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法科大学院とは?学習内容や進学するメリット、注意点などを解説

更新日:2023.05.26

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法科大学院とは裁判官・検察官・弁護士の養成を目的とする専門職大学院です。

司法試験の受験を前提としており、法学未修者も入学できます。

 

今回は法科大学院について、概要やメリット・デメリットなどを詳しく解説します。

法科大学院とは?その概要について

第一に、法科大学院とはどういうものなのでしょうか。

まず、その概要について紹介します。

裁判官・検察官・弁護士の養成を目的とする専門職大学院

法科大学院とは、裁判官・検察官・弁護士(法曹三者)の養成を目的とする専門職大学院です。

通称「ロースクール」とも呼ばれます。

 

大学法学部と法科大学院の大きな違いとして、司法試験の受験を前提とするか否かが挙げられます。

大学法学部は法律を専門とする学部ではありますが、司法試験のために勉強するわけではありません。

ほかの各部の講義を受けることもでき、卒業後の進路も法曹に限らず幅広い選択肢がみられます。

 

法科大学院は法曹三者の養成を目的としており、司法試験に向けた学習が中心です。

法曹界で働く力を身につけるための実践的な内容も多く扱っています。

 

法科大学院への入学資格

法科大学院に入学するためには、入学試験に合格する必要があります。

入学試験出願資格は学校によって異なりますが、原則として大卒もしくは試験を受ける年の大学卒業見込みが条件です。

 

例外として、大学に3年以上在籍しており、一定以上の単位や評価を得ている人や、大卒と同等以上の学力があると認められた人は、出願資格が認められるケースがあります。

※所定の日程までに22歳に達する必要有

 

出願前に個別の出願資格審査を受けて出願が認められれば、大卒・大学卒業見込みでなくても受験可能です。

法科大学院で勉強する内容

法科大学院では、法律に関する広く深い内容の勉強ができます。

司法試験に向けた座学はもちろん、インターンシップのような実務経験を積める機会も豊富です。

 

専門職大学院設置基準20条の3及び23条における法科大学院の科目群は以下の通りです。

 

  • 法律基本科目群:48単位以上
  • 公法系・民事系・刑事系
  • 法律実務基礎科目群:10単位以上
  • 法曹倫理・法情報調査・法文書作成・模擬裁判など
  • 基礎法学・隣接科目群
  • 展開・先端科目群

 

正確なカリキュラムは学校によって異なりますが、おおむね上記の内容を取り扱うイメージといえます。

法科大学院 入試の概要

法科大学院の入試日程や細かな内容は学校によって違いが大きいため、必ず受験を検討している学校の案内を確認する必要があります。

ここでは、法科大学院全般で共通する大まかな内容を紹介します。

 

必要書類:一般的な願書や各種資料のほか、法曹志望理由などを記載した書類が求められるケースが多いです

 

試験:入学するコースによって異なります

 

  • 法学既修者コース:法律基本7科目(司法試験の科目と同じ)の法律論文試験が行われることが多いです
  • 法学未修者コース:法学未修者コースでは小論文試験が課されるケースが多くみられます

 

面接:法学未修者コースでは、適性チェックとして面接を実施するロースクールも多いです

法科大学院の合格率

法科大学院の合格率は、学校によって大きな違いがあります。

今回は文部科学省が公開している「各法科大学院の平成29年度〜令和3年度入学者選抜実施状況等」から、競争倍率についてわかることを紹介します。

 

  • 競争倍率は学校によって異なるものの、おおむね1.5~3倍程度
  • いずれの学校・年度も競争倍率が1倍を下回ってはいない
  • すべての学校をトータルした上での平均競争倍率は2.2倍程度
  • 年によって競争倍率が1倍近く上下するケースもある

 

学校によって数値に違いがあるとはいえ、いずれの学校・年度も競争倍率は1倍以上ですので、簡単に入学できるわけではありません。

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法科大学院に進学するメリット

この章では法科大学院に進学するメリットを3つ紹介します。

司法試験の受験資格を確実に得られる

メリットのひとつが、司法試験の受験資格を確実に得られる点です。

 

  • 司法試験は誰でも受験できるわけではなく、以下いずれかの要件を満たさなければなりません。
  • 法科大学院(ロースクール)修了
  • 司法試験予備試験に合格

※司法試験予備試験:法科大学院課程を修了した人と同等の学識や能力などを持つか判定するための試験

 

文部科学省が公開する「令和3年司法試験予備試験受験状況(大学別・全体)」によると、令和3年度の予備試験の受験者および合格者は以下の通りです。

 

受験者総数 7,916人
合格者総数

315人

合格率 約4%

 

 

このように予備試験の合格率は非常に低いものとなっています。

法科大学院へ進学・修了すれば、予備試験を受けることなく司法試験の受験資格を得られます。

司法試験の受験資格を確実に得られる点は法科大学院ならではのメリットでしょう。

実務に必要な知識も身につく

法科大学院では司法試験に必要な知識だけでなく、実務に必要な知識も身につけられます。

法科大学院は講義形式の授業に加え、インターンシップ・エクスターンシップも導入しています。

弁護士事務所などでの実務経験は、法曹に必要な思考力・実践力を養う上で非常に有用です。

 

独学ではどうしても実務経験を得にくいです。

法曹界の実務経験を通じて実務に必要な知識・スキルを得られる点も、法科大学院に進学する大きなメリットといえます。

社会人でも通いやすい

法科大学院の中には、社会人でも通えるよう夜間コースを設けている学校があります。

勤務時間および授業時間の兼ね合いにもよりますが、選ぶ学校によっては社会人でも通いやすいでしょう。

 

また法科大学院は現役の弁護士や元法曹といった実務家教員が多く在籍しており、実務的な内容を学べます。

法曹界で必要となる実践的な知識も身につけられるため、忙しい社会人が効率良く勉強する手段として非常に有用です。

法科大学院に進学するデメリット

続いて、法科大学院に進学するデメリットを紹介します。

学費が高額

法科大学院のデメリットのひとつは、学費が高額な点です。

 

具体例として、「各法科大学院の平成29年度〜令和3年度入学者選抜実施状況等」で特に競争倍率が高い2校の学費を紹介します。

 

一橋大学(国立)

 

  • 入学料282,000円
  • 授業料年額804,000円

 

学習院大学(私立)

 

  • 入学金150,000円
  • 授業料年額1,114,000円
  • 入学手続時納付金:894,200円
    (※入学金+前期学費557,000円+施設設備費186,000円+輔仁会費1,200円)

 

国立大学の学費は共通、私立大学の学費は学校によって異なります。

いずれにせよ、法科大学院の学費は決して安くないといえるでしょう。

法科大学院の数自体がそれほど多くない

2023年度の入学者選抜を実施した法科大学院の数は以下の通りです。

国立大学 15校

北海道

北海道大学

宮城県

東北大学

茨城県

筑波大学

千葉県

千葉大学

東京都

東京大学

東京都

一橋大学

石川県

金沢大学

愛知県

名古屋大学

京都府

京都大学

大阪府

大阪大学

兵庫県

神戸大学

岡山県

岡山大学

広島県

広島大学

福岡県

九州大学

沖縄県

琉球大学

公立大学 2校

東京都

東京都立大学

大阪府

大阪公立大学

私立大学 17校

東京都

学習院大学

東京都

慶應義塾大学

東京都

上智大学

東京都

専修大学

東京都

創価大学

東京都

中央大学

東京都

日本大学

東京都

法政大学

東京都

明治大学

東京都

早稲田大学

愛知県

愛知大学

愛知県

南山大学

京都府

同志社大学

京都府

立命館大学

大阪府

関西大学

兵庫県

関西学院大学

福岡県

福岡大学

 

日本全国の合計で34校と少ない数であり、選択肢が多いとはいえません。

エリアによっては通える法科大学院がない可能性も有り得ます。

 



修了しても司法試験に合格するとは限らない

法科大学院を修了しても、司法試験に合格するとは限りません。

文部科学省が発表したデータによると、法科大学院修了者の司法試験合格率は以下の通りです。

 

平成28年度

20.7%

平成29年度

22.5%

平成30年度

24.7%

令和元年度

29.1%

令和2年度

32.7%

法科大学院の修了によって得られるのは、あくまでも司法試験の受験資格です。

司法試験を前提とした授業を受けられるとはいえ、合格を保証するものではないと認識する必要があります。

法科大学院に通うべき?

司法試験の受験資格を得る方法は、法科大学院の修了と予備試験合格の2つです。

つまり司法試験を受けたいからといって、必ずしも法科大学院に通う必要はありません。

 

この章では、法科大学院に通うべきか考える際のポイントを紹介します。

法科大学院は法学未修者も入学できる

法学未修者であれば、法科大学院への通学がおすすめです。

 

法科大学院には法学未修者コースがあり、法学を勉強したことがない人でも必要な知識をしっかり身につけられます。

実務家教員が多いため、実務的な内容を学ぶ・法曹界と直接触れ合う機会も豊富です。

 

法学未修者向けのカリキュラムがしっかり整っているため、法学未修者は法科大学院で勉強をするのが効率的といえます。

 

働きながらでも勉強しやすい

夜間コースのある法科大学院であれば、働きながらでも勉強しやすいです。

司法試験合格のためには、勉強時間の確保だけでなく、適切なスケジュールの設定や勉強内容の工夫なども必要となります。

忙しい社会人にとっては、勉強の計画を立てる工程だけでも大きな負担になりがちです。

 

働きながら勉強するのであれば、カリキュラムが用意されスケジュールも決まっている法科大学院が便利です。

最短での司法試験受験・合格を目指す人には不向き

 法科大学院は既修者コースが2年、未修者コースが3年となっています。

すなわち、法科大学院の入学から修了、司法試験の受験資格を得るまでに最短でも2年はかかります。

 

一方で、予備試験には特別な受験資格がなく、予備試験に合格さえすれば司法試験の受験資格を得られます。

人によっては2年よりも短い勉強期間で予備試験に合格し、司法試験の受験資格を得るケースもあるでしょう。

 

以上の理由から、2年以下という最短での司法試験受験・合格を目指す人には、法科大学院は不向きと考えられます。

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まとめ

法科大学院は司法試験の受験を前提とした学校であり、司法試験に向けて効率良く勉強ができます。

実務で役立つ知識を得られる・夜間コースであれば社会人でも通えるなど、さまざまなメリットを有します。

 

しかし、学費が高い・法科大学院そのものが少ないなど、デメリットもゼロではありません。

 

司法試験の受験資格を得る方法は法科大学院の修了と予備試験合格の2つであり、必ずしも法科大学院に通う必要はありません。

法科大学院の特徴やメリット・デメリットを押さえた上で、自分が法科大学院に通うべきか適切な判断が必要です。

Profile レックスアドバイザーズ

公認会計士・税理士等の有資格者をはじめとする会計人材専門特化した人材紹介会社。
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