公認会計士の転職先と最新求人動向|
キャリアの選び方と市場トレンド

【この記事からわかること】
- 2025年の最新情報を反映した、昨今の公認会計士の転職市場動向および求人トレンド
- 公認会計士のキャリアプランおよび転職先別の特徴、強み
- 公認会計士の転職先の選び方、公認会計士の転職成功事例から学ぶべきポイント
公認会計士の転職市場動向と求人トレンド2025年最新版

公認会計士の転職市場動向として、以下の特徴がみられます。
- ・監査法人での業務の高度化および監査報酬の減少に伴い、一般事業会社への転職を希望する公認会計士が増加傾向にある(企業内会計士)
- ・上場企業やIPO準備企業が増加傾向にあり、一般事業会社における公認会計士の需要も高まっている
- ・一般事業会社への転職を希望する公認会計士の増加に伴い転職市場の競争率は上がっており、ほかの求職者との差別化や、自分の強みを活かせる求人選びが重要になっている
公認会計士の9割以上は、最初の就職先として大手の監査法人を選びます。
その後転職するとしても別の監査法人を選ぶケースが多くみられました。
しかし昨今は監査法人である程度の経験を積んだ後に一般事業会社へ転職する公認会計士が増えています。
一般事業会社の人気上昇に伴い転職活動の競争率も上がっているため、以前よりも転職活動に向けた対策の必要性が増している傾向です。
転職市場における公認会計士の強み
転職市場における公認会計士の主な強みとして以下の3つが挙げられます。
- ・監査法人、一般事業会社、金融系、税理士法人など転職先の選択肢が多い
- ・会計に関する高度な専門知識と豊富な経験をもつため需要が高く、高年収や好待遇での転職が期待できる
- ・正社員として勤務するだけでなく、フリーランスとして仕事をしつつ副業で監査のバイトをする、事務所を設立する等のさまざまな働き方ができる
公認会計士は就職先の選択肢が広い上に、専門性の高さと経験の豊富さから高い需要を誇ります。
そのため就職先が見つからないリスクは低いでしょう。年収アップや好待遇での転職も期待できます。
また、公認会計士は正社員としてだけでなく、副業やフリーランス、独立等のさまざまな働き方ができます。
転職を機に働き方を変えることも可能です。
公認会計士のキャリアプラン・転職先・求人詳細
財務・会計系コンサルティングへの転職戦略
大手企業のIFRS導入や内部統制支援、また、M&A関連のコンサルティングのデューデリジェンス業務、上場準備会社のIPO支援業務などが中心になります。これらの業種は監査法人で3年以上の経験があると即戦力として認められ、活躍できる分野となります。
また、特殊なところでいけば、IFRSを導入している上場会社やIPO準備をしている会社の監査の経験があるとIFRS導入やIPO支援業務には有利に働きます。
これらの業種は景気に左右されやすいですが、必ず一定数の案件はあるため、求人も一定してあります。
給与水準に関してもコンサルティングファームとなるため、他の職種と比較して高めの水準となります。
税理士法人系コンサルティングでのキャリア構築
公認会計士の人は独立を目指す人も多いのですが、独立するには税務の知識が必須になります。公認会計士は会計の専門家ではあるものの、税務の専門家ではございません。そのため、独立を考えたタイミングで税理士法人系のコンサルティングに行きたいと考える人が多いです。
公認会計士が税理士法人に行く場合は、税務の経験がほとんどないため、最初の業務は監査に近いM&A業務に伴う税務デューデリジェンスから入ることが多いです。そこから幅広く税務の経験を積んでいくことになるのですが、独立を考えている人は中小・中堅企業への税務コンサルティングの経験を積みたいと考える人が多いです。
そのほか、移転価格税制などの国際税務や事業承継など幅広い業務があります。
会計に加えて税務の知識・経験を積むことで将来独立を視野に入れた場合のキャリアの広がりため、会計士の方に人気が高い傾向にあります。
金融系コンサルティングへの転身とその魅力
金融機関系のコンサルティング会社やアセットマネジメント事業、投資・M&Aなどのファンドがメインとなります。特にファンドの求人にはファンド側の求人はもちろんのこと、ファンドが投資している会社のCFOの求人などもあります。
ファンドの求人は他の業務の中でも高い給与水準となりますが、業務は激務になりやすい傾向があります。また、投資している会社の求人についても高い給与水準ですが、求められる条件は高いものとなります。
そのほかの金融系のコンサルティングも給与水準も高い求人が多いです。また、それらの求人は若手でもチャレンジできるポジションも多いです。
一般事業会社での公認会計士の役割と将来性
一般事業会社の求人のメインは上場企業の経理部がメインとなります。その他、IPOを目指している会社のCFO候補や上場企業の経営企画部、内部監査部などの求人があります。
公認会計士は会計の専門家であるため、経理部の求人が多くなります。それまでにIPO支援業務の経験があれば、IPO準備会社の求人も多くなります。また、ここ最近はM&Aを積極的にしている会社であれば、内部にM&A関連業務の経験を積んだ専門家を採用するケースも増えてきています。
一般事業会社では事業会社を経験している人が優遇され、グローバルに展開している会社であれば英語力や実務で英語を使っていた人も求人としては増えます。
一般事業会社への転職は30代前半までの求人が多く、40代になると求人が減ります。そのため、一般事業会社への転職を考えているのであれば遅くても30代半ばぐらいまでに考える必要があります。
また、一般事業会社の給与水準は周りの年代と同じ形になる傾向があるため、年齢が上がれば上がるほど監査法人との乖離が大きくなります。そういう面で考えても早めに事業会社への転職の経験を作りましょう。
そのほか、一般事業会社では資格よりも人物面や実務経験を重視される傾向にあり、社風に馴染む人柄などをみられるケースも多くあります。
監査法人へのリベンジ転職
当然、最も経験スキルを活かせる転職ですが、中堅・中小監査法人の場合、上場企業の中でも新興市場を対象としていることも多く、監査チームも少人数です。比較的、若く主査経験がある人材を求める傾向にあります。
売り手市場ということもあり、大手監査法人の求人数も増えており、氷河期に大手監査法人に就職できなかったゾーンの方々がリベンジ転職をされる方もいます。
その他コンサルティング分野での活躍の可能性
戦略コンサルティングに転職する場合、付け焼刃では厳しく、会計地頭だけでなく、マーケティング力や構想力など監査法人の業務では触れにくいビジネスセンスも要求されるため、相当期間選考準備する必要があります。
大企業や外資向けのIT系コンサルティング会社でも英語とITに精通していると有利です。基幹システムを納入するために財務コンサルティングを行なうケースもあります。
公認会計士の離職理由と転職先の選び方

会計士が転職先を選ぶとき、何を重点に置くかで選択肢は大きく違ってきます。
今の自分が何を重視するのか、まずは考えるようにしましょう。
専門性を高められる職場
専門性を身につけられる、またはさらに高められるかも選び方のひとつです。IFRSならば海外と関わりのある企業、IPOならば上場準備する一般企業、またはM&Aや財務リストラクチャリングならば再生を望む企業などが該当するでしょう。
自分が何に魅力を感じているのか、または実績を積んできたのか。
今後どうキャリアに活かしていくのかしっかり言語化することが求人を選ぶ決め手となります。
幅広い経験を積むための環境
自分の強みを築くため、または独立を見据えて幅広い経験を積みたいという方もいるでしょう。
ひとつは企業内会計士として働く選択肢が挙げられます。
特にベンチャーの場合は、さまざまな業務に対応する必要があり、柔軟性や対応力を磨ける可能性があります。
また、中小会計事務所ならば色々な角度から業務に関わります。
ハードなことも多いですが、貴重な経験となるでしょう。
年収アップを実現する転職先
転職先を決めるとき、年収は重要な要素です。つい「できるだけ高い企業に」と考えがちですが、その後のキャリアについて考えることを忘れてはいけません。
目先のことしか考えずに転職すると、結果として生涯年収が低く終わってしまうこともあり得ます。
今自分がどんなスキルを持っているのか。
その上でどんな能力・経験を身につけたいのかを踏まえ、年収の高い求人にチャレンジするのが理想です。
ワークライフバランスを重視した転職先
あまりにも忙しい、残業が多すぎる、または家庭の事情など、ワークライフバランスを整えるために転職を考える会計士の方もいるでしょう。
求人で注目すべきポイントは、第一に残業時間です。
また、時短勤務や、離職率も確認しておきましょう。
併せて産休や育休が取りやすいかもチェックしておくと安心です。
一般的には企業の経理、内部監査などが残業時間が少ないと言われます。
公認会計士の年収について

希少なプロフェッショナル人材はいつの時代も売り手市場ですが、監査業務以外の未経験分野へキャリアチェンジをする場合には、年収を下げて転職することを受け入れなければならないケースもあります。
公認会計士のキャリアも多様化が進み、コンサルティングファーム、会計事務所、上場企業・ベンチャー企業、独立等、進む道・業界によって年収は様々です。もっとも監査法人でも働き方改革の影響で残業が減り、かつてほど残業手当を受け取れない傾向にあります。
年収がすべてではありませんが、レックスアドバイザーズでは多くの会計士のキャリアアップのお手伝いをさせていただく中で、キャリアごとの年収傾向なども把握しております。年収相場等が気になる方は一度ご相談にいらしてください。
公認会計士の転職で失敗しないためには
公認会計士が転職・就職で失敗をしたと感じる主な原因は4つです。
まずは、転職先の雰囲気や環境になじめなかった場合。それから、自分が予想していた業務と、実際の仕事との内容が合わないケース。
また、公認会計士は周囲から期待される機会が多く、ギャップに苦しんでしまうパターンもあります。特に事業会社でよく起こる事態です。
自分のキャリアプランと相違があるということも起こり得ます。
こうした失敗を防ぐには、転職前にしっかりと未来への道筋を描くことです。
その上で徹底したリサーチを行い、転職先の評判や条件をチェックしましょう。とはいえ、キャリアプランを固めたり、情報を集めたりするのは大変。そんな時は転職エージェントを活用することをおすすめします。経験豊富なコンサルタントのサポートは心強いもの。
カウンセリングを通じてキャリアを俯瞰できますし、自分に合った未公開の求人情報を得られる場合もあります。
失敗しない転職のためには、転職エージェントが味方になってくれるでしょう。
会計士転職の成功事例と学ぶべきポイント
レックスアドバイザーズで転職支援をさせていただき、転職に成功した事例を3つ紹介します。
【40代未経験で監査法人へ転職】
- 基本情報
- 男性・30代
- 転職前のポジション・年収
- ・地方監査法人
・年収550万
- 転職後のポジション・年収
- ・準大手監査法人
・年収600万
- 転職を希望した理由
- 会計事務所に勤めつつ公認会計士試験に挑戦しており無事に論文式試験に合格したため、監査法人で監査の経験を積んでいきたいと決意
- 希望条件
- ・40代、監査未経験だが監査法人をめざしたい
・クライアントは国内メイン
・未経験なので、450万円以上であれば年収はこだわらない
- 支援の内容
- ・書類選考での見送りが続く中、税務等の経験があること、円滑なコミュニケーションが交わせる点について高い評価をいただいていた
・応募先からのフィードバックをもとに企業分析と転職理由の深掘りを行いサポートし、面接対策で十分な準備
・真面目な人柄と今後の業務への意欲が伝わり内定を獲得
- この事例から学べるポイント
- ・未経験でも諦めず、強みのアピールや円滑なコミュニケーションを行うことが大切
・面接対策をはじめとした準備が重要
【地方から東京へ転職】
- 基本情報
- 男性・30代
- 転職前のポジション・年収
- ・地方監査法人
・年収550万
- 転職後のポジション・年収
- ・準大手監査法人
・年収600万
- 転職を希望した理由
- 地元の税理士法人併設の監査法人で実務経験を身につけた後、修了考査に合格。これを機に、より大きな監査法人で会計士としてのキャリアを構築していきたいと考えたため。
- 希望条件
- ・公認会計士としてステップアップし、キャリアを積んでいける監査法人があれば転職したい
・本音では地元で働きたいが、今のタイミングでは経験を積むことが大事だと思う
その後、以下の希望条件を明確化
・クライアント規模が大きく、監査だけでなく非監査業務にも携われる
・教育研修体制があり、貪欲に学べる
- 支援の内容
- ・地元である地方監査法人に勤めながら遠距離での転職活動であったが、電話やオンラインでサポート
・コミュニケーションを小まめに行い二人三脚のサポートを意識
- この事例から学べるポイント
- ・希望条件の明確化やポイントの言語化が必須
・遠距離の転職活動も可能。転職エージェントとの小まめなコミュニケーションや入念な対策が大切
【コンサルティングファームへ転職】
- 基本情報
- 男性・30代
- 転職前のポジション・年収
- ・大手監査法人
・年収800万
- 転職後のポジション・年収
- ・BIG4 系コンサルティング(FAS業務)
・年収900万
- 転職を希望した理由
- 監査にはやりがいを感じつつも、業務の性質上クライアントから感謝される事がない等の理由から漠然とした不満や不安を感じていたため
- 希望条件
- 当初はすぐに転職したいという気持ちではなかったため、希望条件も特になし。
まずはヒアリングや求人の紹介等を実施し、その後興味の湧いた職種の求人に応募という流れに
- 支援の内容
- ・公認会計士のキャリアパスの例およびそれぞれのメリット・デメリットの紹介
・興味の湧いた職種の求人を紹介→内定獲得を実現
・コンサルティングファームの内定獲得後にキャリアに対する不安が生じたため、現職からキャリアチェンジするメリットを整理。その後納得の上で内定承諾
- この事例から学べるポイント
- ・漠然とした不安・不満を抱えた状態では希望条件の明確化も難しいため、まずはキャリアパスの選択肢を知ることが大切
・納得のいっていない状態で入社を決めるのではなく、不安や懸念を解消した上で内定承諾を行うのが理想
初めての転職をお考えの公認会計士の方へ
弊社では、特に初めての転職をお考えの公認会計士の皆様に対して、単なる求人紹介ではなく、ひとり一人の将来プランやご要望に合わせたキメ細かい転職相談を行っております。
2025年注目の求人傾向:公認会計士が狙うべき職場
会計士は安定した、常に需要がある職業と言われます。しかし、その時々によって人気の求人傾向があります。実際にレックスアドバイザーズで扱った求人から近年人気の特徴を解説します。
公認会計士に人気の求人:コンサルティングファーム
監査法人の次のステップとして人気のコンサルティングファーム。
年収は700万円~1,000万円程度で、規模によって異なります。
業務内容も幅広く、戦略策定、中期経営計画作成支援、再生支援、M&A支援など。
ステップアップに適したスキルを磨くことができます。
クライアントはファームの規模や得意分野によってさまざま。
例えば中小企業が相手の場合は経営にしっかりと関わるので、経営者とじっくり話す機会を得られます。
会計士を志望する動機が「企業をサポートしたい」だった方も多いのではないでしょうか。
コンサルティングファームはその夢に相応しい転職先と言えます。
また、独立を見据えた転職としても人気です。
公認会計士に人気の求人:IPO準備中などの事業会社
公認会計士の資格を活かせる事業会社への転職も人気です。
例えばIPO準備中の、スタートアップ企業の求人の例を見てみましょう。
監査法人対応、内部統制構築、証券会社対応、有価証券報告書等各種開示書類作成などが業務内容として挙げられています。
想定年収は600万円~800万円です。
コアメンバーとして、IPOの初期フェーズから関わることができます。
やりがいのある経験は、貴重な財産となるでしょう。
業務は大変な部分もありますが、公認会計士にとって得意分野と言えるIPO準備で活躍でき、さらなるスキルアップを目指せます。
成長の手ごたえを感じられる転職といえるでしょう。
まとめ
公認会計士は転職先の選択肢の豊富さや需要の高さなど、転職市場において多くの強みを有します。
しかし、公認会計士という理由だけで理想的な転職を実現できるわけではありません。
納得のいく転職活動のためには、希望条件の明確化や十分な対策、不安・懸念事項の解消などが大切です。
今回紹介した内容を押さえた上で、転職活動に向けた準備を進めましょう。
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