転職お役立ち情報
会計事務所への就職・転職で評価される資格とは
この記事では、会計事務所への就職・転職を考えている方に向けて、持っていると有利になる資格を紹介していきます。
会計事務所に勤めるならぜひ持っていたい資格を5つ紹介するとともに、一つでも持っていると年収アップの可能性がある資格を4つ紹介していきます。
会計事務所への転職・就職に資格は必要?
会計事務所への転職・就職において、資格は持っていたほうが有利です。
中途採用で即戦力が求められているケースでは、資格プラス経験を持っている方のほうが有利となります。
また、新卒採用であれば一つでも資格を持っている方が有利ではあります。
しかし、必ず資格を持っていなければならないということはありません。
資格はなくても働くことは可能
実際、会計事務所への転職・就職にあたっては、何も資格を有していない場合でも採用に至るケースが多くあります。
会計事務所は慢性的に人手不足であるため、そもそも誰でも良いから人材が欲しいという場合もあります。
また、実際に経験を積ませて、仕事と並行して資格取得を目指してもらうこともできるからです。
会計事務所への転職を希望されている方向け
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会計事務所で有利になる資格とは?
会計事務所に就職・転職するうえで有利になる資格は数多くありますが、ここでは
- 会計事務所の選考で評価されやすい資格
- 会計事務所の実務に役立つ資格
- 会計事務所で年収アップにつながりやすい資格
に分けて説明していきます。
会計事務所の選考で評価されやすい資格
会計事務所の選考で評価されやすい資格は、会計事務所で即戦力として活躍できる資格です。
具体的には、独占業務がある弁護士・税理士・弁理士・社会保険労務士などは、会計事務所で重宝されるため有利となります。
会計事務所の実務に役立つ資格
会計事務所の実務においては、記帳業務に役立つ資格が有利です。
日商簿記試験、全商簿記試験など、会計事務所の稼ぎ頭である税理士のサポートができることの証となる資格が有利です。
会計事務所での年収アップにつながりやすい資格
会計事務所で年収アップが期待できる資格は、米国公認会計士試験やFASS試験など、会計事務所においてメインの仕事とは別に収入源となる可能性がある資格が有利です。
クライアントから任せてもらえる仕事の幅が増えることで、結果として給与アップが期待できます。
会計事務所で働くならもっていたい資格5選
ここでは、会計事務所に就職・転職するのであれば、ぜひ持っていたい資格を5つ紹介していきます。
会計事務所への就職・転職をする場合、これらの資格のうち一つでも持っていれば、会計事務所で採用される可能性が高くなります。
会計事務所と言えば!税理士資格
会計事務所で働く場合、税理士資格を有していれば即戦力として即採用されます。
それぐらい、税理士資格は会計事務所において重宝される資格です。
税理士資格の近年の合格率は、以下のようになっています。
受験者数 | 一部科目合格者 | 官報合格者数 | 合格者合計 | |
第67回 2017年度 | 32,794 | 5,839 | 795 | 6,634 |
第68回 2018年度 | 30,850 | 4,044 | 672 | 4,716 |
第69回 2019年度 | 29,779 | 4,639 | 749 | 5,388 |
第70回 2020年度 | 26,673 | 4,754 | 648 | 5,402 |
第71回 2021年度 | 27,299 | 4,554 | 585 | 5,139 |
出典:国税庁
税理士よりも手軽で役にも立つ!日商簿記2級
会計事務所で働くのであれば、これくらいはぜひとも持っていたい資格が日商簿記2級です。
企業から最も求められる資格の一つで、あらゆる企業において経理業務を行うに際して、日商簿記2級の試験範囲の知識は欠かせません。
日商簿記2級は、高度な商業簿記・工業簿記(原価計算を含む)を修得し、財務諸表の数字から経営内容を把握できるなど、企業活動や会計実務を踏まえ適切な処理や分析ができる能力があることの証となります。
以下では、日商簿記2級の合格率を紹介していきます。
回 | 受験者数(申込者数) | 実受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
161(2022. 6.12) | 16,856名 | 13,118名 | 3,524名 | 26.9% |
160(2022. 2.27) | 21,974名 | 17,448名 | 3,057名 | 17.5% |
159(2021.11.21) | 27,854名 | 22,626名 | 6,932名 | 30.6% |
158(2021. 6.13) | 28,572名 | 22,711名 | 5,440名 | 24.0% |
出典:日本商工会議所
人事・労務問題に役立つ!社会保険労務士
社会保険労務士は、人材に関する専門家であり労働及び社会保険に関する法令の円滑な実施に寄与するとともに、ビジネスの健全な発達と労働者等の福祉の向上に資することを目的として活躍する職業です。
社会保険労務士は、会計事務所と関係が浅い職業であると思われがちですが、ビジネスにとって人材は欠かせません。
したがって、会計事務所のクライアントである会社側としても、人材に関して多くの問題・課題を抱えているのが普通です。
そうした問題・課題を解決できる存在として、社会保険労務士は重宝されています。
以下では、社会保険労務士試験の合格率を紹介していきます。
回 | 受験者数(申込者数) |
実受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
第52回社会保険労務士試験 | 49,250人 | 34,845人 | 2,237人 | 6.4% |
第51回社会保険労務士試験 | 49,570人 | 38,428人 | 2,525人 | 6.6% |
第50回社会保険労務士試験 | 49,582人 | 38,427人 | 2,413人 | 6.3% |
ライフプラン作成に役立つ!FP(ファイナンシャルプランナー)
FPとは、一人ひとりの将来の夢や目標に対してお金の面で顧客が抱える様々な悩みの相談を受け、その解決策についてアドバイスを行う専門家です。
会計事務所のクライアントのなかには、個人事業主が含まれています。
個人事業主の場合、会社組織のような福利厚生制度が存在しないため、自分のライフプランを自ら設計しなければなりません。
FPは、そのような悩みを抱える個人事業主の頼みの綱として活躍の場が広がっています。
以下では、2022年9月実施2級FP技能検定試験結果を紹介します。
学科・実技 | 受検申請者数 | 受検者数 | 合格者数 | 合格率 |
学科試験 | 31,989 | 26,265 | 11,074 | 42.16% |
実技試験 (資産設計提案業務) |
27,115 | 21,516 | 12,167 | 56.55% |
出典:日本FP協会
需要がどんどん高まっている!中小企業診断士
中小企業診断士は、主に中小企業が抱える経営課題に対して診断・助言を行う専門家です。
企業の成長戦略策定やその実行のためのアドバイスが中小企業診断士の主な業務ではあるものの、行政・金融機関等を繋ぐパイプ役を担ったり、専門的知識を活かして国や地方自治体が行なっている中
企業施策の活用支援など様々な活動が求められている職業です。
そのため、近年では中小企業診断士の需要が高まっています。
中小企業診断士の合格率は以下のとおりです。
回 | 申込者数 | 受験者数① | 受験者数② |
口述試験を受験する 資格を得た者 |
試験合格者数 | 合格率 |
令和元年度 | 6,161 | 5,966 | 5,954 | 1,091 | 1,088 | 18.3% |
令和2年度 | 7,082 | 6,400 | 6,388 | 1,175 | 1,174 | 18.4% |
令和3年度 | 9,190 | 8,786 | 8,757 | 1,605 | 1,600 | 18.3% |
出典:中小企業診断士協会
必須ではないが持っていると高く評価される資格4選
ここからは、就職・転職の際に必須ではないものの、高く評価される資格を4つ紹介していきます。
これらの資格を一つでも保有していれば、就職・転職活動を有利に進めることができます。
米国公認会計士(USCPA)
米国公認会計士は、米国において会計士として活躍するために必要となる資格です。
米国で公認会計士として仕事をしない場合でも、国際的に高く評価される資格であるため、就職・転職の際に高く評価される資格であると言えます。
米国公認会計士試験は、4つの科目
- AUD:Auditing & Attestation(監査および諸手続き)
- BEC:Business Environment & Concepts(企業経営環境・経営概念)
- FAR:Financial Accounting &Reporting(財務会計)
- REG:Regulation(諸法規)
で構成されており、試験に合格するためには、これらすべての科目に合格しなければなりません。
ただし、18ヶ月以内に4科目を受験してすべて合格できれば、米国公認会計士試験に合格となります。
以下の図表は、2022年の米国公認会計士試験の合格率を示しています。
セクション | 第1四半期 | 第2四半期 | 第3四半期 | 第4四半期 | 累積合格率 |
AUD | 46.35% | 49.13% | 48.67% | - | 48.16% |
BEC | 57.33% | 61.53% | 59.91% | - | 59.68% |
FAR | 44.95% | 45.66% | 44.30% | - | 44.93% |
REG | 60.03% | 61.25% | 61.78% | - | 61.10% |
出典:米国公認会計士協会
日商簿記試験1級
日商簿記試験1級は、公認会計士、税理士などの国家資格への登竜門と位置づけられている試験です。
合格すると、税理士試験の受験資格が得られます。
日商簿記試験1級は、極めて高度な商業簿記・会計学・工業簿記・原価計算を修得し、会計基準や会社法、財務諸表等規則などの企業会計に関する法規を踏まえて、経営管理や経営分析を行えることの証となります。
そのため、会計事務所や税理士事務所において即戦力として活躍できることの証となります。
以下の図表は、直近から数えて5回分の日商簿記試験1級の合格率を示した表です。
回 | 受験者数(申込者数) | 実受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
161(2022.6.12) | 11,002名 | 8,918名 | 902名 | 10.1% |
159(2021.11.21) | 11,389名 | 9,194名 | 935名 | 10.2% |
158(2021.6.13) | 9,310名 | 7,594名 | 746名 | 9.8% |
157(2021.2.28) | 7,785名 | 6,351名 | 502名 | 7.9% |
出典:日本商工会議所
全経簿記試験上級
全経簿記試験上級は、公益社団法人 全国経理教育協会が実施している試験で、日本簿記学会や文科省が後援している歴史ある試験となります。
日商簿記試験1級と同様に、合格すると、税理士試験の受験資格を得ることができます。
そのため、就職・転職の際に保有していると有利となります。
特に、全経簿記試験上級は、経理事務を担当しようとしている人におすすめの資格となっています。
以下の図表は直近3回分の全経簿記試験上級の合格率を示したものです。
回 | 受験申込者(人) |
実受験者(人) |
合格者(人) | 合格率(%) |
第207回 (令和4年7月10日施行) |
2,390 | 1,964 | 250 | 12.73 |
第205回 (令和4年2月20日施行) |
2,763 | 2,212 |
309 |
13.97 |
第203回 (令和3年7月11日施行) |
2,119 | 1,811 | 256 | 14.14 |
FASS検定
FASS検定(経理・財務スキル検定)は、他の資格試験とは異なり国の機関である経済産業省が過去のプロジェクトにおいて開発した「経理・財務サービス・スキルスタンダード」を参考にしながら作成された試験です。
試験作成にあたっては、米国のテスト理論が取り入れられており、経理・財務分野における客観的な実務知識・スキルの習得度を測る検定試験となっています。
経理・財務世界において第一線で活躍する実務家によって開発された、経理・財務の実務理解に特化した試験です。
実務職が強い試験で、保有者は即戦力として重宝されるでしょう。
FASS検定は、他の資格試験とは違い合否ではなく総合点によってスキル評価を行い、分野毎の達成度を評価します。
総合点は満点で800点で、これを5段階に分けて達成度が評価されます。
試験は、全国にある試験センターにてコンピューターで受験可能です。
身につけた実務スキルを客観的に把握できるので、自分に合ったスキルアップ目標を明確にしながら資格試験の勉強ができるのが魅力の試験となっています。
まとめ
会計事務所で働く場合、この記事で紹介した資格を保有しておくと採用されやすくなります。
特に税理士資格など、独占業務がある資格は、会計事務所において即戦力として採用されるなど、会計事務所のしごとの中核を担うことになります。
一方で、会計事務所で経験を積みたい場合には、今後のキャリアアップが見込める資格である日商簿記試験2級、1級、全経簿記試験、FASS試験など、個人の能力の証明となるような資格をとるのがおすすめです。
もちろん、資格を持っていなくても会計事務所で働くこと自体は可能です。
しかし、常に勉強することが求められる業界なので、しっかりとスキルアップのために、仕事と並行しながら資格取得のための勉強をすることが大切です。
Profile レックスアドバイザーズ
公認会計士・税理士等の有資格者をはじめとする会計人材専門特化した人材紹介会社。
■公認会計士・税理士・経理の転職サイトREX
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