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公認会計士の独占業務:監査とは

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公認会計士の独占業務に監査があります。

公認会計士試験の合格率は10%ほど、難関資格として有名です。

弁護士・医師・そして公認会計士は3大国家資格として高い知名度が持ち、安定した職業として人気があります。

 

しかし、実際に公認会計士がどのような仕事をしているのかを知らないという人も多いでしょう。

公認会計士の多くが大企業や上場企業を中心に活躍しているからです。

 

一方、経理と税務の専門家である税理士は、税務面においてあらゆる企業に関わります。

特に中小企業において多くの企業が顧問税理士を採用していることから、その認知度は高く、誰もが知っている資格といえるでしょう。

 

公認会計士の試験合格者は、そのほとんどが監査法人に就職して監査の実務を学びます。

今回はこの「監査」という業務仕事について解説します。

公認会計士の独占業務・監査とは

「監査」とは簡単に言えば、ある目的(多くは会計目的)に対して、その行為または結果が関連する法律やルール等に照らして準拠しているか、あるいは問題が無い水準かどうかを確認して、対外的に意見表明することです。

世間一般では「監査」にはさまざまな種類があり、医療や環境における品質監査、企業内部で自主的に実施する内部監査・業務監査等、目的もそれぞれです。

 

公認会計士が実施する「監査」とは法定監査であり、対象は一般的に財務諸表ですので「会計監査」と呼ばれています。

公認会計士はクライアントである企業から独立してこの法定監査を実施します。

 

これにより企業の財務諸表が適正であるかどうかを検証し、監査手続きの範囲内において重大な問題が見当たらなければ、財務諸表の表示は適切であると意見表明をします(これを「適正意見」と呼びます)。

 

監査手続きの概要とはどういったものかを見てみましょう。

公認会計士の監査手続き概要

法令に基づく監査対象企業から依頼を受けて、公認会計士は監査を実施することになります。

その監査手続きの前に予備対応として以下の手続きを実施します。

 

この手続きによって公認会計士が監査を引き受けるかどうかを判断します。

1.監査契約前の予備調査

会社法上の大企業や、上場企業、あるいは場準備企業では、法令の要請あるいは証券取引所の要請により、監査法人と監査契約を締結し、適正な監査意見を取得しなければなりません。

監査法人は、クライアント企業から監査契約の相談を受けてからまず、予備調査を実施します。

これは監査契約を締結することができるかどうかを判断するための手続きです。

一般的な予備調査として、クライアントのビジネスモデルの理解、株主構成の把握、組織体制、財務諸表、経営者とのディスカッション等を通じて総合的に判断します。

 

この予備調査はクライアントが上場企業であるかどうかにより手続きの範囲が変化します。

上場企業からの依頼であれば、前任の監査法人に対してヒアリングをすることで監査状況を把握することができます。


一方、上場準備企業等では、これまでに公認会計士の監査を受けていないことが多く(特に会社法上の大会社に該当しないベンチャー企業等)、この予備調査の手続きをしっかりと実施しなければなりません。

 

監査法人としては新規クライアントの獲得の機会に前向きになりたいところですが、予備調査の結果、監査意見を表明することができないと判明した場合には、監査を引き受けることができないとして辞退することもあります。

2.監査契約の締結

予備調査を無事終えられれば、クライアントと監査契約を締結です。

監査契約書には監査法人の義務及びクライアントの義務等が明記されています。

 

監査の手続きの結果、監査法人が意見を表明できないということになったとしても、クライアントがそれを不服とすることはできない(例えば、監査報酬の返還を求めることはできない)契約になっていることが一般的です。

3.監査の実施

監査契約の締結後、アサインされた監査チームの監査責任者あるいは主査が、監査計画を立案します。

監査計画は非常に重要なもので、監査メンバーの構成、往査対象の範囲と時期、重要な検討項目、監査リスクの想定等が含まれています。

一般的には、監査計画は1年間で作成されます。

上場企業では四半期レビュー業務、半期報告書および有価証券報告書のチェック、年度決算の監査実施が含まれます。

特に監査契約を締結した最初の年度の監査は慎重に実施されます。

監査の手続きは、財務諸表の監査にあたり、どの科目を重点に検討すべきか、ビジネスモデル情報が取引にリスクがあるかを念頭に置きます。

その上で契約書類を確認したり、該当取引の請求書や領収書をチェックしたり、これらの重要な取引の決裁権限を確認するといった手順です。

 

一通り監査手続きが終えると、その内容及び監査結果を経営者および監査役とディスカッションします。

公認会計士の会計監査手続きの詳細

  1. 財務諸表(主に賃借対照表と損益計算書)の確認
    賃借対照表および損益計算書に計上されている科目と金額が、総勘定元帳の残高と一致しているかどうか、科目の表示は適切かどうか(例えば売上原価に含めるべき費用が販売管理費に含まれていないか等)を調査します。

  2. 残高確認上による実在性の確認
    金融機関に対して、預金や借入金の残高を確認します。
    現金は実際に測定してその在高を確認します。その後、確認上の記載額と財務諸表の対応科目の残高が一致しているかどうかを照合します。

  3. 債権債務の残高確認
    主に売掛金と買掛金について、主要な取引先に対して残高確認状発送し、返送を受けた資料の記載金額と、財務諸表の対応科目の残高が一致していることを確認します。

    また、売掛金に関しては回転期間などを確認し、回収が滞っている売掛金がないか、滞留している売掛金があれば、その回収の目処から貸倒引当金が適切に計上されているかどうかを確認します。

  4. 経理処理の環境状態と帳簿組織およびシステムの確認
    経理環境を知ることで、会計処理がどのように実施されているのか、承認プロセスはどのようになっているのかを確認できます。
    主要な取引について、経理担当者に対して会計処理に関する知識の程度を確認し、会計システムの帳簿データの構造、関連システムとの連携状況を把握し、取引が正確に記帳され、かつ財務諸表に適切な反映ができているかを確認します。

  5. 伝票の統制状況の確認
    請求書等の取引にもとづいて正確に伝票が起票されているか、それが適切な職務権限に従って手続きがなされているかを確認します。

  6. 勘定科目の残高確認、引当金等の設定状況の確認
    事実に基づく取引残高以外の残高が、勘定科目に含まれていないか、不明な取引によるものはないか等を確認します。
    貸倒引当金、賞与引当金、退職給付引当金の他、固定資産にかかる減損の可能性などを確認し、必要とされる手続きが実施されているかどうかを確認します。

  7. 固定資産の計上および除却状況の確認
    固定資産は正確に計上され、それらが検収の後に減価償却が実施されているかどうか、販売管理費に含まれている消耗品等に固定資産とすべき取引がないか(固定資産の計上もれ)を確認します。
    固定資産の売却または除却があった場合はその会計処理が正確かどうかを調査します。
    あわせて固定資産台帳の記録も検証します。

  8. 在庫の実地棚卸しの立ち合い
    実地棚卸しの際に公認会計士が立会って、実地棚卸しが正確に行われ、差異が正しく処理されているかどうかを確認します。
    あわせて未稼働在庫や価値が大幅に下落している在庫の有無を確認します。

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公認会計士による監査の責任と社会的意義

監査の目的は、財務諸表が法令に基づいた会計基準に従い、適正に作成されているかどうかについて監査意見を表明することです。

監査を受けた財務諸表を株主、債権者が確認し、企業の健全性や将来性を予測して、当該企業に投資を継続するのか、融資をしても回収可能性に問題はないかを検討する重要な資料となります。

もしこの財務諸表に虚偽が含まれていた場合には、投資家や債権者の判断を誤らせることになり、損害を与える可能性があります。

 

仮に監査によって財務諸表に適性な意見が表明できないとして、「意見差し控え(意見の不表明)」や「不適正意見」になると、証券取引所の上場維持基準に抵触し、上場廃止になる可能性が高まります。

このように、公認会計士の監査は企業の財務諸表の信頼性を監査意見により証明保証するため、非常に社会的責任がある業務です。

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まとめ

監査業務は社会的に重要で、資本市場を支える根幹となる業務です。

新しいビジネス、社会に変革を与えることを目的とした事業等が注目を浴びて、多くの投資家の信頼を集めることにより、上場への道が開かれやすくなってきました。

上場準備企業が増加傾向にあるため、これら企業の監査依頼も増えています。

 

公認会計士の監査業務量の増加で忙しくなることになるかもしれません。

しかし公認会計士・監査法人の適切な監査がなければ上場することができませんので、監査の質を高く維持しながら、効率的に監査業務を実施していくことが必須となっています。

Profile レックスアドバイザーズ

公認会計士・税理士等の有資格者をはじめとする会計人材専門特化した人材紹介会社。
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