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公認会計士と税理士の違いは?業務内容などを比較解説
公認会計士と税理士は、どちらも独占業務を行える士業です。
難易度の高い試験を突破し、実務経験を積まなければ資格は取れません。
どちらも社会的な信用も高いです。
ただ、意外とその違いはわからないかもしれません。
公認会計士と税理士の違いについて解説します。
公認会計士と税理士の違い:公認会計士の仕事内容から主な取引先、独立の可能性
まずは、公認会計士の業務内容を見ていきましょう。
税理士と比較していきます。
1.公認会計士の基本は監査業務
公認会計士が行う業務は、クライアントのコンサルティングや上場サポートなどさまざまです。
その中でも監査業務は、公認会計士の独占業務となっています。
独占業務とは、その国家資格を保有する人しか行えない業務です。
つまり、監査業務は例え弁護士や国会議員であっても行うことは禁止されています。
監査業務とは、財務書類を監査することや財務書類の内容を証明することであると公認会計士法に記載されています。
公認会計士は単に書類を監査するだけではありません。
会社が作成した財務諸表が適正であるか、「独立した第三者」として公に証明する業務も含まれます。
正しく決算を行い、事業を発展させるために監査は必須です。
公認会計士は、高いスキルと責任を持つべき士業であるといえます。
2.取引先は上場企業などの大企業が中心
監査法人の取引先は基本的に、上場企業や上場準備会社などの大手企業が中心となります。
監査法人への監査報酬は大きく、年間数百万円から、時には数千万円に及ぶケースもあります。
その監査報酬を毎年払える組織となると、ある程度の規模が必要です。
上場企業は会計監査が義務付けられています。
それだけの監査報酬を払ったとしても「株式上場」のメリットは相当大きいです。
例えば、資金面では株式を発行することで株主から資金を得ることができます。
会社の知名度も上がり、営業面や人材採用面でも効果があるでしょう。
また、上場を目指す際は、数年前から準備することは普通です。
社内体制の構築や業務手順の文書化、システムの構築・導入など、様々な準備が必要になります。
こうしたことは自社だけでは到底行うことができません。
実績のある監査法人のサポートを得ることが多いです。
3.公認会計士は独立できる?
公認会計士は、監査法人に勤務するイメージを持っているかもしれません。
それは正解で、圧倒的に監査法人で勤務している公認会計士が多いです。
もちろん監査法人の待遇は激務であるものの、独占業務を有した職業なので、年収面などは一般の中小企業と比較するとかなり優遇されています。
ただし、それはあくまでもサラリーマンとしての範囲です。
独立して成功する方が何倍もの収入を得ることができます。
では、公認会計士の資格でキャリアアップして独立する方法はあるのでしょうか?
答えはYESです。
ただし、公認会計士の独立は一般的には「監査」をメインとしてものではありません。
業務は主に「税務」となります。
取引先は中小企業が中心です。
なぜそうなるか、2つの理由があります。
- 監査業務は一人で行うことは困難
前述の通り、監査業務は上場企業等の財務諸表が正しく適正に作成された書類であることを証明しなくてはいけません。
莫大な資料を参照しながら、サンプルチェックなど様々な手法で財務諸表の信頼性を担保します。
そのため、業務量は1~2人で行える量ではありません。
独立し監査業務を行うことは困難といえます。
フリーランスとして監査法人と業務委託をする場合は別です。
- 中小企業の求めるスキルは税務
日本国内の法人の中で、圧倒的に中小企業が大多数を占めており、大企業は0.3%、中小企業は99.7%の割合になっています。
これが日本高度経済成長を支えた日本の産業構造です。
中小企業の多くは、監査よりも税理士による税務業務を求めています。
また、公認会計士は税理士登録することができます。
なお、税理士が公認会計士登録を行うことはできません。
以上の理由から、公認会計士は税理士登録を行い、ニーズのある税務業務メインで独立する方が多いです。
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公認会計士と税理士の違い:税理士の仕事内容から主な取引先、独立の可能性
1.税理士の基本は税務業務
税理士が行う業務の基本は名前の通り、税務業務がメインとなります。
税務業務は税理士法に定められた独占業務です。
公認会計士と同じく、独占業務を持つ国家資格になります。
具体的な業務内容は、税理士法人や会計事務所で行う、法人税や個人の所得税計算がメインです。
それに付随して仕訳の記帳業務や年末調整の申請、税務調査の立ち合いなど多岐に渡ります。
また、近年では税金計算だけでなく、顧問として企業のコンサルティングも行う事務所も増えつつあります。
ビジネスのサポートをするなど、業務の幅は非常に広いです。
2.取引先は個人事業者と中小企業が中心
前述の通り、税理士は税務代行が求められているので、税理士の取引先は中小企業や個人事業主が主となります。
具体的な業務内容は、日本国民はみな等しく納税の義務があります。
それは企業である法人も同じです。
納税の仕組みは、公平に税負担をするためにありますが、様々な優遇措置などで計算が複雑化しています。
適宜節税などを行いながら、申告を的確に行う必要があります。
よって税理士による専門家への税務代理依頼が必要となり、需要が高いのです。
3.独立した場合の将来性
税理士の独立は、公認会計士よりもハードルが比較的低くなっています。
なぜかというと、公認会計士は税理士登録が可能になりますが、公認会計士での試験範囲と税理士の試験範囲では税に対する深さが違うからです。
税理士の方がより税に対して深い知識があるので、税務が中心の独立という視点では税理士が有利な傾向だといえます。
働き方やキャリアアップの選択肢に独立を視野に入れている人も多いです。
ただし、公認会計士の方でも経験を積んで税金に深い知識がある方もいます。
飽くまで一般的なタイプとして参考にしてください。
公認会計士と税理士の資格取得までの道のりと資格取得後の年収
1.受験資格はあるの?
次に、公認会計士と税理士になるための資格試験の違いを解説しています。
公認会計士の受験資格は特にありません。
国籍・年齢・性別などの条件や制限もありません。
よってどんな人でも試験を受けることができます。
ただし、あくまで受験資格がないだけで資格のハードルは非常に高いです。
税理士試験は、会計科目については受験資格が撤廃されました。
細かい決まりがあるものの、大学・短大等の卒業者、簿記1級資格保持者などです。
また企業等の経理実務に2年以上従事している人も対象になります。
なお、実務2年以上の場合は、勤務先に証明書を発行してもらう必要があります。
2.公認会計士は短距離走で、税理士はフルマラソン
公認会計士と税理士の勉強について、違いを解説します。
一言でいうと公認会計士は短距離走で、税理士はフルマラソンです。
なぜそんな例えになるか具体的に説明します。
公認会計士の試験は、短答式試験4科目、論文式試験5科目と範囲が広いですが、基本的にはそれを一度の試験で短答式、論文式それぞれ受験します。
短答式に合格すれば、2年間は受験を免除することができます。
逆に言えば、2年経てばまた短答式からやり直しです。
一方、税理士は5科目合格すると税理士登録ができるようになります。
税理士試験の大きな特徴は、一度取得した科目は年数に関係なく繰越ができることでしょう。
10年計画で5科目という目標の受験生もいます。
例えば1年1科目、1年に3科目など自分のペースで受験科目を選択できることがポイントです。
試験合格後は、どちらの資格も実務経験を積んだ上で資格を名乗れるようになります。
3.資格取得後の年収
最後に、公認会計士と税理士の年収について見ていきます。
企業に務める公認会計士と税理士の平均年収は800万円~1,000万円程度になります。
これは一般企業(大企業を中心)に勤務する資格者の平均です。
監査法人であれば800~1,500万円の年収にもあり得ます。
その他コンサルティングファーム、会社の規模など、環境によって多少変動します。
未経験で働く場合も、比較的高い年収を得やすいです。
ただし、これは企業内で働く年収です。
独立していれば、開業税理士は700~1,000万円、さらにやり手の税理士であれば数千万円の年収ということもあります。
キャリアプランに夢がある世界と言えるでしょう。
まとめ
公認会計士と税理士の違いを解説してきました。
それぞれの業務範囲が全く違います。
専門分野も違いますので、一概にどちらがいいとは言い切れません。
これから資格取得を目指す方は、それぞれの試験制度を理解することが大切です。
自分が、短距離走向きなのか、フルマラソン形式でじっくり進めていくのか、慎重に判断するようにしましょう。
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