税理士業界トピックス

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2014.03.08

大企業も交際費5割まで非課税!

アベノミクスの追加経済対策の一環として、2014年度税制改正で実現しそうなのが、大企業の交際費の損金算入です。与党税制調査会(与党税調)では、資本金1億円以上の大会社においても、交際費の50%の損金算入を認める方針で、内部留保していた資金を市場に放出させる狙いがあるようです。

企業の手元資金は現在約200兆円とも言われ、いかにこの溜め込んだお金を消費や投資などに向かせるが課題になっています。

中小企業においては、2013年度税制改正で交際費を最大800万円まで損金算入可となりましたが、資本金1千万円以下の中小企業の交際費支出は1社あたりの平均額は約93万円、資本金5千万円万円から1億円の会社の平均額は約391万円となっています。一方で、資本金10億円超の大企業においては、約7725万円にのぼり、大企業の平均額は2850万円となっています。つまり、大企業ほど交際費を使う額が大きく、税制改正による効果は大きいというわけです。

経費処理できる交際費は、原則として飲食接待費に限る方向で検討。時期としては、来年4月から2~3年間の時限措置とするもので、中小企業も現行制度との選択制を検討している模様です。

資本金1億円以下の中小企業は今年4月から、年間600万円を上限に交際費の90%が必要経費に認められていたのが、上限800万円に拡大。しかも全額損金OKとなりました。財務省はこれにより350億円を超えるお金が新たに接待に使われると踏んでいます。

大企業の交際費の損金参入が可能になれば税収は減るものの、経済効果はかなりあるものと考えているようです。ちなみに、大企業の交際費の損金参入50%が認められると、ネオン街だけでなく、ゴルフ接待なども活況を呈してくるものと思われます。

ゴルフ接待の2次会では、定額控除の5千円基準をうまく使えば、全額損金処理できるかもしれません。気を付けなくてはいけないのが、ゴルフ場でそのまま宴会をすると5千円基準は使えないので、場所を変えて行う必要があります。

50%の交際費の損金算入が認められると、同時に厳しくなるのが税務調査です。法人税調査で必ずチェックされる項目なのでキッチリ管理しておかなければなりません。資本金1億円以上の会社は約4万社程度で全体の2%に過ぎません。しかし、その一方で税収の約70%を占めており、約8兆円にものぼります。

諸外国を見てみると、交際費を損金算入する国も意外に多くイギリスとフランスが支出交際費の全額、ドイツは70%、アメリカは50%の損金算入を認めています。

昔の話ですが、接待などで銀座や赤坂のクラブに行っていたころ、お店のお姉さんが、ズラ~と整理・管理された大企業の役員名刺を見せてくれました。ランク分けされており、社長、会長クラスでないとAランク(優良顧客)ではないと言っていました。役員では、その下のBランクなのです。自分なんかは場外でしたが・・・。しかし、経済が下降してくると、弁護士や税理士、会計士ら士業の人気が高まり、企業も同族オーナーがモテていました。さて、来年あたりは“大企業の交際費”をキーワードに、また企業戦士の人気が高まるかもしれませんね。

【訂正】*記事中に誤りがあり、一部修正し掲載しました(2014/3/8)

Profile 宮口 貴志

税金の専門紙「納税通信」、税理士業界紙「税理士新聞」の元編集長。フリーライター及び会計事務所業界ウオッチャーとして活動。株式会社レックスアドバイザーズ ディレクター。

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