税理士業界トピックス

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2014.07.22

マイホームは今が買いどきなのか? 優遇税制から見た購入時期

今月の1日に国税庁より発表された路線価は、東京都が1.8%、大阪府で0.3%と8都道府県で上昇していました。

これはリーマン・ショック前の08年以来の上昇で、愛知県が1.2%上昇と2年連続、神奈川県(0.8%上昇)、千葉県(0.1%上昇)、埼玉県(0.1%上昇)がいずれも6年ぶりに上昇に転じました。

路線価は、国税庁の相続税・贈与税の算定基準になりますが、詳細については以前紹介(https://www.career-adv.jp/impressions/1960/)しましたのでここでは省きます。
路線価は上昇傾向ですが、現実の不動産取引市場を見てみると、首都圏でも住宅地価格や中古マンション市場はやや上昇率が緩やかになってきたようです。
住宅地価格では、港区の高輪や麻布が上昇率アップの牽引役となっていますが、他地域の伸び率は「弱くなっている」と、多くの不動産業者が見ています。

中古マンション市場も港区の強さが目立っており、その他の地域では伸び率が弱くなってきているようです。
とはいうものの、まだ首都圏の不動産市場は順調に伸びており、消費増税の影響はそれほどでもないようです。
これは、一つに住宅ローン金利が低いこと、もう一つは住宅ローン減税が今年4月以降、拡充されたことなどが影響しています。
首都圏都市銀行の住宅ローンの10年固定金利(7月22日現在)を見ても、1.4%~2.1%程度とかなり有利な設定になっています。
住宅ローン減税に関しても、今年4月以降に購入した場合、年末残高の最高額が4千万円まで引き上げられ、10年間で最大400万円が控除されます。
2014年3月までが年末残高の最高限度額2千万円、10年間で最大200万円だったので、大きく拡充されています。
認定長期優良住宅や認定低炭素住宅を購入した場合は、さらに優遇率が上がり、最高限度額5千万円、10年間で最大500万円になります。
こうして見てみると、不動産を購入する環境は依然良い状況で、消費税率10%アップ前までにはもう一度駆け込み需要もありそうです。
ただ、知らない方も多いようですが、マイホームを購入する場合、課税対象は「建物」だけで、「土地」は非課税です。
そもそも、マンション購入の段階では、土地と建物を区分けして考えないので建物部分にしか課税されないことを知る人も少ないかもしれません。
こうした非課税の範囲は、一戸建て・マンションを問わず「個人間売買の中古住宅」全般に当てはまります。
しかも、個人間の中古住宅売買では土地だけではなく建物も非課税となります。消費税だけを考えれば、新築より中古の方が有利なわけです。
ただ不動産業者などの仲介業者を介すと、仲介手数料が掛かります。この仲介手数料には消費税が掛かります。上限は、売買代金の3%+6万円とされています。
現状の8%なら3.24%+6万4800円です。

ところで、住宅ローン控除の活用ポイントですが、新築住宅(マンション・一戸建て)の場合、(1)新築または取得日から6カ月以内に入居し、適用を受ける各年の12月31日まで住んでいること、(2)合計所得金額が3千万円以下であること、(3)ローンの返済期間が10年以上あること、(4)登記簿に記載されている床面積が50㎡以上あること、(5)床面積の1/2以上が自分の居住用であることーです。
最近、私の友人が中古住宅(マンション・一戸建て)を購入したのですが、その場合は、新築住宅の条件を満たすことを前提に、(A)マンションなどの耐火建築物は、取得の時点で築25年以内。(B)耐火建築物以外は取得の時点で築20年以内。または、一定の耐震基準をクリアしていること(C)生計を一つにする親族などからの購入ではないこと、(D)贈与された家ではないことーの要件を満たす必要があります。
このほか覚えておきたいのが、今年の12月31日までに、父母や祖父母などの直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合、来年3月15日までにマイホーム購入などをすれば、一定金額の贈与税が非課税となるということです。受贈者1人についての非課税限度額は、贈与のあった年によって違いますが、省エネ等住宅の場合(イ)平成24年のときは1500万円、(ロ)平成25年のときは1200万円、(ハ)平成26年のときは1千万円となっています。
一般住宅の場合は、(ニ)平成24年のときは1千万円、(ホ)平成25年のときは 700万円、(へ)平成26年のときは 500万円です。
これらをうまく併用すれば、かなり住宅購入がラクになります。マイホーム購入や買い替えを考えているのなら、購入スケジュールを立て、失敗しない段取りで進めることが重要です。

Profile 宮口 貴志

税金の専門紙「納税通信」、税理士業界紙「税理士新聞」の元編集長。フリーライター及び会計事務所業界ウオッチャーとして活動。株式会社レックスアドバイザーズ ディレクター。

公認会計士・税理士・経理・財務の転職は
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