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公認会計士の試験とは?内容や科目について解説
公認会計士試験を受けることが必要な、会計のスペシャリストです。
企業の財務情報が適正であることを保証する監査業務を行います。
これは公認会計士の独占業務であり、実力主義の世界です。
難関と言われる公認会計士試験。
実際の試験内容や科目についてご紹介します。
1.公認会計士の試験内容を解説
まずは公認会計士の試験は、金融庁が所管する公認会計士・監査審査会により実施されています。
2022年度ではおよそ1,450人が試験に合格しました。
経験のある社会人を含め多様な人材が受験できるよう、2006年から公認会計士の試験制度は大幅に簡素化されています。
また、公認会計士試験には一定の受験資格がなく、誰でも受験することが可能です。
公認会計士の試験はまず前半に短答式試験と論文式試験で構成され期限内に合格しなければなりません。
後半では実務経験と研修を受けた後、修了検定に合格することで晴れて公認会計士として認められることになっています。
前半の試験は科目制で、短答式試験では財務会計論、管理会計論、会社法、監査論の4つすべてに合格する必要があります。
論文式試験では科目選択制です。
必須科目を4つ、選択科目を1つの合計5科目すべてに合格しなければなりません。
この短答式試験と論文式試験に合格することで、「公認会計士試験」の合格者となります。
なお短答式と論文式に共通する科目があるため、実質的に勉強をする科目は
- 財務会計論
- 管理会計論(論文式では「会計学」)
- 監査論
- 企業法
- 租税法
- 選択科目1科目
合計6科目です。
短答式試験
試験の目的は公認会計士として業務を遂行するにあたり、基本的な専門知識を理解しているかどうかを確認する試験です。
試験はマークシート方式による択一式です。
受験科目は財務会計論、管理会計論、監査論、企業法の4科目。
試験ではこれらを一度に受験します。
短答式試験の合格のためには、総点数の70%が基準点とされています。ただし1科目でも40%に満たない場合は不合格になることがあります。
短答式試験は年に2回実施されていますので、不合格時でも同じ年に次の受験に向けて弱点を補強してから再挑戦できます。
12月に第1回試験が、5月に第Ⅱ回試験が行われており、第1回試験の方が第2回よりも合格率が高い傾向にあります。
- 財務会計論
計算の「簿記」と理論の「財務諸表論」で構成されています。
合格するには計算の仕組みの理解と理論の暗記が必要です。 - 管理会計論
計算および論述が出題されます。
原価計算と予算実績差異分析などを含む管理会計の論点をしっかりと抑えることがポイントです。 - 監査論
公認会計士の法定業務である監査に関する科目です。
監査とは何かをイメージして、監査制度の目的、必要な手続きなどを理解できるようにすることがポイントです。 - 企業法
会社法・金融証券取引法・商法に関する科目です。
条文の趣旨および目的をしっかりと理解することが大切です。
論文式試験
公認会計士として、必要な専門知識を理解ているか、また、その応用能力を判断するための試験です。
受験科目は、必須科目4つと任意に選択した科目1つの合計5科目を受験します。
論文式試験は年に1度きりの試験で、毎年8月下旬に実施されています。
総得点の52%が合格基準点とされていますが、1科目でも40%に満たないときは、不合格になる場合があります。
- 必須科目は、財務会計論(簿記および財務諸表論)、管理会計論、監査論、企業法、および租税法です。
- 選択科目は、経営学、経済学、民法、統計学から1つを選択します。
選択科目のポイントは次のとおりです。
- 経営学:
受験者の大部分が選択している科目です。
全体的な難易度が低いとされていますが、数学的な知識が必要になることもあり、ある程度の計算能力が求められます。 - 経済学:
出題範囲が広く、中高程度の数学の知識が必要になります。
経済学を得意とする人が選択する科目といえます。 - 民法:
民法は法体系上その条文数が多いため、学習時間にゆとりのある方、または法律科目に強い方に好まれる科目です。
判例等も条文とともに抑えることがポイントです。 - 統計学:
統計学の勉強範囲は他の科目に比べて少ない一方、その計算内容が高度になっています。
計算が得意な方、統計学が好きな方が選ぶ科目になります。
公認会計士試験の免除制度
社会人を含めた多様なバックグラウンドを持つ人が受験しやすい制度となるよう、試験の免除あるいは一部免除の制度が用意されています。
大学教授、司法試験合格者、一定の専門資格者(税理士等)などが対象です。
- 短答式試験の全てが免除されるケース
主に大学等で商学や法律学に属する教授・博士の学位を持つ一定の方、司法試験の合格者または旧司法試験の2次試験の合格者などが該当します。 - 短答式試験の一部が免除されるケース
税理士の有資格者等であれば短答式では「財務会計論」が、論文式では「租税法」が免除されます。
会計専門職大学院において一定の単位を取得した方は、短答式の「財務会計論」、「管理会計論」、監査論」が免除されます。
公認会計士試験の合格率
公認会計士試験は日本で最難関の試験のひとつであり、医師、弁護士に並ぶ国家資格として有名です。
気になるのは公認会計士試験の合格率でしょう。
合格率が毎年10%前後です。
最難関とされている理由の1つと考えられます。
この合格率10%前後は、公認会計士試験の合格者数÷願書の提出者総数によるものです。
願書を提出しても受験をしていない方が多数存在しているため、実質的な合格率は10%前後ではなく、短答式で20%前後と推測している教育機関もあります(TAC株式会社等)。
論文式の受験者数を母数にすれば、その合格率は35%台にまで引きあがります。
ただし論文式は基準点を超えれば合格する制度ではなく、成績の上位者から合格していく競争型になっている点に留意が必要です。
公認会計士試験はあくまでも、短答式試験に合格後(実質20%前後)、論文式試験(合格率35%前後)に挑むものです。
それぞれの試験の合格率を理解しておき、余計なプレッシャーを感じずに試験に挑みましょう。
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2.公認会計士の試験に取り組む
公認会計士の試験はどれだけ試験勉強に向けて勉強時間を確保することができるかが短答式のポイントです。
それぞれの試験科目をきちんと理解の上、自分の言葉で説明できることが論文式に求められます。
試験勉強時間はどれくらい必要?
試験合格までに必要な勉強時間は専門学校などの各教育機関でも一様ではありませんが、最低ラインの目安として、およそ3,000時間と言われます。
実際の合格者によれば短答式試験に向けた勉強時間を1年間で1,500時間とした方もいます。
1ヶ月あたりおよそ130時間、毎日平均でおよそ4時間を1年間継続するペースになります。
ただし短答式試験の合格した年に論文式試験を受験する場合は、すべての科目を集中して勉強した方が良いでしょう。
そのため、1日当たり8時間近い勉強時間が必要になる場合もあります。
受験を開始してから試験に合格するまでの期間は、学生のように受験勉強に専念できる場合で1年間から2年間、社会人では2年間から3年間が一般的です。
公認会計士試験の科目別でみると、最も勉強時間を費やすのは、財務会計論といわれています。
これは本試験の問題で財務会計論の配点が他の科目よりも多いことから、積極的に得点するために集中する傾向があるためです。
一方で最も勉強時間が少ないのは論文式の「経営学」 とされており、およそ200時間が目安となっています。
学生であれば集中して勉強することが可能かもしれませんが、社会人の場合は残業や予期せぬ付き合いなどで毎日勉強することは困難です。
土日を含めて1週間当たり30時間以上を勉強するペースを続けることになります。
3.公認会計士の試験に合格したら
公認会計士の試験合格後は、公認会計士になるために、3年間の実務経験と3年を年限とする実務補修の単位を取得しなければなりません。
実務経験は、主に監査法人において業務に従事することで得ることができますが、一般事業会社で一定の業務を対応している方でも認められています。
実務補習は必ず受けなければならない研修制度で3年が年限です。
単位制となっており、必要な単位数を取得しなければなりません。
実務経験および実務補習を終えたら、修了考査に挑みます。
2022年の合格率はおよそ69%ですのでしっかりと勉強すれば合格できます。
4.まとめ
公認会計士試験は難易度の高く、社会的信頼の高い資格を取得できます。
試験内容は短答式と論文式です。
試験には必須科目と選択科目があり、できれば短答式試験を合格した同じ年に、論文式試験も合格することが理想的と言えます。
ただし社会人のように限られた時間で受験勉強をしなければならない方は、全ての科目に一度に挑むのは難しいでしょう。
短答式試験に集中して合格したら論文試験に集中するという段階的な試験勉強も現実的な方法です。
また、短答式あるいは論文式の一部免除の対象となることもありますので、確認することも大切です。
勉強は時間と同時に質も重要です。
メリハリをつけた継続学習を行えば、試験合格により近づくことができるでしょう。
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