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経理の転職事情 給料は?待遇は?将来性は?

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経理職のデスク

経理の転職

厚生労働省の雇用動向調査の表7によれば、2019年上期に転職した人で前職に比べ賃金が増加人の割合は35.3%で、反対に35.8%は給料が下がりました。
そのうち10%以上増加した人は23.7%で減少した人は27.4%でした。

実際の転職紹介サイトの募集内容を見ると、似たような業務内容であっても業界や企業規模によって給料や福利厚生に差があります。
経理はどの企業にもある組織ですので、十分な経験と公認会計士や税理士等の関連資格を持っていれば比較的転職しやすい職種のひとつです。
ただし裏を返せば転職希望者数は少なくないため潜在的な競争は激しく、給料を上げたい、待遇をよくしたいと全てが叶う企業を探すことは簡単ではありません。

どのようにすれば給料や待遇等をより満足できる転職が実現できるかを考えてみましょう。

参考 厚生労働省 2019年上半期雇用動向調査結果の概況 表7

経理の転職で給与はどうなる?

経理の転職:給料が下がる人と上がる人の違いとは?

年齢・業界・企業規模で給料に差があるため一概には言えませんが、現職で何をしていてその経験を次の会社でどのように活かすことができるかどうか、が大事なポイントです。
同じ業務内容でより高い給与を目指して転職を希望する場合は、給与水準が一般的に高い業種、あるいは現職より大きな企業を選択することが現実的です。

また、これからの経理は従来のように試算表を短時間で作成する、申告書を期日までに準備するような当然の業務をこなす能力だけでは評価されにくく、チームとの協調性、皆をまとめていけるマネジメント能力が特に求められます。

経理の転職:会社によって異なる期待される成果

あなたがこれまでに培ってきた経験は固有のものです。
それは強みであり弱みでもあるでしょう。
著名な経営学者ピーター・F・ドラッカーはその著書で「人が何かを成し遂げるのは、強みによってのみである(出典: マネジメント)」と説明しているとおり、あなたの「強み」を発揮できる会社を探しましょう。

定型業務をミスなくしっかりとこなすことができる方が、新しい仕組みを考え実践に移すことは得意ではないかもしれません。
マネジャークラスの方がベンチャー企業で仕訳処理や書類整理のような基本業務を処理することは、成果を出せているとは言い難いでしょう。

自分のもっている経験やスキルが、募集されているポジションに合致しているかどうかは、入社後の昇進昇級にも関わるポイントですので、しっかりとチェックしましょう。

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経理のキャリアプランとは?

経理のキャリアプラン:「資格」と「経験」

経理のポジションで広く認知され、取得者が多いのが日商簿記検定です。
3級はエントリークラスの基本的な知識の確認となりますので、実際には2級と1級がメインとなります。

しかし、あくまでもこれは知識を裏付けるものであり、日商簿記の2級や1級を持っていても、決算を組めることは証明できません。
転職の際に重要なのは経験となるため、資格は重要ではありますが、決定打にはならないのが現実的なところです。

資格がなくても経理で長い間培ってきた経験は「即戦力」として重宝されます。
マネジメント経験の他、M&Aや上場準備、移転価格税制やタックスプランニング等の高度な専門領域は非常に魅力的だと高く評価されます。

もちろん資格は無駄ではなく、経験のうえでさらに知識も豊富であるというアピールになります。
また、企業のマネジャークラスには有資格者が多いので、上昇志向がある方は積極的に資格を取得しましょう。

公認会計士や税理士など、独占業務のある資格はまた異なります。
公認会計士や税理士は他の資格と比較しても、その合格難易度から上位資格として位置づけられています。

「会計のプロフェッショナル」として誰からでも認知され、大企業では複雑な会計制度に対応するため公認会計士が重宝され、中小企業では税務面で身近な存在である税理士が重用される傾向にあります。
これら資格を持つ方は、周囲から経理関連業務は全てできるだろうと見られています。

具体的に何が得意でどのようなことができるのかは経験次第ですが、期待に応えられるよう積極的に担当業務を広げ、特にマネジメントのキャリア開発を意識しましょう。

経理のキャリアプラン:広く浅く?深く掘り下げる?

初期のキャリア形成段階では広く浅く経験するべきです。
全体を見通すことができるようになり、経理機能があらゆる組織に関わっていることを実感できます。
まずは作業的な手順をマスターし、業務範囲を広げていくと良いでしょう。

深く掘り下げて経験を積むことはその分野を「極める」ことになるので、キャリア形成の初期後半から中期にかけて有用です。
「極める」努力に対して組織からの信頼は厚くなりますし、同じような専門業務を持つ他社からも魅力的な人材に見られるでしょう。
キャリアの中期以降は、経営層に対するレポーティング業務、リスク管理、内部統制対応など高次元の経験を積んで、マネジメント層の期待に応えている姿を見せることが大事です。

公認会計士の場合、監査法人にて上場企業の監査業務を通じて様々な企業の経理の仕組みを理解できています。
会計事務所に勤める税理士の場合には、複数のクライアントで税務申告と相談、会計支援を通じて中小企業の経理水準の維持向上を経験しています。

この強みを基礎として、深く掘り下げながら全体をまとめるマネジメント力を磨くと良いでしょう。

経理のキャリアプラン:外資系企業と日系企業とではどちらがいい?

外資系企業に転職時には最低限の英語力(目安としてTOEICで800点以上、メールやりとり経験等)が求められ、給与は一般的に外資系の方が日系企業よりも高い傾向にあります。
相当の英語力(帰国子女、海外赴任が長い等)がある場合には、数年間で上位役職(アジア太平洋の統括、ゼネラルマネジャー等)に抜擢される可能性があります。

ただし昇給昇格は時の運といっても過言ではありません。
本社から担当者が急遽来日しCFO等重要なポストに就くことでキャリアプランが頓挫する場合があります。

一方、日系企業では成果主義を取り入れている企業も増えつつありますが、やはり年功序列が色濃く残っており、短期間での昇給昇格は期待できません。
ベンチャー企業であれば初期段階から経営層の一員として働くことが可能で、企業の成長に伴い早い昇給スピードやストックオプション等による上場時の多額な含み益を得られる場合があります。

外資系企業での業務はレポーティング先が海外本社であっても、会社法や税務申告用の処理が要求されますので、実務の多くは外資系・日系どちらの企業であっても大きな差はありません。
会計基準の差異(J-GAAPとUS-GAAPあるいはIFRS)はありますが、会計ソフトも進化していてそれほどハードルは高くありませんし、準備としてUSCPAやBATICの資格にチャレンジしておくのも良いでしょう。

公認会計士は企業会計の専門家として外資系でも有力な資格ですが、税理士は日本における税務の専門家と位置づけられるため、大企業外資系への転職活動では有利な資格として期待できません。
なお、日系企業では税理士も有力な資格とされます。

経理のキャリアプラン:大企業と中小企業とではどちらがいい?

大企業(社員数が300名を超える企業。中小企業基本法の分類を参考)では、経理業務は複数組織で構成されており、さまざまな業務をローテーションしながら、この組織をまとめる立場にキャリアアップしていくことになります。
大企業ならではの大きな取引に関わる、専門的な業務を学ぶ、ジョブローテーションを通じて多様な部門との交流をしたい場合は大企業がお勧めです。
中長期的には経理部門の責任者、財務執行役員やCFOを目指すことができます。

また、キャリアの途中で転職を選択するのであれば、一般的な企業より給与水準が高い大手コンサルティングファームに転職して経験を積み、専門性の高い経験と人脈と得て、事業会社の要職へ戻るキャリアプランも検討されるでしょう。

一方、中小企業では経理業務に携わる人の数が少なく、多くの場合は経理業務以外の業務、例えば財務や税務、経理に関わる法務案件等を兼務する場合があります。
経理業務の前工程あるいは後工程を経験することができるため、企業全体のお金の流れや経理の仕組みを網羅的に理解することができます。
役職も部長やCFOに準じる上位待遇を短期間で期待される場合が多く、30代で管理職や要職につくことも可能です。

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経理にとっての転職とは?

システム化の波が押し寄せ、将来への不安と期待が入り混じる職種「経理」

近年ではクラウドサービス型の会計システム普及により、経理の知識がない方でもある程度の作業ができるようになりました。
手間がかかっていた請求書の発行、入金消し込み等は自動化され、より付加価値の高い業務に集中できるようになります。
経理業務の多くを標準化・システム化することは内部統制の観点からも有用ですし、業務の合理化・効率化による人件費コストの抑制ができれば経営層からも評価されます。

裏を返せば人手を介した業務をできる限り削減することで経理部門の人数を減らすになり、企業によっては社内における経理部門の相対的な立場が弱まる可能性があります。

経理のポジションで働いている方にとっては、システムの発展や業務の効率化は歓迎だと感じつつ、自分が今やっている仕事はどうなるのだろうかという不安もあるかもしれません。

何を求めて転職をするのかを考えよう

安定した給与の増加を求めるのであれば、年収レンジが現在800万円前後ならば将来の幹部候補を期待して、ベンチャー企業や中小企業での経営層・大企業での組織管理者(マネジャー)を狙うと良いでしょう。
そのポジションから、昇格や昇給を目指していくのがおすすめです。

現年収が1500万円を超えるとヘッドハンティングが多くなり、中堅企業のCFO、経理や財務の責任者、海外展開企業における地域統括責任者(APAC責任者)など、裁量と責任がより大きくなります。
2000万円を超える場合はC-level(CFO等)の経営層を前提とした転職機会が多くなります。

年収やポジションの上昇を求めるのであれば、現在の状況と将来のジャンプアップを比較して、どこに転職をするのかを選択します。
一方、働き方や福利厚生などの待遇改善を求めるのであれば、大企業で働くことを検討しましょう。

昨今の「働き方改革」を厳密に遵守していますので有給消化率は高く、残業も決められた範囲になり、健康保険組合が加入しているサービス(ジムやレストラン、ホテル宿泊の利用金額の割引)の利用等を期待することができます。
(もちろん企業によって差異はありますので、事前によくチェックしてください)

自分は安定志向か上昇志向かを考えよう

ここでの「安定志向」とは主に既存の業務を維持改善することを目的とし、「上昇思考」とは、経営層の1人を目指して業務範囲を積極的に拡大していくこと、とします。
経理業務は基本的に受動的ですが、経営改善や意思決定に携わる時は能動的でもありますので自分自身の性格と照らし、受動的な業務を好むのであれば「安定志向」型を、能動的な業務を目指すのであれば「上昇志向」型と判断ができるでしょう。

この部分でご自身の選択を間違えると、自分に合わないポジションで苦労しなければならないですし、モチベーションも上がりません。
転職の際、よく「自己分析が大事」と言われますが、これは選考の際のアピールのためだけでなく、どのような転職をするかの選択にも重要なのです。

経理という職種を応援してくれる会社・職場を探そう

経理のようなバックオフィス部門の人事評価は、その業務の性質上、ミスがあった時の減点方式が多いです。
そのため、所属する組織のマネジャー、さらに上層部(経営陣)が経理業務に興味がなかったり、会社組織として経理の立ち位置が弱かったりする場合には、加点の評価を得られず、よほどのことがなければ昇進昇格の機会に恵まれることはないでしょう。

転職先の企業が経理を応援してくれているかどうかは、経営層の性格や組織人数だけでは分からないので、内部統制をしっかりと意識しているのか、コンプライアンスを遵守しているのか、経営陣に経理財務の出身者がいるのか等を確認するとよいでしょう。

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まとめ

採用する企業側は「即戦力」を求めています。
今は売り手市場と言われていますが、それは企業の採用条件と合致しているかどうかが前提となります。
採用条件と合致していなければ、いくら売り手市場であっても内定の獲得は難しいですし、転職したとしてもなかなか活躍できないことになってしまいます。

まずは経験と知識(資格)をしっかりと自分で身に着けておきましょう。
それを前提として、キャリアプランをどうするか、どのような転職をするかを考えていくと良いでしょう。
希望の整理や自己分析を客観的に行うのは難しいので、転職エージェントなどを利用するのもひとつの手段です。

Profile レックスアドバイザーズ

公認会計士・税理士等の有資格者をはじめとする会計人材専門特化した人材紹介会社。
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