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会計士の転職:修了考査合格のタイミングでの転職は〇?×?

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勉強

1:公認会計士試験の修了考査とは?

国家資格である公認会計士になるまでの道のりは、いくつかの段階があります。

公認会計士登録までには「短答式試験」、「論文式試験」の2つの筆記試験に合格後、実務経験(3年間)・補習所通学・修了考査合格の3つの要件を満たす必要があるのです。

 

修了考査試験は、年1回実施されます。

近年の修了考査試験の受験者数と合格率推移

令和2年度修了考査の合格発表が4月2日に行われました。

  • 令和2年度は、受験者数が1,936名、合格者は959名、合格率は49.5%という結果でした。
  • 昨年令和元年度の受験者数は1,749名、合格者は854名という結果でした。

過去10年の流れを振り返ると、受験者数は平成23年度をピークに年々減少傾向ではありました。

しかし、令和元年度は前年比+254名、今年の令和2年度は前年比+187名と受験者数は増加傾向にあります。

 

そして合格率は今まで約7割程度の合格率水準だったのに対し、平成30年度は56.1%、令和元年度は48.8%、令和2年度は49.5%。

この3年間で急激に低下してきたことから、合格者は前年比+105名の959名にとどまりました。

令和2年度も大方の予想通り、依然厳しい合格率水準を維持した結果となっています。

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2:令和3年度(2021年)修了考査のスケジュールと実施内容

新型コロナウィルスの影響により、令和元年度の合格発表から令和2年度の公認会計士試験の全体スケジュールが例年にない動きとなりました。

しかし、第Ⅱ回短答式試験・論文式試験が大幅に後ろ倒しになった中、修了考査試験に関してはほぼ例年通りの12月2週目に実施されました。

 

令和3年度(2021年)はコロナ対策も進み、公認会計士試験をはじめ国家資格試験や各種資格試験はほとんどが例年通りの実施となっています。

受験票は11月25日から発送予定とのことなので、修了考査を控えるみなさんの手元にも到着し、万全に準備を進めているのではないでしょうか。

 

修了考査の概要についてお知らせします。

令和3年度(2021年)修了考査の試験日程と試験科目、合格発表について

試験日程と試験科目は下記のとおりです。

 

令和3年度修了考査試験実施日 12月18日(土)~12月19日(日)

 12月18日(土):
  会計に関する理論及び実務 (着席時刻)9:30 (試験時間)10:00~13:00
  監査に関する理論及び実務 (着席時刻)14:15 (試験時間)14:30~17:30

 12月19日(日):
  税に関する理論及び実務 (着席時刻)9:30 (試験時間)10:00~13:00
  経営に関する理論及び実務 (着席時刻)14:15 (試験時間)14:30~16:30
  公認会計士の実務に関する法規及び職業倫理 (着席時刻)17:15 (試験時間)17:30~18:30

 

合格発表 令和4年(2022年)4月8日(金)予定

 

※詳細については日本公認会計士協会の案内を必ずご確認ください https://jicpa.or.jp/syuryokousa/

遅刻厳禁!着席時刻に注意しよう

ご存じの方も多いと思いますが、遅刻についての厳格なルールがあります。

 

・各科目の着席時刻までに着席していない場合は遅刻。受験を認めない
・受験が認められない科目が1つでもあった場合、以降の受験を認めない

 

公認会計士の短答式試験・論文式試験も入退室などのルールがありますが、修了考査も厳格に行われますので油断せずに注意してください。

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3:修了考査合格後の転職について考える

多くの公認会計士試験合格者の方が、修了考査に合格した時点で公認会計士の登録に必要な3要件が揃うでしょう。

そういった意味で修了考査の合格は、公認会計士のキャリアの上で、重要なチェックポイントの1つであり、区切りでもあります。

公認会計士試験合格者の方で監査法人からキャリアを始めたという場合、監査を3年ほど経験し実務要件を満たし、実務補修所の単位を取った上で修了考査を受け、合格するという流れになっている場合がほとんどです。

 

なかには、将来的に監査法人に残るのではなくいずれは転職をしたいと考えているけれど、転職のタイミングをいつにするか迷ってしまうという方もいるでしょう。

転職には年齢が大きく関係します。

歳を重ねる前にできる限り早く転職し、新しい環境に馴染んだほうがよいのではという考えや、一般的によく言われる「環境が合わなくても一つの会社で3年は我慢する」という期間を満たす節目でもあるという考えがあります。

修了考査合格のタイミングで転職を検討するという方もいるでしょう。

 

多くの監査法人は、現状、スタッフおよびシニアスタッフの層は人手不足の傾向があります。

一方で、マネージャー以上の層は、慢性的に人手過剰気味です。

監査法人のスタッフの中には、「修了考査に受かってすぐにやめられたら困るよ」と、上司や先輩から釘を刺される経験をしたことのある方もいるのではないでしょうか。

 

また、修了考査の合格発表を待たずして、同期の2割以上が転職しまったというケースも。

そもそも、修了考査合格のタイミングでの転職を考えている試験合格者の多くは、自分が監査法人に合っていないと考えているようです。

 

理由は人によりさまざまですが、監査業務にやりがいが見いだせていなかったり、監査ではなく、自分自身で財務諸表を作成する経理業務に惹かれたりという声が多く聞かれます。

ワークライフバランスの観点で満足がいかないという理由もあるでしょう。

 

監査のたびにチームが変わり、常に多数とコミュニケーションを取らなければならないことをストレスに感じる場合、固定されたメンバーで落ち着いて仕事がしたいという理由もあるようです。

 

それでは修了考査合格のタイミングが、公認会計士として転職をするにあたり、良いタイミングなのか・良くないタイミングなのかについて、見ていきましょう。

修了考査合格後の事業会社への転職について

率直に言って、修了考査合格のタイミングでの事業会社への転職は、あまりオススメではありません。

色々なパターンのキャリアが考えられますが、修了考査合格のタイミングはスタッフからシニアスタッフにちょうどポジションアップする時期で、20代後半が多いでしょう。

転職と年齢というのは、どうしても切っても切れない関係で、早く転職をしたいところですが、監査法人から事業会社への転職で考えると、もうすこし監査法人で経験を積むほうが得策といえます。

 

監査法人では、現場を取り仕切るインチャージというポジションは、シニアスタッフになってから任されるのがほとんどです。

インチャージを経験していないと、仮に公認会計士の有資格者であっても、監査業務の一部しか担当していないと捉えられ、いわゆる『第二新卒』や『エントリークラス』のような扱いになり、公認会計士資格の優位性や専門性が選考で活かされません。

 

シニアスタッフとしてまずはインチャージを経験することがオススメです。

将来的に事業会社へ転職していくことを希望する方は、まずはインチャージの経験、欲を言えば、ファイナンシャル・アドバイザリー業務などの非監査業務も経験しておきましょう。

 

公認会計士として、監査法人でなければ積めない経験は豊富にあります。

せっかく監査法人からキャリアを始めているのですから、十分にそのメリットを活かす方法も検討してみてください。

 

監査法人でしっかりとしたキャリアを積んだうえで、事業会社への転職活動をすると、年齢以上の高い評価を得ることができます。

もうひとつ、これは公認会計士に限らず、英語力はこれからの活躍のカギとなるものです。

ぜひ積極的に磨き、業務の中で活かせるようにしていってください。

修了考査合格後の会計事務所やコンサルティングファームへの転職について

これらの業界は、公認会計士の有資格者であるということ自体がより大きな意味を持ちます。
資格者としての独占業務や、知識や経験を活かせる業界です。

この場合、事業会社とは異なり、インチャージの経験は必ずしも必要ではありません。

シニアスタッフとしてインチャージの経験を経て歳を重ねる前に、少しでも若いうちにコンサルティングファームや会計事務所に転職してしまうのはひとつの道です。

 

求職者の方の実力によっては、監査法人に残る以上にバリバリと実力を発揮し、責任の重い立場を任されるという可能性も十分にあります。

コンサルティングファームや会計事務所で、クライアントに対して税務相談やコンサルティングを行う場合、監査業務と比べると定型業務は少なくなります。

クライアントだけでなく、チームや事務所のメンバーとより深くコミュニケーションを取り、クライアントの利益のために何をなすべきかを自分で考えながら仕事をする姿勢が必要です。

そのため、監査業務にやりがいが見いだせないという方でも、コンサルティング業務や税務を通じての経営相談にやりがいを感じ、仕事に対する熱意が大きく向上したという方もたくさんいます。

 

また、監査法人のように監査チームごとにメンバーが異なり、1週間~2週間単位で違うチームで動くということにはならないので、同じメンバーで仕事を進めることができ、地に足をつけて仕事を進められるようになったと感じる方もいるようです。

 

ただ、このような充実したキャリアを送れるコンサルティングファームや会計事務所ですが、監査法人と変わらず多忙であるのが基本です。

監査法人の繁忙期ほどではないにしても、ワークライフバランスの観点でいくと、改善したという実感は得られず、監査法人にいるのと大きな差はないと感じるかもしれません。

 

また、事業会社への転職でも言えることですが、固定メンバーで仕事をすることに対して窮屈さを感じる方もいるので、自分自身がどういうタイプなのかを見極めることも必要です。

修了考査合格後の投資ファンドへの転職について

以前の記事でも触れましたが、投資ファンドへの転職は、戦略的コンサルティングファームでの業務を経験してからのほうが有利です。

そのため、将来的に投資ファンドへの転職を強くする場合は、修了考査合格のタイミングで、戦略的コンサルティングファームへの転職を検討しても良いでしょう。


若手が活躍する環境ですし、公認会計士としての専門性を活かすことができます。

けれど戦略的コンサルティングファームへの転職はハードルが高く、チャンスも限られているため、転職が難しいこともあります。

 

この場合は、監査法人でコンサルティング業務を経験し、タイミングを見てリトライしましょう。

修了考査に落ちた場合は?

今回の修了考査で残念ながら不合格になってしまった方もいらっしゃるでしょう。

しかし、不合格となったからといって今後のキャリアに影響するかと言われれば、必ずしもそうだとは言えません。

ひと昔前までは、確かに公認会計士と試験合格者では転職市場での評価に差があると言われてきました。

 

しかし、近年売り手市場が続く中で、採用側の意識は大きく変化しています。

現在は、修了考査の合否よりも「監査経験」や「会計の専門知識」を重視する傾向にあります。

 

人材不足という状況もあり公認会計士の資格有無に関わらず監査経験のある若手の採用を積極的に行っています。

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まとめ

業界により、修了考査合格のタイミングでの転職に是非はあります。

しかし、転職をするにしろ、しないにしろ、キャリアを積むうえで最も大事なものの1つは、今後自分がどういうキャリアを積みたいかというビジョンです。

将来的に公認会計士としてどういうキャリアを積みたいかをしっかりとイメージした上で、キャリアに最もプラスとなるような判断をすることをオススメします。

 

レックスアドバイザーズでは毎年、修了考査合格発表前後には多くの若手公認会計士の皆様から将来のキャリアについてのご相談をいただいています。

どのようなキャリアがあるのか?自分の市場価値はどうなのか?とまずは情報収集を目的とされる方や、繁忙期明けに転職を検討されるなど具体的な転職イメージを持ってご相談されている方など、転職に対する温度感はさまざまです。

 

それぞれの状況やお悩みに合わせ、求人のご紹介やキャリアプランのご支援をさせていただきます。

Profile レックスアドバイザーズ

公認会計士・税理士等の有資格者をはじめとする会計人材専門特化した人材紹介会社。
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