税理士業界トピックス

税金・会計に関するニュースを分かりやすく解説します

2012.05.31

ジューンブライドで幸せゲット!! ご祝儀に税金ってかかるの?

もうすぐ6月。6月といえばジューンブライドということで、女性誌などでは一斉に結婚特集を組みます。由来は諸説ありますが、一般的に6月に結婚した花嫁は幸せになれるというヨーロッパの伝承から来ています。

■祝い事には税務署も寛大!?

今回はジューンブライドということで、結婚式に係わる税務問題について解説します。

基本的に、「結婚」に絡んだおカネに関しては、税制はおもいのほか寛大です。一般に“お金”を贈与した場合、贈与税がかかります。そのため「実は祝儀も」と考えがちですが、結婚に際して個人から受け取った祝儀は「社会通念上相当と認められるもの」であれば非課税です。

「そりゃ?そうだろう!!」と思う人も多いと思いますが、くせ者は「社会通念上相当」の範囲なんです。極端な例ですが、祝儀で1千万円の小切手が非課税だったら、これは税務署だって黙っちゃいません。なんでもかんでも非課税とては、結婚式を利用した相続対策ができてしまいます。

税務当局によれば、「社会通念上相当」の範囲はあくまで個別判定。「1?10万円程度なら許容範囲内といえるが、ひと口100万円となると社会通念上相当とは言い難い」(税務職員)という声もあります。ただこの点も、受取る側や渡す側の地位や関係などにより相場は変わってくるので一概には言えません。

■税務署から指摘されたら給与扱いに

税務署から「社会通念上相当の範囲を超えている」と指摘された場合、その超えた分が課税対象となります。友人や知人から受けたものは贈与税、勤務先から受けたものは給与所得となります。

一族経営の場合、社員である経営者の息子さんの結婚式などに若手社員を受け付けなどに配置することがあります。招待者は取引先の社長や役員だったりと、一見すると会社主催の記念パーティーさながら。では祝儀はどういう扱いになるのか? 

結婚式はあくまで個人のイベント、取引先の会社名義のご祝儀も結婚する当事者のものになるので、「社会通念上相当の範囲内」であれば非課税扱いになります。

相当の範囲を超えている場合は贈与税ではなく、一時所得として所得税の対象となります。祝儀を渡した会社サイドは交際費扱いです。ただし、祝儀は領収証がもらえないので、証拠書類として招待状のコピーなどをとっておく必要があります。

 ■“すねかじり”も許される範囲

「結婚」に絡んで動く金銭はご祝儀ばかりではありません。たとえば、結婚式場や披露宴会場、料理、引出物などにかかる結婚式費用。これらの費用を親が子どものために負担してあげる場合、結婚式にかかった費用負担が実費だけならば親が負担しても贈与税はかかりません。

この仕組みを利用して、子どもの結婚を機に「結婚持参金」と称して多額の金銭を移動するケースがあるようですが、親から子どもへの「持参金」については、たとえ結婚をキッカケとする金銭移動であっても、税務上は純粋な金銭贈与とみなされ贈与税がかかります。つまり、税金がかからない結婚持参金は、贈与税の基礎控除額である「110万円」までなのです。これ以上の持参金を持たせたいなら、子どもの結婚相手にも贈与すれば計220万円が非課税となります。ただし、ご祝儀をもらう年との同じだと110万円を超えてしまうので注意が必要です。

このほか、前述のようなケースで、会社の後継者の結婚式だから「顔見せかたがた取引先を招いて盛大にパーティ」と、費用は全額会社もちで豪勢な披露宴を催すケースもありますが、結婚式はあくまで私的なイベントなので、会社が負担した費用は当事者への給与扱いになるので、姑息な節税は厳禁です。

ジューンブライド

Profile 宮口 貴志

税金の専門紙「納税通信」、税理士業界紙「税理士新聞」の元編集長。フリーライター及び会計事務所業界ウオッチャーとして活動。株式会社レックスアドバイザーズ ディレクター。

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