転職お役立ち情報
税理士は後継者の募集が多い!求人探しのポイントや引き継ぎ後の注意点とは

税理士の求人は単純なスタッフ・所属税理士を募集するものだけでなく、後継者になる前提の求人も多く存在します。
税理士に後継者の募集が多い理由や求人探しのポイント、後継者になる際の注意点を取り上げました。
税理士に後継者の募集が多くみられる理由
税理士に後継者の募集が多くみられる理由として、税理士ならではの課題や背景が挙げられます。
今回は考えられる理由を2つ紹介します。
税理士の高齢化が進んでいる
税理士に後継者の募集が多くみられる理由のひとつが、税理士の高齢化が進んでいるためです。
税理士の平均年齢は60歳前後といわれています。
日本税理士連合会の公表によると、平成26年1月1日時点の税理士の年齢層のうち、もっとも割合が大きいのは60代で30.1%でした。
税理士全体のうち60歳以上が過半数を占めており、50歳以上に範囲を広げると、7割を超えています。
少し古いデータではありますが、税理士は年齢層がかなり高めといえるでしょう。
年齢が上がるにつれ、さまざまな理由から引退や廃業の必要性が高まります。
したがって高齢化が進む税理士業界は、自然と後継者募集が多くなりやすいのです。
所長税理士になれるスキルを身につけるのに時間がかかる
税理士に後継者募集が多い理由として、所長税理士になれるスキルを身につけるのに時間がかかる点も挙げられます。
前提として、税理士登録をしている人の数自体は少なくありません。
2016年度から2020年度の税理士登録数から、税理士の数は増えているとわかります。
2016年度 | 76,493人 |
2017年度 | 77,327人 |
2018年度 | 78,028人 |
2019年度 | 78,795人 |
2020年度 | 79,404人 |
引用元|税理士制度 国税庁
また年によって多少の変動はありますが、毎年500〜800人ほど5科目合格到達者がいます。
令和3年度に実施された第71回税理士試験の5科目合格到達者数は585人でした。
5科目合格した人が必ずしも税理士登録するとは限りませんが、税理士となる資格を有する人は毎年数百人のペースで増えているといえます。
しかし税理士試験に合格し税理士登録をしたからといって、すぐに所長税理士になれるわけではありません。
税理士として独立開業するためには、税理士として十分な経験を積む必要があります。
必要な年数について一概にはいえませんが、およそ10年程度の実務経験を積んだ上で開業するケースが多いようです。
前述したように、税理士の平均年齢は60歳を超えています。
税理士に定年はありませんが、高年齢になるほど廃業や引退の必要性が高くなります。
そして自身が引退するために後継者を探そうと考え始めても、所長税理士になれるほどの高いスキルを持つ税理士をすぐに見つけられるとは限りません。
とはいえ税理士登録前・直後の税理士を雇って後継者となる前提で育成をするのでは、時間がかかり過ぎてしまいます。
後継者となる人材をゼロから育成するのは時間的な理由から難しいために、スキルの高い税理士を後継者として募集するケースが多いのです。
会計事務所への転職を希望されている方向け
転職相談会
税理士の後継者募集に応募!求人探しのポイントとは
税理士の後継者募集は、将来的に独立して自身の事務所を持ちたい・所長税理士に必要なスキルをすぐに身につけたい人に適しています。
しかし後継者となる前提の求人は、一般的な所属税理士を募集する求人とは異なる点も確認が必要です。
税理士の後継者求人を探す際のポイントを3つ紹介します。
募集要項や応募資格をしっかり確認する
求人探しや応募の手間を最小限にするため、募集要項や応募資格をしっかり確認しましょう。
後継者を募集する求人は所長の座を引き継ぐ人を探すものであるため、求職者に求めるものも多くなります。
したがって募集要項や応募資格も厳しくなりがちです。
募集要項や応募資格の条件を満たさない求人に応募しても、選考通過の可能性は高くありません。
無駄な工程が発生する原因となってしまいます。
求人探しや応募にかかる労力を小さくするため、募集要項や応募資格の条件を満たすか入念に確認する必要があります。
経営理念に共感できる会計事務所を選ぶ
後継者募集の求人に応募する際は、経営理念に共感できる会計事務所を選ぶことが大切です。
後継者募集の求人は、単純な勤務先・所属先として選んで応募するものではありません。
将来的に自身が代表となる会計事務所を選ぶ行為でもあります。
経営理念に共感できない会計事務所では、代表である自分の意思と、事務所のあるべき姿に相違が出てしまいます。
後継者となっても、本当の意味で事業を引き継いでいるとはいえないでしょう。
後継者募集の求人選びでは、単純な勤務条件や仕事内容だけでなく、経営理念が非常に重要です。
所長税理士としっかり会話・すり合わせをする
スムーズな承継やトラブル防止のため、所長税理士としっかり会話・すり合わせをすることも大切です。
後継者として会計事務所を引き継ぐ以上、現代表である所長税理士の理念や考えをしっかり理解する必要があります。
求人や公式サイトにある程度の説明が載っているとはいえ、文字情報だけですべてを把握するのは困難です。
また発信された内容を受け取るだけでは、自身の疑問や意見を伝えることもできません。
所属先・勤務先としての求人探し以上に、所属税理士との話し合いが重要となります。
税理士の後継者問題は募集時だけではない!引き継ぎ後の注意点
会計事務所の後継者を募集する際、人材を探す段階や引き継ぎの工程でトラブルが起こりやすいのは事実です。
しかし引き継ぎが完了すれば安心とは限りません。引き継ぎ完了後のトラブルにも注意が必要です。
税理士の後継者募集において、引き継ぎ後の注意点を紹介します。
クライアントの不安解消や関係性構築が重要
税理士の後継者求人に応募し事務所を引き継ぐ際は、クライアントの不安解消や関係性構築が重要です。
会計事務所の所長税理士が変わるというのは、クライアントにとって、自身をサポートしてくれる税理士が変わることを意味します。
所長税理士の交代はクライアントに大きな影響を与えるでしょう。
税理士としてのサポート内容が同じとはいえ、相性の良し悪しや温度感による違いは決して小さくありません。
所長税理士が変わることに対して、クライアントが不安や懸念を持つのは当然です。
クライアントのケアを怠ると、後述するように、クライアントが離れる恐れが大きくなります。
税理士としてのサービス提供だけでなく、不安解消・関係性構築といったコミュニケーションに力を入れましょう。
スタッフとの入念なコミュニケーションも必須
クライアントだけでなく、スタッフとの入念なコミュニケーションも行う必要があります。
所長税理士が変わるというのは、スタッフにとって非常に大きな変化です。
特に規模の小さい会計事務所は、所長税理士の雰囲気や考えが事務所全体に色濃く反映されます。
これまで通りに業務を行いながらも事務所の変化に対応するのは容易ではありません。
所長税理士の交代によって、スタッフは大きな不安やストレスを感じているといえるでしょう。
コミュニケーションが少ないとスタッフとの関係性構築にも時間がかかります。
不安やストレスに気づけないまま高いパフォーマンスを求めてしまい、後述するトラブルにつながる恐れもあります。
後継者として所長税理士になってしばらくの間は、スタッフとのコミュニケーションも重要な業務のひとつと考えるべきでしょう。
税理士の後継者求人で多くみられるトラブル例
税理士事務所の後継者になる場合、通常の開業では起こり得ないトラブルに遭遇する恐れがあります。
税理士の後継者求人で多くみられるトラブル例を紹介します。
クライアントが離れる
よくあるトラブルのひとつが、クライアント離れです。
クライアントとの関係性構築が上手くいかず、クライアントが別の会計事務所との契約を決めるケースは珍しくありません。
ただしクライアント離れが必ずしも悪いとは限りません。
対人サービスである以上、どうしても相性の良し悪しによって仕事のしやすさは変わります。
互いに相性が悪いと思いながらも無理に契約を続けるのは、かえってストレスになる恐れが大きいです。
また、所長税理士の交代はクライアントにとって、顧問税理士の変更や別のサービスを検討する良い機会でもあります。
クライアントのケアや関係性構築に力を入れつつも、クライアント離れを完全に防ぐことはできないという認識が必要です。
スタッフと衝突する・スタッフが離職する
スタッフとの衝突やスタッフの離職も、所長税理士の交代によって多く起こるトラブルです。
スタッフ関連のトラブルも、前述したクライアント離れと同様、ある程度は仕方ない部分もあります。
特に規模の小さい事務所ほど所長税理士の色が強いため、より相性の良い所長のいる事務所に転職するのもひとつの手段です。
スタッフとの衝突についても、互いの理解が浅い最初のうちは仕方ありません。
しかし、新たに人を雇う手間やコストなどを考えると、スタッフの離職は最小限にできるのが理想です。
スタッフとの衝突も最小限に抑え、少しでも早く信頼関係を築くべきといえます。
スタッフ関連のトラブルをゼロにはできないという前提を持ちつつも、トラブルを最小限に抑えるための努力が必要です。
まとめ
税理士は後継者募集が多くみられる職業です。
後継者募集の求人への応募は、単に勤務先となる事務所を探すだけでなく、将来的に自身が所長税理士になる候補先を見つける行為でもあります。
そのため通常の求人探しとは違い、経営理念に共感できるか否かの確認や、現所長税理士との入念なすり合わせが必要です。
会計事務所の後継者として所長になると、クライアント・スタッフ関連のさまざまなトラブルの恐れもあります。
トラブルをゼロにはできないという前提を持ちつつも、トラブルの原因や最小限に抑えるためのポイントをしっかり押さえましょう。
税理士の後継者募集の求人を探す上での参考になれば幸いです。
Profile レックスアドバイザーズ
公認会計士・税理士等の有資格者をはじめとする会計人材専門特化した人材紹介会社。
■公認会計士・税理士・経理の転職サイトREX
https://www.career-adv.jp/
■株式会社レックスアドバイザーズ
https://www.rex-adv.co.jp/
公認会計士・税理士・経理・財務の転職は
レックスアドバイザーズへ