税理士業界トピックス

税金・会計に関するニュースを分かりやすく解説します

2014.04.22

故郷に「ふるさと納税」喜ばれて税の恩恵も

「故郷に何かしたい」と思ったとき、個人でも手軽にできるのが「ふるさと納税」です。

有名芸能人がふるさと納税したことで脚光を浴びましたが、各自治体の努力によりかなり定着してきたようです。
ふるさと納税は、自分が決めた自治体に対し金額を決め、いわゆる〝寄付″する仕組みです。寄付金に対しては、
所得税と住民税の税額控除が受けられます。
また、特産品がもらえたりもします。

自治体によって異なりますが、お米や海山物、お酒など、その土地ならではのものが中心です。
なかには、旅行の宿泊券もあり、選択肢は広くなっています。
たとえば、北海道増毛郡増毛町(北海道の北西部で留萌管内南部、日本海側沿岸に位置)では、
季節によってもらえる特産品も違いますが、1万円以上の寄付でこの時期なら、甘エビ(1kg~2kg)やいくら、ホタテなどから選べます。
増毛町は、ボタンエビの漁獲高が日本一で、アマエビやたこなどの水揚げも非常に多いです。
さらに良質の水を利用して酒造も行われており、明治時代からある國稀酒造(元:丸一本間合名会社)は、日本最北にある造り酒屋として有名です。
「ふるさと納税」の特産品サイトなるものもかなり増え、選ぶのも結構楽しいです。
「1万円の寄付でこんなに貰っていいの?」というぐらい充実しています。

さて、肝心な税額控除ですが、所得税は寄付を行った年分の所得税から控除され、
住民税は寄付を行った年の翌年度分の住民税から控除されます。

寄付控除対象額は、(1)+(2)+(3) の合計です。
【所得税控除】
(1)(寄付金-2千円)× 所得税率
【住民税控除】
(2) 基本控除額:(寄付金-5千円)×10%
(3) 特別控除額:(寄付金-5千円)×(90%-所得税率)

たとえば、総務省の控除イメージでは、
給与収入700万円(夫婦子なしの場合、所得税の限界税率は20%)の人が3万円の寄付をした場合。
[※2]所得税の還付額=(3万円-2千円)×20%[※1]=5600円
[※2]住民税の基礎控除=(3万円-2千円)×10%=2800円
住民税の特別控除=(3万円-2千円)×(100%-10%-20%[※2])=1万9600円
所得税の還付額+住民税の税額控除額=5600円+2800円+1万9600円=2万8千円
(注記)
※1 所得税の限界税率であり、年収により0~40%の間で変動する。
なお、平成26年度から平成50年度については、復興特別所得税を加算した率とする。
※2 対象となる寄付金額は、所得税は総所得金額の40%が限度であり、個人住民税(基本分)は総所得金額の30%が限度。

所得税と住民税を合わせた控除額は2万8千円にもなります。
3万円の寄付で特産品と税額控除2万8千円というのは、金額的に見てもかなりおトク感があり、
さらに本来の目的である故郷への恩返しと、実に3拍子揃った制度なのです。
ふるさと納税は複数もOKなので、高所得者なら税金も多く納税しているので税の恩恵は非常に大きいです。

Profile 宮口 貴志

税金の専門紙「納税通信」、税理士業界紙「税理士新聞」の元編集長。フリーライター及び会計事務所業界ウオッチャーとして活動。株式会社レックスアドバイザーズ ディレクター。

公認会計士・税理士・経理・財務の転職は
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