経理管理職の転職に関する実態調査|前職に対する不満等の動機・きっかけ・苦労したこと等
CFO人材や経理人材に特化した転職サポートを行う株式会社レックスアドバイザーズでは、「経理管理職の転職実態に関する調査」を行い、2023年から2026年に経理管理職に転職した253名の有効サンプルを集計しました。本調査は2026年3月に実施した経理財務職に関する調査(内部リンク)のうち、管理職の方の回答を切り出して分析したものになります。調査にあたっては株式会社PRISMAのアンケートパネルを活用しております。
調査結果サマリ―
- 経理財務の管理職の場合、転職活動のきっかけは多様だが、人間関係の変化や自身の待遇を踏まえて、企業に対して愛想をつかすケースが多いと想定される
- 転職開始時と転職終了時で最重視する要素が変化する転職者は約半数に及び、「教育制度」や「福利厚生制度」重視に変化する層が一定存在する
- 転職者の3割弱が「転職活動をやり直したい」、3割強が「現時点ではわからない」と考えており、転職あるいは採用後の短期離職リスクは一定存在している
転職の動機・きっかけ
今回の調査データから、経理管理職の転職活動は「人間関係のトラブル」や「昇格・昇給の見送り」(各20%)を筆頭に、周囲の退職や業務量の増加といった環境変化が主なきっかけとなっていることがわかります。その一方で、約1割は明確な動機がなくとも転職を実現させているのが特徴的です。
前職への最大の不満としては、年収(26%)や働き方(23%)に加え、「正当な評価を受けていない」という人事評価への不満(15%)も根強く、待遇と評価のミスマッチが離職の大きな要因となっています。
こうした背景から、転職先の選定基準は年収(24%)や柔軟な働き方(17%)が重視されていることに加え、業務内容(14%)や評価制度(12%)も重視されており、自身の専門性や貢献が適切に還元される環境を求める傾向が鮮明に表れています。
管理職とスタッフ職の違い
- 転職のきっかけについては、管理職の方が「昇給昇格の見送り」(4%差)、「上司や同僚の退職」(上司:1%差、同僚:6%差)、「自身の人事異動」(4%差)が高い
- 逆にスタッフ職の方が、「ライフイベント」の比率が高い(9%差)のほか、「特にきっかけがない」の比率も高い(3%差)
- 転職前の企業への不満については、管理職の方が「年収」(8%差)「働き方」(8%差)「人事評価」(6%差)に不満を感じることが多い
- 逆に管理職の方が不満を挙げていない項目として、「業務内容」(10%差)「人間関係」(8%差)が挙げられる
- 転職先に魅力に感じている項目については、「年収」「働き方」「業務内容」がトップ3である点は同じ
- 管理職は「評価制度」(6%差)「教育制度」(7%差)を重視する人が多い一方、「業務内容」ではスタッフ職の方が高い(7%差)
転職活動の結果について
- 転職開始時には「年収」「働き方」「業務内容」を最重視している経理管理職が70%を占めるが、転職時には54%まで減少する
- 代わりに、教育制度(5%⇒11%)、福利厚生制度(3%⇒9%)、人間関係(4%⇒6%)、その他(4%⇒9%)が増える
- 転職活動の開始時と転職先の決定時で、約半数の経理財務管理職で、最重視する要素が変化する
- 転職活動に満足している転職者は全体の26%。「まぁ良かった」を選んでいる転職者が41%と最も多く、「どちらともいえない」が26%
- 「もし叶うなら転職活動をやり直したい」と考えている転職者は28%、まだわからないという層が33%で、就職あるいは採用後の短期離職リスクは一定残る
調査結果詳細
転職活動のきっかけ
最初に、過去3年以内に転職した経理財務管理職に、なぜ転職活動を始めようと思ったのか、きっかけについて聞いてみました。きっかけとしては「人間関係のトラブル」(21%)、「昇給や昇格の見送り」(21%)がトップ2であり、「上司や同僚の退職」(13%)「業務量が増えた」(11%)が続きました。
転職の誘因も多い管理職という立場ゆえに、昇給や昇格の見送りや、上司や同僚の退職をきっかけに開所に対して愛想をつかしてしまうケースが多いと想定されます。
業務量の増加も、業務量に対して適切な人員の手当てが無いと、正当な扱いを受けていないと感じて転職活動の開始に至るケースが多そうです。
もちろん、特にきっかけはなく転職活動を開始するケースも9%あるので、可能性が増えないように、あらゆる手を尽くすことが必要と考えられます。

前職に対する不満
続いて、前職への不満について聞いてみました。
前職への不満を複数回答で聞いてみると、年収(44%)、働き方(42%)、人事評価(36%)、業務内容(26%)、人間関係(25%)が主な不満として並びます。年収や働き方に加えて3番目に人事評価が来ていることから、正当な評価制度や評価制度の適切な運用の重要性がうかがえます。
最も不満に感じていたことを聞いていくと、同じように、年収(26%)、働き方(23%)に続き、人事評価(15%)が3位に入っていることがわかります。

転職先企業の魅力
続いて、転職先企業の魅力についても聞いてみました。
不満については、年収、働き方、人事制度の順に並んでいましたが、魅力的に感じる点は、年収(44%)、働き方(34%)、業務内容(26%)、ブランド力(24%)、評価制度(23%)の順になっています。最も魅力に感じた点でも、年収(24%)、働き方(17%)、業務内容(14%)、評価制度(12%)、ブランド力(11%)となっており、業務内容が3位に入ってくることがわかります。魅力という観点でいうと、やはり表面的にわかりやすい部分が上位に来やすいですね。

管理職とスタッフ職の違い
今回の調査では、管理職253名とスタッフ職281名にアンケート調査を行っているため、管理職の結果とスタッフ職の結果について比較してみました。
転職のきっかけに関しては、「昇給昇格の見送り」(4%差)、「上司や同僚の退職」(上司:1%差、同僚:6%差)、自身の人事異動(4%差)といった項目で管理職の方が高く、ライフイベント(9%差)ではスタッフ職の方が高いことがわかりました。
管理職の方が役職も高く責任が重い中で、自身の評価に対する不満や、会社の状況に対する不安があると、転職活動を開始するということがわかります。

続いて、前職に対する不満における、管理職とスタッフ職の差を見てみましょう。
管理職の方が、「年収」(8%差)「働き方」(8%差)「人事評価」(6%差)に不満を感じることが多い一方、スタッフ職の方が不満を感じる項目として、「業務内容」(10%差)「人間関係」(8%差)が上がっています。管理職の方がより責任も重いため、年収や人事評価といった会社からの評価や、人手不足に対する人員の補強といった会社の対応に対して、不満を感じやすいと考えられます。

また同じアンケートを使って、転職先に対して魅力に感じる内容も、経理財務管理職とスタッフ職で差があるのか確認してみました。
転職先の魅力に関しては、管理職は「評価制度」(6%差)「教育制度」(7%差)を重視する人が多い一方、「業務内容」ではスタッフ職の方が高い(7%差)ことがわかりました。
意外に感じられるかもしれませんが、スタッフ職よりも管理職の方が「教育制度」を重視する人が多いです。恐らく管理職の方がよりキャリアアップへの意識が高く、よりキャリアアップする上で必要な要素を学べる環境かどうかを見ていると考えられます。

転職活動前後での重視する要素の変化
ここからは再び経理財務管理職に絞ってみていきましょう。
転職活動前に最も重視していた要素と、転職先決定時に最も重視していた要素が何だったか、また変化したのかという観点で整理しています。
転職開始時には「年収」「働き方」「業務内容」を最重視している経理管理職が70%を占めるが、転職時には54%まで減少し、代わりに、教育制度(5%⇒11%)、福利厚生制度(3%⇒9%)、人間関係(4%⇒6%)、その他(4%⇒9%)が増えていることがわかります。また転職活動の開始時と転職先の決定時で、約半数の経理財務管理職で、最重視する要素が変化しています。
背景としては、転職活動を通じて複数社の選考を受ける中で、各社が魅力付けに様々な提案をすること、また複数の提案を見ながら改めて自分の軸を見直すことで、最重視するものが変わるということでしょう。

転職活動を振り返って
最後に、転職活動を振りかえって、転職活動に満足しているか、転職活動をやり直したいか聞いています。
まず転職活動に満足しているかという質問に対しては、経理財務管理職の26%がとても良かったと答え、「まぁ良かった」を選んでいる転職者が41%、「どちらともいえない」が26%となっています。
また転職活動をやり直したいかという観点では、39%が「やり直したくない」を選んでいる一方、28%が「やり直したい」、33%が「まだわからない」を選んでいます。
つまり、せっかく転職あるいは採用に成功しても、60%の方で早期離職のリスクが残っているということです。こうした早期離職リスクを回避するために、企業としては不安事項をしっかり聞き取って潰していくことが必要ですね。

調査概要
|
調査タイトル |
経理財務職の転職に関する実態調査 |
|
調査対象 |
PRISMA社のリサーチパネルより、過去3年以内に転職している、経理財務職で働く方 |
|
調査地域 |
全国 |
|
調査方法 |
アンケートリサーチ |
|
調査期間 |
2026年3月9日~3月13日 |
|
有効回答数 |
534サンプル |
|
実施機関 |
株式会社PRISMA |