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宮口貴志の税界雑感

元『税金専門紙』『税理士業界紙』編集長

Profile

税金の専門紙「納税通信」、税理士業界紙「税理士新聞」の元編集長。
フリーライター及び会計事務所業界ウオッチャーとして活動。株式会社レックスアドバイザーズ ディレクター。

税務署から見る「富裕層」の線引き(2015/2/10)

“一億総中流”と言われた時代も懐かしいですが、最近の日本は、富の二極化が進んでいるといわれています。それに伴い、富裕層に対する税務当局のチェック体制が強化されているのはご存知でしょうか?
景気回復にともない、富裕層に高級品が売れているそうですが、一般サラリーマン家庭からすると景気回復が実感できないので、別世界の話のように感じます。税務調査官もごくごく普通のビジネスパーソン、多くが一般市民感覚の持ち主です。だからというわけではないでしょうが、富裕層に対しては、貧乏人より厳しい目が向けられているように感じます。


■強化する富裕層の税務調査
平成25事務年度(平成25年7月から同26年6月末)の富裕層に対する調査実施件数は、4177件(前年比101.4%)で、追徴税額は総額で103億円に上っています。1件当たりの追徴税額は246万円で、所得税の実地調査(一般の調査)1件当たりの追徴税額145万円の約1.7倍となっています。
とくに、「富裕層」においては、資産運用の多様化・国際化が進んでいることを念頭に調査されており、「国際的租税回避スキームなどについては平成26事務年度(同26年7月から同27年6月末)においても積極的に取り組んでいる」(当局)としています。
というのも、国際的租税回避を把握するためのツール「国際取引連絡せん」の記載内容が充実してきたことをはじめ、都市局に設置した統括国税実査官(国際担当)を中心に、税目横断的な観点から資料収集、分析、調査の企画・立案・実地調査が効果を発揮してきたからのようです。
そのため、統括国税実査官(同)によって、国際的租税回避が想定される事案について、課税部の調査企画部署や調査部との緊密な連携により、効果的な調査が実施されているそうです。
国外財産については、すでに5千万円以上持っていれば「国外財産調書」の提出が義務付けられ、平成27年1月1日より罰則が適用されることになりました。これで、国外財産に対しても、かなりの部分で情報収集が進むといわれていますが、同27年度税制改正案では、クロスボーダーでの課税逃れを防止する観点から、巨額の含み益(未実現のキャピタルゲイン)を有する株式等を保有して出国する者に対する譲渡所得課税の特例の創設などが盛り込まれています。
さらに、国民一人ひとりに番号を付与し、所得と社会保険関係情報を管理する、共通番号制度、いわゆる「国民総背番号」の実施についても決まっており、これらによって資産のほとんどが国によって把握されつつあります。
富裕層に対して税務当局は、計画・組織的な調査を行い、調査部と課税部が協力しながら実績を上げていくことを幹部会議で確認しています。とくに、超富裕層の多くが会社経営者であり、法人と個人の情報が連携しているので、厳しい目を向けているのです。


■総資産1億円が庶民との線引き?
ところで、税務当局がいうところの富裕層とは、一体、どのぐらいの資産を持っている人なのでしょうか?国税のお役人に聞いてもはっきりと答えてくれませんが、一応の目安があって富裕層と位置づけているのは間違いありません。
国税庁などの資料に出てくる富裕層の定義は、「有価証券・不動産等の大口所有者、経常的な所得が特に高額な者」としています。庶民からすると、「大口」というのですから、それなりの方と考えるのですが、複数の人の情報からすると、どうも資産として10億円以上持っている人は富裕層に入ることは間違いないようです。現金預金で1億円持っていても富裕層扱いのようです。つまり、現金預金、不動産、有価証券などのバランスによっても富裕層の定義は違うようなのです。
相続税の見直しにより、基礎控除の引き下げ、課税ラインが改正されましたが、不動産や有価証券、現金預金などで総資産1億円を超えてくると、一般市民ラインから少し違う見方がされてくるようです。相続人の数にもよりますが、納税額として数千万円単位が動くとなると、富裕層と扱われるかもしれません。どうも「税額」がキーワードになるようです。


■宝くじの高額当選にも当局の目
ちなみに、宝くじの懸賞金は非課税ですが、課税当局は高額当選者の情報をしっかりと把握しています。1等3億円でも当てたら、一生その人の所得及び財産は税務当局によって監視されていると思った方がよいと言われます。どんな使われ方をしたのか、不動産を購入しているなら、いくらで取得したのかなどチェックされ、相続発生時はどのくらいの財産があるのか、大枠はつかまれているようです。ここまで聞くと、当たって嬉しいやら、気持ちが悪いやら、何とも言えませんね。
会計人の先生方の中には、クライアントの心配ばかりしている人もいますが、高額報酬を得ていれば、先生本人も富裕層ということを忘れている人も少なくありません。最近は、高額納税者の公示がなくなったので、比較材料がありませんが、リーマンショック時など、不景気になり会社の交際費が厳しくなったころ、銀座のクラブのお姉さん方の中で安定的に人気だったのが士業、とりわけ弁護士や会計人でした。超富裕層ではないものの、個人の裁量でかなりのお金が自由になるので、定期的に来てくれる重要顧客と位置づけられていたようです(今もそうですが・・・)。ただ、野球で例えるなら4番バッターのスター選手という位置付けではなく、派手な仕事はしないけど、確実に仕事をしてくれる2番バッターの位置付けってところでしょうか。


■当局は「国際」部署を増員
話が脱線しましたが、富裕層に対する国税当局の目は、富の二極化が進む中、より厳しくなっています。このほど公表された国税庁の予算案でも、国際化の対応として、仙台国税局に国際税務専門官を1名、大阪国税局に国際調査審理官1名、税務署に国際税務専門官4名を要望しています。
「富裕層」「国際取引」という言葉が、税の世界でもキーワードになっています。


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