公認会計士・税理士 キャリアアップ通信

転職成功ガイド

税理士の後継者求人動向をみてみよう

目次

 

1.税理士の後継者求人の背景

 

少子高齢化はクライアントだけの問題ではなく会計事務所も同様です。

日本税理士連合会の公表資料では、税理士が最も多い年代は60歳代で、登録税理士の年齢層は50代以上がその過半数を占めており、平均年齢の高い業種です。

税理士の登録数から開業税理士(会計事務所の責任者)の数を見ると総数の70%を占めるおよそ56,000件の規模ですので、推定では60代、70代の税理士が個人で開業している事務所は全国に30,000以上あると見られます。70代の税理士が10%以上ですので単純計算でも3,000以上の事務所が後継者問題に直面していると見られます。

後継者問題は男女比率にも表れており、男性が全体の85%を占めているため女性の後継者が見つかりにくい業界構造もあります。

 

 

所長税理士の思いと後継者を見つける難しさ

 

会計事務所が抱える具体的な後継者問題として、特に中小規模の事務所では、後継者が不在であること(職員に税理士の有資格者がいない)、期待していた後継者候補の税理士が退職することになった、などがあります。

そのほかには事務所を経営できる人材に任せたい、個人事務所から税理士法人化を進めることで実質的な引退を検討したい、などの理由もあります。

所長税理士個人としては自らの会計事務所をクライアントとともに引き継いでもらった後でもクライアントとつながっていたい、会計事務所の顧問として手伝いたいなど様々な要望もあります。

 

この後継者問題を解決することで、会計事務所の存続による職員の雇用を維持でき、クライアントに対してもサポートを継続することができます。

 

後継者の候補がいない場合には求人により外部から採用しなければならず、コストと時間がかかります。

ようやく税理士を採用できたとしても、その人材が所長税理士の考え方と相違したり、事務所の職員やクライアントとの相性が合わず、後継者になる前に事務所を退職する場合があります。

実際の後継者を求人し、採用し、育成する手間は相当かかるため後継者問題の解決がなかなか進まないのが現状です。

 

また、後継者が全く見つからず所長税理士がやむを得ず、M&Aの仲介企業を通じて会計事務所を譲渡することもあります。

M&Aの場合、買収した側も、職員との面談を重ね、クライアントとも複数回の面談を繰り返して信用を築くところから始めなければならず労力は相当かかります。

 

 

2.求人で確認!クライアントは後継者となる税理士が引き継ぐ

税理士法では税務相談、税務申告書の作成代理を税理士の独占業務としていることから、これらの業務を委託しているクライアントは、会計事務所と顧問契約が締結しており、その契約主体は会計事務所または所長税理士になります。もし後継者としてこれらのクライアントを引き継ぐ場合は契約主体の変更が必要になります。

 

多くの場合は会計事務所に勤めている税理士が後継者として最初に検討されますが、不在の場合は、後継者候補として募集し、外部から税理士を採用します。

中堅規模の会計事務所ではまず幹部職候補として税理士を採用し中長期的な後継者として育成することが多くあります。

 

事業の承継に係るクライアントの不安

事業承継によって所長税理士が変わる場合、クライアントとの顧問契約が長ければ長いほど、クライアントから見ると不安は出てくるでしょう。

このような場合にはより丁寧に対応し、不安を解消する必要があります。

後継者として会計事務所を引き継ぐのであれば、承継後の対応まで見すえて計画をしていくことが大事です。

前任所長の経営方針やサービス品質を適切に引き継ぐために、クライアントに現況のサービスの満足度を複数回ヒアリングしたり、より良いサービスを目指すための情報を取得したりする必要があります。

 

税理士法人化

後継者対策として、個人の事務所から税理士法人化する方法もあります。

「税理士法人」は「2人以上の税理士が設立する法人」のことで、税理士法人は支店展開も可能になります。(各支店に税理士が在籍していることが前提になります)

所長税理士は通常業務から引退しても引き続き共同経営者として新しい後継者と伴走するなど、後継者から見ると会計事務所の経営リスクを共有化できるとともに、必要に応じてアドバイスを求めることができるメリットがあります。

 

税理士所長に後継者として指名されたら

 

中堅規模の会計事務所では数ある担当者の中で後継者として指名されることは、企業でいえば経営者となることを意味しますので大変光栄なことです。

中小規模の会計事務所では、目が届く職員、クライアントの全ての責任を担うことになりその実感が湧きやすいでしょう。

大手の会計事務所であれば後継者をパートナーとして共同経営者に指名します。給料はかなり高額になり数千万円になる場合もあります。

指名をされた場合は、将来のキャリアをよく検討して受諾するかどうかを決定しましょう。

 

3.税理士の後継者求人が必要な理由

クライアントが離れる場合に備えるため

中小規模の会計事務所では所長税理士とクライアントとの結びつきが強く、会計事務所を引き継いだ際、所長が変わるのであれば顧問契約を継続しないと選択されてしまうケースがあります。

 

あるいはクライアント側でも創業者の2代目が会社を引き継いだ後、会計事務所とクライアントとの関係が見直される場合があります。

せっかく後継者として事務所の運営を任されたとしても、複数のクライアントが事務所との契約を破棄(次回の顧問契約を更新しない)されないよう、早期に信頼関係を構築することが大切です。

 

また、クライアントによっては日頃から会計事務所のサービスに十分満足をしていないと感じている、会計事務所とのコミュニケーションに難しさを感じているなど、普段から抱えている不安がある場合、会計事務所の経営者が交代するタイミングで顧問契約を解除して別の会計事務所に移ることもあります。

承継を良い機会ととらえ、サービス改善にも取り組んでいきましょう。

 

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