なM&Aを行う企業など、国際会計スキルをもつ人材へのニーズはたくさんあります。
こうした企業への転職希望がある人や、経理や会計職として自分の可能性を広げたい場合にも、BATICはおすすめできます。
BATICとは?日本でも注目されている理由について
①日本の会計基準の変化
日本では国際競争力の強化などを目的として、2010年にIFRS(国際会計基準)の任意適用の推進を開始し、現在も適用拡大のための施策を進めているところです。
これらの施策により、IFRS(国際会計基準)を適用する企業の数は増加しています。
また国際会計基準を適用する上場企業の割合も増えており、高い企業価値を誇る日本の優良企業の多くが、国際会計基準を適用し始めているということを示しています。
②ビジネスのグローバル化
国際会計基準の適用を日本が推進する背景にビジネスのグローバル化も影響しています。
特にインターネットなどの普及により、業種や事業規模の大小を問わず、国際市場と関わりを持たざるを得ない時代が到来しています。
このような状況からも日本と海外双方の会計ルールに精通する人材が必要となっているのです。
まとめ
BATIC(国際会計検定)に対する評価は上がってきています。
ただ、変更を受け挑戦するハードルが下がった分、今後どのような評価になるかは、まだはっきりしていません。
しかし、BATICを取得するために努力を積み重ねることは無駄にはならないはずです。
BATICを、自身のスキルアップや転職に生かしてはいかがでしょうか。
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