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公認会計士と税理士:共通点や違い

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公認会計士と税理士

会計士とは公認会計士のことを指します。中小企業のオーナーなどは、公認会計士と税理士を区別せず、経理の専門家として「会計士」と呼んでいる場合があります。

厳密には、会計士と税理士は所属する団体及び身分を保証する法令が異なる他に、それぞれの職責において使命としていることも異なります。

会計士の使命は、自国企業の財務情報の正しさを保証することにあります。
そして世界中の投資家に開放されている株式市場の信頼性を保ち、その正しさを保証しています。
そのため、世界約120ヶ国(約160団体)で、およそ250万人の公認会計士が、自国の企業等が公開する財務情報を監査しています。

税理士の使命は、 税理士法において、「その職務を行うに当たり、独立した公正な立場を堅持して、納税義務者の信頼に応え、租税に関する法令に規定された納税義務を適正に実現するように努めること」と定めています(国税庁より)。

1.公認会計士と税理士の業務は?

中小企業の会計処理、日系企業の大企業であっても、経理部門で働く会計士と税理士に職務上の大きな違いはありません。

上場企業になると、財務諸表の作成ルールは金融商品取引法などに準拠していることが必要になることや、会計監査を受けなければならないなど、公認会計士の経験が生かされる業務があることから、 経理部門の責任者として公認会計士の評価が高くなる傾向にあります。

なお、会計士は税理士登録をすることが可能であり、その場合の業務は税理士と同じになります。独立開業している会計士の多くは、「公認会計士・税理士」として主に中小企業の税務対応をこなしています。

2.公認会計士と税理士の専門領域は?

会計士と税理士は、 それぞれ公認会計士法および税理士法によって定められた業務を行うことができます。

公認会計士の専門領域

会計士は、企業から学校法人、公益法人など幅広い対象について、独立した立場から監査意見を表明し、財務情報の信頼性を担保します。

監査業務には、法定監査と法定監査以外の監査があります(日本公認会計士協会より)。

(1)金融商品取引法に基づく監査

株式上場企業など、特定の有価証券発行者等が提出する有価証券報告書等に含まれる財務計算に関する書類は公認会計士又は監査法人の監査証明を受けなければならないとされています。

(2)会社法に基づく監査

大会社及び委員会設置会社は、会計監査人を置くことが義務付けられています(会社法第327条、同第328条)。

また、すべての株式会社は任意で、会計監査人を置く旨を定款に定めることで、会計監査人を置くことができます。会計監査人の資格は、公認会計士又は監査法人のみです。

(3)関連法令に基づく法定監査

保険相互会社、特定目的会社、投資法人、投資事業有限責任組合、信用金庫、信用組合、労働金庫、医療法人、独立行政法人など法で定められた特別な事業が適切な経営をしているかどうかの監査業務も含まれます。

税理士の専門領域

税理士は、税理士法第2条において「他人の求めに応じ、租税に関して、次に掲げる事務を行うことを業とする」旨が規定されています。

近年は会計ソフトと確定申告書作成ソフトが連携して、誰でも申告書を作成することができるようになりましたが、税理士の資格を持たないで申告書を代わりに作成することは、税理士法違反になります。

(1)税務代理(法第2条第1項第1号)

税務署等に対する申告等につき、またはその申告等もしくは税務署等の調査もしくは処分に関し、税務署等に対してする主張もしくは陳述につき、代理し、または代行することです。

クライアントの求めに応じてクライアントに代わって税務署等と折衝や交渉をすることができる権限です。

(2)税務書類の作成(法第2条第1項第2号)

税務署等に対する申告等に係る申告書等を作成することをいいます。

クライアントに代わって法人税申告書や所得税申告書を作成できる権限です。

(3)税務相談(法第2条第1項3号)

税務署等に対する申告等、法第2条第1項第1号に規定する主張もしくは陳述または申告書等の作成に関し、租税の課税標準等に関する事項について相談に応ずることをいいます。

クライアントからの税務相談を引き受けることができる権限です。

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3.公認会計士と税理士はどちらがいいか

会計士も税理士もどちらも原則として試験に合格し、実務経験を経て初めてライセンスを受けることができます。そのため、比較する上で最初に考えられることはどちらの資格が取りやすいのかということになるでしょう。



また現在の職場が上場企業なのか、 それとも中小企業なのか、あるいは資格を取得して転職したいのかなど将来のキャリアプランによっても見方が変わります。

キャリアプランを中心に考える場合

企業に勤める場合、上場企業やIPOを目指す企業では、 監査対応や財務諸表の準備などの経験を生かすことができる会計士が選択肢になるでしょう。

中堅規模や中小規模の企業では、 日本の会計基準に基づいて財務諸表を作成することが多く、通常は法定監査を受ける必要もないため税理士が選択肢に入るでしょう。



独立して自分自身の会計事務所を開く場合、 主な収入源はクライアントに対する会計サービス(主に記帳代行)、税務申告サービスになるため、税理士が選択肢に入りますが、公認会計士も税理士登録することで税理士と同じ業務をできます。

年収から検討する場合

一般企業ではマネジャーや経営層に参画するかどうか、大企業かどうか、年収水準が高い業種(金融)かどうか、などで年収が変わってきます。

昇進昇格の可能性は公認会計士の方が税理士よりも高いケースが見られますが、基本的には本人の能力と努力によるところが大きいです。



会計士が監査法人に勤めている場合、シニアマネジャーなど高い職位になれば年収1千万以上の待遇となっています。

税理士法人でも高い職位になることで同様の年収を期待することができます。

単純比較は難しいものの、監査法人の方が年収水準が高いといえるでしょう。

試験の難しさから検討する場合

試験の合格率でみると公認会計士は10.7%、税理士は15.3%のため、公認会計士試験の方が厳しい(難しい)といえます。

なお両者の試験制度は異なっており、公認会計士の試験は複数の科目を幅広く理解して、全ての科目が足きりラインを超えていることが特徴的であるのに対して、税理士の試験は1つの科目を深く掘り下げて、計算問題と論述がともに足きりラインを超えている点が特徴的です。



また、受験可能期間も異なります。

公認会計士試験は2段階制になっており、まず短答式で合格後、2年以内に論文式に合格する必要があります。2年を超えると短答式の合格実績が消失するためです。

一方税理士試験は科目合格制のため、一度合格した科目には有効期限がありません。

いつかは試験に合格することができるといわれています。




また公認会計士は試験に合格後、基本的に監査法人に勤めて経験を積む必要があります。

監査法人の求人対象は20代から30代前半までが中心となっているのに対して、税理士の求人は40代、50代でも見つけることができます。

公認会計士試験の合格率

公認会計士試験の合格率は、 令和元年の公認会計士試験結果にて10.7%でした。合格者の平均年齢は 25.2 歳と若く、「学生」及び「専修学校・各種学校受講生」が68.9%を占めました。

税理士試験の合格率

税理士の合格率は、 令和元年の税理士試験結果にて15.3%でした。合格者数は41才以上が最も多い24.1%、31才以上で58.7%を占めています。科目合格制となっており、働きながらでも合格を目指すことができること、税務署などで長く勤めることで税理士となれることなどが想定されます。

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4.まとめ

会計士の職責は投資家などのステークスホルダーに対して、クライアントの財務諸表が適切に表示されていることを保証することで、株式市場や公的機関の信頼性を担保しています。



税理士の職責は適切な納税申告にあるため、クライアントに向かって仕事をしています。



このようにそれぞれの資格はそれぞれの使命を負っていますので、年収面だけで判断せず、その使命に共感できるかどうか、どちらの方が働きがいがあるのかの視点から考えてみるのも大切な判断要素になるでしょう。

Profile レックスアドバイザーズ

公認会計士・税理士等の有資格者をはじめとする会計人材専門特化した人材紹介会社。
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