税理士業界トピックス

税金・会計に関するニュースを分かりやすく解説します

2015.12.15

セーラー万年筆でお家騒動 旧大蔵官僚社長が解任

TVドラマのようなお家騒動ニュースが、紙面を賑わしています。

今回の主役は、あのセーラー万年筆。最近は、大塚家具、ロッテホールディングスなどのお家騒動がマスコミによって報道されましたが、セーラー万年筆の場合、同族間の争いではありません。実質は、前社長の中島義雄取締役(73)対して、新社長の比佐泰氏(63)をはじめとした3名の取締役が反旗を翻した社長交代劇です。セーラー万年筆の取締役は全員で6名。この取締役会は4名で開催されました。

社長交代といっても、社長本人及び社外取締役(1名)が不在の取締役会。中島氏は、「定款上、取締役会の招集は社長の権限」と取締役会自体の無効を主張しています。欠席裁判のようなかたちで行われた解任ですから、中島氏としては、解職決議は到底認めたくないでしょう。取締役会では、どのような意見が交わされたか分かりませんが、比佐社長は「4名全員が社長解任を支持した」と言います。説明通りなら、中島氏は社内の取締役からかなり疎まれていたと想像されますが、一方で社長不在ではないと解任できないということから察して、力はかなり持っていたと思われます。

そんな中島氏とはどんな人物なのかー。このコラムで取り上げるからには税金に関係します。実は、旧大蔵省(現財務省)出身の超エリートなんです。中でも「花の41年組」【中山恭子(国会議員)、武藤敏郎(財務省事務次官)、阪田雅裕(内閣法制局長官)、長野厖士(証券局長)、西方俊平(造幣局長、JT副社長)、岡田康彦(環境事務次官)】と言われた同期中でも、有力な事務次官候補として嘱望されていた人物でした。学生時代は、江田五月(国会議員、民主党顧問)氏らと学生運動の先頭に立ち、全学スト決行するなど、かなりのリーダーシップがあったようです。入省後は、予算畑を中心に順調にキャリアを重ね主計局主査、官房秘書課企画官、主計企画官、主計官などを経て、1989年に主計局総務課長に就任。課長というと、一般企業に勤めていると、そんなに高いポジションに感じないかもしれませんが、役所では執行役員クラスもしくは統括部長でしょう。その後、海部内閣・宮沢内閣内閣総理大臣秘書官を歴任、1993年に同期の武藤敏郎氏(東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会事務総長、初代財務事務次官)と並んで主計局次長に就任しました。しかし、過剰接待問題で1995年に退官。京セラミタ(現京セラドキュメントソリューションズ)専務や船井電機副社長など務めた後、2009年12月からセーラー万年筆社長を務めていました。

まっ、すごい経歴なわけですから、4名の取締役が中島氏に逆らうのはかなり大変だったことが想像されます。東大出身のエリートといっても、大蔵官僚(元財務官僚)は精神的に強くないと上のポジションをつかめません。とくに昔の大蔵官僚は、豪傑が多かったといいます。セーラー万年筆のお家騒動、中島氏としては、自身のプライドをかけて徹底的に争うことが予想されます。舞台は法定に移しそうです。

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Profile 宮口 貴志

税金の専門紙「納税通信」、税理士業界紙「税理士新聞」の元編集長。フリーライター及び会計事務所業界ウオッチャーとして活動。株式会社レックスアドバイザーズ ディレクター。

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