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宮口貴志の税界雑感

元『税金専門紙』『税理士業界紙』編集長

Profile

税金の専門紙「納税通信」、税理士業界紙「税理士新聞」の元編集長。
フリーライター及び会計事務所業界ウオッチャーとして活動。株式会社レックスアドバイザーズ ディレクター。

犯罪収益移転防止法を知らない!?  「本人確認」怠る先生多数

 クライアントの会社設立手続きなどをサポートするとき、「本人確認記録」を取っていない税理士先生が多いようです。先日、職業会計人の勉強会で話題になったのですが、出席していた9割以上の先生が取っていませんでした。法施行時は、かなり頻繁に業界紙・誌が取り上げていましたが、読まれた方は少ないようです。

 この「本人確認記録」ですが、何のことかというと平成20年3月1日から全面施行(平成19年3月31日公布、同年4月1日一部施行)された「犯罪収益移転防止法」のことです。もう法律が施行されて5年も経過しており、専門紙編集長時代に記事で取り上げた経験があるので、「読まれていなかったんだ」と少しショックでした。

 

 ■「行為・手続」の「代理・代行」が対象に

  幸いなことに、この勉強会に出席していた先生方は、「本人確認記録」を取っていなくても問題にはなっていないようですが、会計事務所業務に直接関係してくることだけに法律内容をしっかり理解しておく必要があります。 

犯罪収益移転防止法とは、マネー・ロンダリング、テロ行為などへの資金の供給防止を目的に制定されました。

本人確認が義務付けられたのは、以下の12業者です。

・金融機関

・ファイナンスリース事業者

・クレジットカード事業者

・宅地建物取引業者

・宝石・貴金属等取扱事業者

・郵便物受取サービス事業者

・電話受付代行業者

・司法書士

・行政書士

・公認会計士

・税理士

・弁護士

 

  税理士の場合、法律が適用される特定業務は、税理士法2条、同48条の5に付随・関連して行う業務のうち、クライアントのために行う次の「行為・手続」の「代理・代行」となります。

(1)宅地または建物の売買に関する行為または手続き

(2)会社の設立または合併等に関する行為または手続き

(3)現金・預金・有価証券その他の財産の管理・処分、のいずれかの行為の代理または代行

(顧客を代理して不動産の売買。顧客の相続財産を管理など)

 

一方で、特定受任行為の代理等から除外される業務は、

・租税の納付手続きの代理・代行

・成年後見人の業務

・財産価額が200万円以下の財産の管理・処分の代理・代行

 上記以外には、相談、会計参与、取締役、監査役等の会社の機関として行う業務は、基本的に、特定受任行為の代理等に該当しません。

 

会計事務所で7年保存

 特定受任行為の代理等を行う契約を結んだとき、クライアントの本人確認を行うことになります。「社長とは10年以上の付き合いだから本人確認なんて・・・」はNGです。分かっていてもしなくてはいけないのです。クライアントの名義が法人の場合、法人に関する登記事項証明書や印鑑登録証明書などの提示を受けて、法人の名称、本店または主たる事務所の確認を行うとともに、取引担当者についても氏名・住居・生年月日を確認する必要があります。担当者が交代した場合は、新担当者が初めて取引依頼に来た時点で、この者の「本人確認」が必要になると考えられます。

  クライアントが個人の場合なら、運転免許証や健康保険証、パスポートなどの公的証明書の提示を受けて、顧客の氏名・住所・生年月日を確認します。

  本人確認を行った後は、その記録の作成になりますが、主な記録事項は、本人確認を行った者および本人確認記録作成者の氏名等、本人確認書類の提示を受けた日付、本人確認を行った取引の種類、本人確認を行った方法、顧客の本人特定事項などです。

 さらに、特定受任行為の代理等を行ったときには、その記録を作成しなければならず、これらの本人確認記録および取引記録は、文書やコンピュータのワード文書などで作成して、7年間保存しなければなりません。

 もし、「めんど~」と無視してしまうと罰則があるので油断していると痛い目に合います。

 義務違反には、まず、監督行政庁から「是正命令」が発せられ、ホームページ等で公表されます。この命令に従わない場合は、2年以下の懲役または300万円以下の罰金、または併科となります。さらに法人として事業を営んでいる場合は、法人宛に3億円以下の罰金が、別途、科せられます(両罰規定)。この「法人」に条文上、制約はありませんので、税理士法人は、場合によってはこの両罰規定が適用されることもあります。

  

 <罰則> 

2年以下の懲役

300万円以下の罰金

3億円以下の罰金

個人

アリ

アリ

ナシ

法人

行為者にアリ

行為者にアリ

アリ

 

この法律の施行に当たって日税連は、警察庁との協議を通じ「疑わしい取引の届出義務」については、税理士法上の守秘義務との関係や届出基準の曖昧性等の問題があり、クライアントとの信頼関係に支障をきたすおそれがあることを指摘してきました。その結果、犯罪収益移転防止法の対象となる特定事業者は、特定業務において収受した財産が犯罪による収益である疑いなどがあると認められる場合には、政令で定める事項を行政庁に届け出なければなりませんが、税理士についてはその適用が除外されています。


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