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宮口貴志の税界雑感

元『税金専門紙』『税理士業界紙』編集長

Profile

税金の専門紙「納税通信」、税理士業界紙「税理士新聞」の元編集長。
フリーライター及び会計事務所業界ウオッチャーとして活動。株式会社レックスアドバイザーズ ディレクター。

「税務のコーポレートガバナンス」は片思いで終わってしまうのか・・・(2016/3/17)

「税務のコーポレートガバナンス」。
はじめて聞く言葉かもしれないが、現在、国税当局が重視しているテーマの一つだ。今のところは大企業の問題であり、中小企業にはあまり関係ないが、近い将来影響してくるだろう。
「コーポレートガバナンス」とつくと、日本版コーポレートガバナンス・コードのイメージが沸いてくるが、国税庁の「税務に関するコーポレートガバナンス」は、税務に関する「内部統制」の意味合いが強い。荒っぽい言い方になるが、要は税務処理において企業は、トップから現場の第一線まで意識を高く持ち、適正かつガラス張りに取り組んでいくことを望んでいる。かなり国税当局に都合の良い話だが、当の国税庁は、「企業と税務当局の双方にメリットがある」と指摘する。というのも、大企業だと、税務に関するコーポレートガバナンスが不十分であるがゆえに、支店や海外子会社など、目の届かない部分で不適切な経理処理が行われるリスクがあるためと説明する。

一方で国税当局としては、財政事情が逼迫する中、納税意識の高い企業に調査コストを割くより、企業との信頼関係を作り、効率的に税務調査を行えればこれ以上良い話はないとの考えがある。そのため、何としても企業の協力を得る必要があるのだ。
そもそも、税務のコーポレートガバナンスが叫ばれるようになったのは、グーグルやヤフー、スターバックスなどのグローバル企業が、極端な節税、課税逃れをするケースが目立ってるから。そのため、OECD多国籍企業行動指針(1976年策定、2011年改訂)や、大規模法人のコーポレートガバナンスの強化を通じた税務コンプライアンスの向上に言及した「OECD税務長官会議(FTA)声明」(2012年1月)などが発表され、国税庁も平成23年から税務に関するコーポレートガバナンスの充実に向けた取り組みを開始した。

平成26年6月25日には、国税庁長官が国税局長及び沖縄国税事務所長会議で「平成26事務年度における調査事務の運営にあたりとくに注意すべき事項について」として、税務のコーポレートガバナンスの充実に向けた取り組みを指示。それに先立ち、同年5月23日に開催された全国国税局調査査察部長会議でも、税務のコーポレートガバナンスの充実を求めた。
現在のところ対象法人は、国税局調査部が担当する「特別国税調査官所掌法人」。資本金または出資金が40億円以上の法人のうち、課税当局が特別に調査力を投入する必要があるとして、国税局長が指定した法人を指す。つまり、一部の大企業だ。

このうち「税務に関するコーポレートガバナンス」の状況が良好で税務調査の必要度が低いと認められると、税務調査の間隔が延長される。具体的には、特別国税調査官所掌法人に対する税務調査の際に「確認票」を用いて、税務に関するコーポレートガバナンスの状況を確認し、企業をABCなどのランク付けを行い、ガバナンスが良好と判定されると、過去の調査状況で大きな問題なければ、調査間隔を伸ばす。たとえば、2年1回調査されていた企業であれば3年に1回、4年1回など、調査サイクルが延びる。
「確認表」の概要は、
1.トップマネジメントの関与・指導
2.経理・監査部門の体制・機能の整備
3.内部牽制の働く税務・会計処理手続の整備
4.税務に関する情報の社内への周知
5.不適切な行為に対するペナルティの適用
となっており、5分野(合計27項目)の実施状況が記載される。

国税当局によると、平成23事務年度から平成25事務年度において、コーポレートガバナンスに係る確認票の記入を求めたり、企業トップとの意見交換を行ったりした回数は延べ467回。さらに、コーポレートガバナンスの良好な法人に対して、一定要件を条件に調査間隔の延長の措置を講じた法人数は平成24事務年度以降十数社程度あるという。
この数字が多いのかどうかの判断は読者に任せるが、現在も国税当局は啓もう活動に励んでいる。
現時点では、税務のコーポレートガバナンスは法的義務がなく、単に国税庁が推進する取り組みだ。そのため、なかなか企業が積極的に取り組まないという壁がある。

中小企業においては、国税庁が後援となって法人会から「自主点検チェックシート」を作成された。自主点検チェックシートは、企業における日々の内部統制面の強化や会計経理面の質向上にある一方で、「確認票」は、内部統制面や会計経理面での体制整備であり、申告誤りを未然に防止することを目的している。 大企業にしても、中小企業にしても、税務のコーポレートガバナンスは理想とは裏腹に、企業に対して思ったほど浸透していない。実施に当たっては、協力ベースなので中途半端な部分が多い。本当に双方にメリットがあるなら、多少は強制力があっても良いのではないか。そうしないと、「笛吹けど踊らず」で終わりかねない。


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