税理士業界トピックス

税金・会計に関するニュースを分かりやすく解説します

2012.12.25

税制改正で高すぎる
延滞税は見直し有力

 政権交代により、平成25年度税制改正大綱の発表が大幅に遅れることが決まりました。例年、12月中旬に大綱が発表され、クリスマス前後に閣議決定されますが、今回は、基本的に民主党政権下の改正案はいったん「ガラガラポン」され、自民党税制調査会(党税調)で検討し直されます。そのため先般の会合では、来年1月中旬に大綱発表、1月末に閣議決定、3月末までに税制改正法の成立というスケジュールが確認されました。

■自民党税調の密室協議が復活

 税制改正の協議自体、民主党政権と自民党政権では大きく違います。民主党政権では、副大臣で組織する政府税制調査会で税制改正を協議しましたが、自民党政権では、政府税制調査会は首相の諮問機関になり、実質は党税調と財務省で詳細が決められます。基本的に密室で協議され、党税調会長が絶大な力を持ちます。安倍晋三首相すら、党税調には口出しません。

 とはいうものの、今回は時間がないので、民主党政府税制調査会で協議してきた内容をベースに、再協議してくことになりそうです。内容についても、最低限の改正に止まるのが大方の見方で、すでに3党合意の内容がありますから、その部分と日切れになる税法の延長の有無というのがメインになると思われます。 

平成25年度税制改正で、ほぼ見直しが予想されているのが国税通則法の延滞税・利子税・還付加算金です。延滞税は、年14.7%ですが、法定期限の翌日から2カ月間は7.3%となっており、平成11年度税制改正以降は、特例として4.3%に引き下げられています。引き下げても4.3%ですから、「市場から考えたら高すぎるのではないか」という声に後押しされています。しかし、もともと罰則的な意味合いから高い利率になっているので、再度、この利率が妥当かどうかを再検討しましょうというのが今回の主目的です。合わせて、利子税や還付加算金も引き下げては如何という内容になっています。

■“大玉”は26年以降に持ち越し

 また、事業承継税制についても、見直される可能性が高いと見られています。現在は、雇用要件として5年間、8割維持が義務付られ、その要件を満たせないと税優遇されていた期間も利子が上乗せされ、税金を納めないといけないという、かなりキツイ内容になっています。それを、「5年間の平均値で8割雇用」に変更してはどうか、また、親族外の事業承継についても認める可能性が出てきています。

 このほか、「相続財産に係る譲渡所得課税の特例」「財産及び債務の明細書に記載する財産価額」についても、見直しが予想されます。

  企業として気になる法人税率の軽減については、現段階ではかなり難しいのが現状で、所得税の最高税率、相続税の見直しと共に“大玉”と言われる税制改正は平成26年度改正以降になることが有力視されています。

Profile 宮口 貴志

税金の専門紙「納税通信」、税理士業界紙「税理士新聞」の元編集長。フリーライター及び会計事務所業界ウオッチャーとして活動。株式会社レックスアドバイザーズ ディレクター。

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