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宮口貴志の税界雑感

元『税金専門紙』『税理士業界紙』編集長

Profile

税金の専門紙「納税通信」、税理士業界紙「税理士新聞」の元編集長。
フリーライター及び会計事務所業界ウオッチャーとして活動。株式会社レックスアドバイザーズ ディレクター。

出張ついでの贅沢三昧は危ない!!
観光費用は「役員給与」に

大型連休を利用して「出張ついでに観光」と考えている人も少なくないでしょう。
しかし、気をつけなくてはいけないのが、出張にかこつけて会社のおカネで観光するケースです。後で痛い目を見ることもあるので、“出張税務”のポイントは押さえておきましょう。

 出張費用については、あらかじめ就業規則などに「旅費規定」を定め、
それに基づき支給することが大切です。社長や役員の場合も同じです。
この場合の出張費は、その金額が「常識の範囲」を逸脱していない限り、
給与として所得税が課税されることはありません。
「常識の範囲」の判断基準としては、
「役員を含むすべての社員において、バランスの取れた基準で計算されているか」、
つまり「旅費規程」そのものが適正であるか――が問題になります。 

●家族にやさしい「温情税務」

「旅費規定」では、出張先への距離や役職に合わせてどの程度の概算旅費を想定しているのか、ということが判断の基準となり、「旅費規程」そのものが世間一般の相場からかけ離れていれば、非課税となる旅費とは認められません。
また、同業種、同規模の企業が一般的に支給している金額と照らし合わせて、
支給された概算旅費が適正かどうかも判断基準の一つになります。
つまり、「常識の範囲内」として認められる出張旅費であれば、
給与とみなされ所得税が課税されることはありません。
ですが、出張ついでに観光を行い、
その費用を会社が負担したケースではそうもいきません。
オーナー企業経営者の場合、この辺の線引きが曖昧になりがちなので、
会社の経理を預かる担当者としては、その辺の事情を考慮して間違いない対応をしたいところです。
この取り扱いでは、非課税の出張旅費を「業務に必要なもの」に限定しています。
この「業務に必要なもの」として認められるのは、交通費や日当、宿泊費、往復の航空運賃、支度金など。社長や役員に場合、「機密費、接待費、交際費、旅費等の名義で支給したもののうち、その法人の業務のために使用したことが明らかでないもの」については、社長や役員に対する「経済的な利益」として役員給与とみなすことになります。
そのため、出張にあわせて観光を行った場合には、
会社から支払われた旅費を「業務に費やした期間」と「観光に費やした期間」との比率で按分し、観光部分にかかった費用を役員給与として処理することになります。
しかし、旅行の目的があくまで取引先との商談など業務上のものであり、
あくまでその“ついで”として観光を行ったようなケースでは、
取引先の所在地や業務を行う場所までの往復交通費に限り、
その全額を損金として処理することができます。 

●役員給与が経費で落とせない!?

なお、役員給与には、いわゆる「定期同額給与」として認められるものしか
損金算入できないという規定がありますがが、
給与とされた旅費は定期同額給与の範囲を外れてしまうため、
原則として損金算入できません。
給与として所得税が課税された上、会社経費として落とすことができないのだから、
ダブルで損をすることになるわけです。
また、出張ともなれば妻を同伴させて観光を楽しむケースも珍しくありませんが、
社長や役員の妻の旅費や観光費用を会社が負担した場合にも、
その社長や役員に対する給与とみなすことになります。
ただし、例外もあるので覚えておきましょう。
たとえば、役員が常になんらかの世話を必要とする身体障害者で、
世話人として妻が付き添う場合や、国際会議などで妻の同伴が必要な場合、
妻の持つ専門的な知識が業務に必要となるような場合(たとえば、妻が通訳として同伴)など、妻の同伴が明らかにその旅行の目的達成に必要と認められるときは、
出張に「通常必要な費用」となり、妻の観光費用を除いた金額を出張旅費として損金処理することができます。


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