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宮口貴志の税界雑感

元『税金専門紙』『税理士業界紙』編集長

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税金の専門紙「納税通信」、税理士業界紙「税理士新聞」の元編集長。
フリーライター及び会計事務所業界ウオッチャーとして活動。株式会社レックスアドバイザーズ ディレクター。

交際費が狙われる! ミス、不正発見に当局チェック厳しく(2015/6/16)

社会人になりたてのころ、接待で使った「交際費」というと言葉に、やけに大人になったと感じたものです。学生では味わえない、何ともこそばゆい感覚。
「交際費」というのは不思議で、大企業に勤めている友人などは、それなりのポジションになると交際費枠などを持ち、この金額の大きさがポジションの高さを誇示しているようです。サラリーマンにとっては、単なる経費枠という範疇ではないようです。

この交際費ですが、今年4月以降、税務調査の現場ではこれまで以上に調査官の関心を集めています。それは、平成26年度税制改正において、大企業も支出した交際費の50%までを損金算入できるようになったからです。
平成26年4月1日から同28年3月31日までに開始する事業年度という期限付きですが、企業にとっては使わない手はありません。

そもそも交際費には、税務調査官は並々ならぬ関心を持っており、調査の際は必ずチェックします。この交際費が資本金1億円以上の大企業にも認められるとあっては、注目度も俄然高まってきます。 税の現場では、資本金1億円以上の会社は、大企業に分類され、基本的に税務署ではなく、その上部組織である国税局が調査を行います。国税局は全国に10カ所。沖縄県は同様の組織として国税局ではなく事務所を設置しています。局の調査は、税務署の調査とは深度、日数、動員する人員が違い、調査に入るからにはそれなりの成果を求めてきます。全国5万7千人の国税職員から選ばれし先鋭が所属しているのが国税局です。

調査官が交際費でとくに目を光らせているのが、交際費として損金算入できないものを交際費として落としていないか?さらには、交際費に含まれない5千円基準の適用は正しくできているかです。 そもそも今回の「50%基準」の交際費にあっては、飲食代に限っています(措法61の44)。国税庁によると「社内飲食費に該当するものを除き、得意先等を接待して飲食するための『飲食代』、飲食等のために支払うテーブルチャージ料やサービス料等、飲食等のために支払う会場費、得意先等の弁当の差入れ、飲食店等での飲食後、その飲食店等で提供されている飲食物の持ち帰りに要する『お土産代』などがそれに含まれる」としています。 社員間の接待はNGです。
このほか、NGなのは、
①ゴルフや観劇、旅行等の催事に際しての飲食等に要する費用
②接待等を行う飲食店等へ得意先等を送迎するために支出する送迎費
③飲食物の詰め合わせを贈答するために要する費用
です。

「社内の飲食費」に該当しない物差しとしては、「専ら当該法人の役員若しくは従業員又はこれらの親族に対する」(措法61の44)と規定、自社(当該法人)の役員、従業員に該当しない者に対する接待等のために使った飲食費等であれば、社内飲食費にならなとしています。
たとえば、
イ、親会社の役員等やグループ内の他社の役員等に対する接待等のために支出する飲食費
ロ、同業者同士の懇親会に出席した場合や得意先等と共同で開催する懇親会に出席した場合に支出する自己負担分の飲食費相当額
です。

一方で社内の飲食費に該当するものとしては、出向者に注意が必要です。一般に出向者は、出向先の会社と出向元の会社の双方に雇用関係があるので、その人が出向先法人の役員等の立場で飲食等の場に出席したか、出向元法人の役員等の立場で飲食等の場に出席したかで判断することになります。 具体的には、出向者が出向元の親会社の役員等を接待する会合に、親会社の役員等の立場で出席しているような場合に支払う飲食代は、社内飲食費には該当しません。一方、出向者が自社の懇親会の席に、あくまで自社の役員等の立場で出席しているような場合に支払う飲食代は、社内飲食費に該当することになります。

また、よく間違えるのが交際費に含まれない5千円基準です。とくに消費税分の判断。会社が内税で処理していれば、消費税込みで5千円以内でなければなりません。外税なら税込で5400円までならOKです。また、5千円を超えてしまったら、超過分だけ経費に落とせなくなると勘違いしている方もいますが、一人5千円を超えてしまったら、そもそもこの5千円基準が使えなくなります。つまり、税抜きで一人5010円でも、全額損金処理できなくなるわけです。よくあるケースとしては、参加者を一人水増しすれば、一人当たり5千円を切ると考えがちですが、こうした誰でも考えそうなことは税務調査は必ず確認します。 そのため、大企業も交際費枠が使えるようになった状況下であれば、経理担当者だけでなく営業マンなど、実際に交際費を使う現場にも、交際費課税の実務に直結する問題については教育しておく必要があります。 一般的に大規模法人が課税当局に申告漏れの指摘を受け新聞沙汰になったり、重加算税のペナルティを受けるケースでは、経営者が絡んでいるケースより、現場での処理において問題があることがほとんどです。

ちなみに、中小企業の場合は、選択制となりますが800万円基準もしくは大企業同様の50%基準のどちらか、さらには5千円基準が使えます。50%基準を選択する場合、年間1600万円以上の交際費を使わない限り損しますので、800万円基準を適用するケースは多いようです。 ところで、交際費の税金処理は、そもそも損金算入できるものを、旧措置法(61の4)で損金不算入にしているに過ぎません。それを平成26年度税制改正では、あらためて措置法(61の4①④、措規21の18の4)で損金算入できるようにしています。つまり、できるものを、できないとし、さらに一部ならできると、取り扱いをややこしくしているのです。 とりあえず、安倍政権的には、交際費をドンドン使って景気回復機運を高めようというのですが、期限は平成28年3月末まで。延長されるかどうかわかりませんが、消費税が10%になる前に、大盤振る舞いもなくなります。健全に使っていくためにも、交際費を使う現場の指導に力をいれないと、税務調査で指摘され、大きなペナルティということにもなります。


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