税理士業界トピックス

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2014.08.28

官・民でターゲットは超富裕層!?

米金融大手シティグループが、傘下のシティバンク銀行(東京・千代田区)の個人向け金融事業を売却する方針を固めました。譲渡理由としては、低金利が続く中、個人向け取引では収益を確保できないと判断したためで、日本部門は法人取引に特化していくそうです。

マスコミ報道では、「三菱UFJフィナンシャル・グループなど3メガバンクのほか、投資ファンドや有力地方銀行に打診を始めた」とありました。

シティバンクの個人向けは、外貨預金や富裕層向けの金融商品の販売がメーンになっており、買収できれば、都市圏の富裕層向け取引の強化につながるため、各金融機関で活発な入札が予想されます。
世界の話になりますが、ウィキベディアで調べてみると純金融資産100万ドル以上を持つ富裕層世帯は、アメリカに次いで日本は2位と書かれています。

資料はスイスの金融大手クレディ・スイスが2012年10月に発表した世界の富裕層数ランキングからとなっており、純金融資産100万ドル以上を持つ富裕層世帯に属する人数が最も多い国がアメリカ(約1100万人)で、2位に日本(約360万人)、3位にフランス(約230万人)、4位にイギリス(約160万人)となっています。
一方、純金融資産5千万ドル以上を持つ超富裕層世帯に属する人数はアメリカ(約3万8千人)が他国を圧倒的に引き離しており、以下、中国(約4700人)、ドイツ(約4千人)、日本(約3400人)、イギリス(約3200人)となっています。
また、成人一人当たりの純金融資産はスイス(約47万ドル)が世界一であり、オーストラリア、ノルウェー、ルクセンブルク、日本が世界トップ5とのことです。

国税庁はこのほど、超富裕層と位置づける資産十億円超の資産家をターゲットに、専門チームを設け情報収集を行うとしました。
まずは東京と大阪の両国税局で始め、資産状況やキャッシュフローなどの情報を複数年かけて集めるそうです。主に投資活動を行っている会社役員や投資家などが対象になる可能性が高いと考えられます。
特に海外での資産運用が増えていることから、海外への投資や送金のある資産家はまず入念に調べられることも間違いなしです。

とくに今年から、海外に資産5千万円以上持つと「国外財産調書」を提出しなくてはなりません。
お盆も明け、そろそろこの国外財産調書の「お尋ね」の送付などが届くのではないかと思います。

この国外財産調書を提出しなかった場合や、税務署が国外送金等調書によってすでに把握している海外預金口座の記載が国外財産調書になかった場合など、海外の税逃れの疑いがあるケースでは、「お尋ね」の送付や税務調査が行われる可能性が高いでしょう。

税務調査の結果、国外財産から生じる所得の申告漏れが分かると、修正申告などが求められ、通常は3~5年、最大7年分の追加納税となります。さらにペナルティとして、過少申告加算税(10~15%)、確定申告をされていない場合は、無申告加算税(15~20%)が課されることになります。

超富裕層は何処に行けば見つけられるか?国税当局の担当者はいつもそのことを考えています。
さて、何処でしょう?。まずは、シティバンクのような金融機関です。つまり、超富裕層の情報収集ともに今後は、金融機関のアプローチもこれまで以上に増えること間違いなしです。

Profile 宮口 貴志

税金の専門紙「納税通信」、税理士業界紙「税理士新聞」の元編集長。フリーライター及び会計事務所業界ウオッチャーとして活動。株式会社レックスアドバイザーズ ディレクター。

公認会計士・税理士・経理・財務の転職は
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