税理士業界トピックス

税金・会計に関するニュースを分かりやすく解説します

2014.04.08

消費税率アップで税務調査が増える!! 課税当局は臨戦態勢

消費税率が5%から8%に変わるやいなや、東京国税局が不正還付を受けたとして 中古釣り具の輸出販売会社「クレッシェンドインターナショナル」(東京・目黒区)と、 高橋正人実質経営者を消費税法違反(脱税)の疑いで東京地検に告発したと各マスコミ紙が報道しました。

各紙足並み揃えすばらしいタイミングでの報道でしたが、
この点だけを見ても国税当局が今後、消費税調査にかなり力を入れていくことが明確です。
一罰百戒の効果を狙ってマスコミ各紙に流した話でしょうが、
会計人としてはクライアントの消費税処理はかなり神経を注いで対応しないと、痛い目にあうこと間違いなしです。

今回の事件は、輸出の際に消費税が還付される「輸出免税制度」を悪用し、
4億数千万円分の仕入れを虚偽申告したとされます。
朝日新聞によると、同社は国内の中古釣具店から日本製の釣りざおとリールを購入。
インターネットのオークションで米国や豪州の釣りファンに1万~5万円で転売。
2012年2月までの2年間の仕入れ額は約5500万円だったのに、
4億数千万円分を水増しした還付申告書を作成し、目黒税務署に申告。
約2200万円の不正還付を受けたとのことです。

そもそも消費税調査については、平成25事務年度の「国税庁が達成すべき目標に対する実績の評価に関する実施計画」にも記載された重点項目です。
このなかで国税庁は、「無申告や不正還付への対応を含め、その調査、還付申告の処理等を的確かつ厳正に行います」としています。
これを受け調査の現場では、高額な還付申告の場合は確認後でないと還付できないとのお達しが出ているようです。
〝高額″の目安は、東京局管内だと約500万円との噂があります。
ただ裏を取った話ではないので「そんな噂がある」程度に頭の片隅にでも置いておいてください。

それと消費税の問題として、会計事務所で忘れてならないのが加算税の負担問題です。
還付申告後に実地調査が行われ、後日過少申告加算税のみの追徴問題が生じた場合、
その追徴を誰が負担するのかということが起きかねません。仮に顧問税理士に責任があった場合、損害賠償という事態になります。
「税理士責任賠償保険(税賠保険)に加入しているからそれで賄う」と考えている先生方もいるかもしれませんが、加算税は税賠保険の免責事項です。
保険金と対象ではありません。つまり、自腹を切らないといけないのです。
消費税の3%アップは、課税庁にとっても税収確保の観点から大きな問題です。
消費税は「預かり金」ですので、当局もすでに臨戦態勢です。とくに赤字企業でも消費税調査は行われますので十分な注意が必要です。

Profile 宮口 貴志

税金の専門紙「納税通信」、税理士業界紙「税理士新聞」の元編集長。フリーライター及び会計事務所業界ウオッチャーとして活動。株式会社レックスアドバイザーズ ディレクター。

公認会計士・税理士・経理・財務の転職は
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