税理士業界トピックス

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2015.03.17

コンビニ業界の再編と会計事務所

コンビニ業界の再編が急速に進んでいます。

ファミリーマートとユニーグループ・ホールディングス(HD)はこのほど、2016年9月の経営統合に向けた協議を開始したと発表しました。ファミリーマートを存続会社とし、ユニーグループHDを吸収。両社のコンビニエンスストア「ファミリーマート」(業界3位)と「サークルKサンクス」(業界4位)はブランドを一本化するようです。

統合によりファミマとサークルKサンクスの店舗総数は1万7599店となり、セブンイレブン(1万7277店、いずれも1月末時点の店舗数)を上回り、業界トップとなるようです。全店売上高では、ファミマ・サークルKサンクス連合はセブンに1兆円近い差をつけられていますが、現在業界2位のローソンを9千億円近く上回ることになります。店舗数でトップ、売り上げで第2位の巨大グループが誕生するわけです。
コンビニ業界は、これまでセブンが「ひとり勝ち」でしたが、今回のファミリーマートとサークルKサンクスの統合で、2強に少し離されたローソンという構図になります。

このコンビニ業界の激変は、実は郵便局も驚異に感じていると思います。現在、郵便局は、日本一のインフラ拠点です。店舗数でみると、今の郵便局数は約2万4千件。セブンですら7千件程度の差があり、ファミマ・サークルKグループもほぼ同じです。ただ、セブンは、2015年度中にも年間1700点出点する計画で、このペースで出店が続けば、5年で郵便局を超えます。もちろん、ファミマ・サークルKサンクス連合も店舗数を増やしてくるでしょうから、コンビニが全国1、2のインフラ拠点になる日も近いといえます。
これだけのインフラを持つと、日本全国でモノ、サービスが売れます。今もエンターテイメントからレジャーチケット、公共料金の支払い、ATMでの銀行機能、ネットショッピングでの商品受け渡し場、一部店舗でのクリーニングサービスなど、さまざまサービスを提供しています。最近では、「御用聞きの時代」として自ら出向き、宅配サービスや移動販売など行っている店舗もあるようです。ここまでくると、ライフラインとも言えるのではないでしょうか。
金融関係は、銀行ATMだけですが、将来は郵便局並みのサービスが提供されるかもしれません。保険や証券を始め、相続などをサポートするライフプラン窓口。これらができたら、地方の高齢者はとても助かると思います。

かつてコンビニは、主力顧客を若年層にしていましたが、東日本大震災を契機にライフラインの役割を果たし、女性やシニア、高齢者層の顧客を増やしてきています。
会計事務所も、このコンビニというインフラと提携していく時代が近い将来くるかもしれません。このときコンビニと提携できるのは、やはり全国展開する巨大税理士法人でしょうか・・・。

会計事務所業界もまだはじまったばかりですが、統廃合が進んでいます。都市部を中心に数百人規模の会計事務所も多くなり、世界的に展開する会計事務所グループ「ビッグ4」(アーンスト&ヤング、デロイト・トウシュ・トーマツ、KPMG、プライスウォーターハウスクーパース)以外にも1千人規模の会計事務所グループも出てきました。会計事務所の規模拡大は今後さらに進むことが予想されます。もしかすると、存在感が問われ始めている郵便局が、先に会計事務所との連携サービスを展開するかもしれません。業界関係者からは「そんな馬鹿な」との声も聞かれそうですが、コンビニや郵便局と提携できたら、すごいことができると思います。あながち夢物語ではないと、私は考えています。

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Profile 宮口 貴志

税金の専門紙「納税通信」、税理士業界紙「税理士新聞」の元編集長。フリーライター及び会計事務所業界ウオッチャーとして活動。株式会社レックスアドバイザーズ ディレクター。

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