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公認会計士と税理士の違いとは

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公認会計士の背中

公認会計士と税理士の違いとは、なんでしょうか。

 

それぞれに資格に関する法令により、有資格者だけが業務を行うことが認められている「法定業務(独占業務)」に違いがあります。

この法定業務の観点、期待される役割の視点から、公認会計士と税理士の違いがどのようなものか、確認していきましょう。

1.公認会計士と税理士の違い:公認会計士の法定業務「監査」

公認会計士の法定業務は、「公認会計士法」により定められています。

監査業務の目的は、企業や自治体などが作成した財務諸表が適正に表示されているかどうかを評価することです。

上場企業は金融商品取引法により監査が義務付けられています。

会社法に定められた大会社(会社法2条6号に定められ、資本金5億円以上、あるいは負債総額200億円以上の企業)も監査を受ける義務があります。

 

監査は、資本市場にある企業の信頼性を間接的に担保しているのです。

 

また、監査は財務諸表監査の他に、内部統制監査(経営者が作成した「内部統制報告書」が、一般に公正妥当と認められる内部統制の評価の基準に照らして適正であるかを検証すること)もあります。

 

内部統制監査は、会社が評価した内部統制について、監査法人が統制記録の閲覧、経営者・担当者等に対する統制プロセスの質問、会社の業務処理に関して再実施(ウォークスルーと呼ばれています)することです。

それによって運用状況を評価します。

 

法定業務ではありません。

しかし、公認会計士は財務諸表の監査、内部統制の監査から得られた知見を蓄積し、これらの業務環境を整備する必要のある上場準備企業などに向けたコンサルティング関連業務を対応することがあります。

2.公認会計士と税理士の違い:税理士の法定業務「税務代理等」

税理士の法定業務は、税理士法に定められています。

税務代理等の使命は、「申告納税制度の理念にそって、納税義務者の信頼にこたえ、租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現を図ること」です。

クライアントの適切な納税環境を推進するために、税務処理や納税に関するアドバイス等を実施する目的を持ちます。

 

税理士の法定業務は、税理士法により定められており、税務代理、税務書類の作成、および税務相談とされています。

 

  • 税務代理

税務代理は、納税者に代わって税務署等に税務書類を申告し、納税者の代わりに税務調査の対応や意見陳述を行う業務です。

税務調査において、税務署との見解の不一致があるときはその意見を調整し、クライアントの税務処理の理由や背景等の説明により、税務指摘が無いように整えます。

税理士の腕の見せ所、と期待される部分です。

 

  • 申告書等の税務書類の作成

納税者に代わって、税務署等に提出する税務申告書や届出書を作成し、提出する業務です。

近年は会計ソフトと税務ソフトの連携により、基本的な税務申告書であれば簡単に作成することができるようになりました。

 

  • 税務相談

納税者から、税金の計算方法や納税など、税務に関する相談に応じる業務です。

税務に関する知識はインターネットからでも得る事が可能ですが、税務は個々の環境により計算方法や対応方法が変化します。

 

クライアントに対して最も適切と考えられる答えを提示できることが期待されています。

 

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3.公認会計士と税理士の違い:給与水準

公認会計士と税理士は、それぞれ給与をどのくらいもらっているのでしょうか。

実は、どの職場で働くかにより給与水準が変わります。

公認会計士の給与水準

一般的に公認会計士が監査法人で働く場合の給与水準は、勤務年数や職位により差が見られます。

監査法人では上場企業など大手の企業をクライアントに持っているため、クライアントの数、事務所の規模により同じ監査法人でも給与水準に幅があります。

 

監査法人で働く場合の年収の目安は以下となります。残業代や業績賞与制度がある場合にはさらに金額が増加します。

 

  • スタッフレベル   400万円~600万円前後
  • シニアスタッフ   600万円~800万円程度
  • マネージャー   800万円~1200万円程度
  • シニアマネージャー 1,200万円~1,500万円程度

 

なお、公認会計士が事業会社のファイナンス部門で勤務する場合、給与水準は勤務先の業種(商社、金融業は年収水準が高い部類に入ります)や、タイトル・ポジションによります。

税理士の給与水準

一般に税理士は中小企業の経理責任者などで活躍するケースが見られます。

公認会計士と同様に、大手の事務所、特にBig4と呼ばれる、「アーンスト・アンド・ヤング(EY税理士法人)」、「KPMG税理士法人」「デロイト・トーマツ税理士法人」、「プライスウォーターハウスクーパース(PwC税理士法人)」の場合は、マネージャークラスで年収900万円~と言われます。

 

大手の税理士法人での業務は、一般的な規模の会計事務所や税理士法人と異なります。

業務の多くはクライアントの税務申告書を作成し、またはレビューとなります。

 

また、高度に専門的な知識と経験が必要とされる業務量が多いことも特徴的です。

例えば、国際税務、M&A、企業再編税制など、通常の会計事務所には対応することがない案件があります。

 

一般の会計事務所・税理士法人に勤める場合の給与はどうなっているのでしょうか。

地域やクライアントの数にもよりますが500万円~700万円前後、チームマネジメントの立場になると800万円前後も見られます。

4.公認会計士と税理士の違い:業務の守備範囲

公認会計士の独占業務である「監査」対象は、会社法上の大企業、上場企業が多く、金融業や医療法人、地方自治体など公益性の高い事業者も含まれます。

規模の大きな事業者を相手にすることが多くなるため、公認会計士の守備範囲は中堅規模から大企業といえるでしょう。

 

税理士は納税者の側に立って、個人から大企業まで所得税、法人税、相続税などの主要税目を中心とした税務サービスを提供していますので、多くは個人、中小規模の企業が守備範囲になります。

5.公認会計士と税理士の違い:大企業は公認会計士の主戦場か

大企業が会計の専門家に期待していることはなんでしょうか。

複雑なビジネスモデルの理解、経済環境の変化に柔軟に対応できる能力、経営層に対して財務諸表から読み取ったリスクや課題の抽出と解決案の提示などです。

 

そして多くの大企業の経理部やファイナンス部門で必要とされているのは、制度会計(日本の会計基準)の対応だけではありません。

国際展開している企業であれば国際会計基準(IFRS)や米国会計基準(USGAAP)も含まれます。

 

海外子会社が多い場合は、現地の経理責任者とのコミュニケーションや、連結決算のための環境整備なども含まれるでしょう。

 

このような業務を専門家として対応していくためには、様々な企業での経験や、関係する会計制度、法令などをしっかりと理解している必要があります。

このような観点から、一般的に公認会計士が大企業に対応できる専門家として選ばれています。

 

ただし実務経験、コミュニケーション能力、他部門との折衝など、業務に必須な能力が実力として評価されますので、税理士であっても公認会計士と同じように働ける可能性があります。

 

6.公認会計士と税理士の違い:中小企業は税理士の得意分野か

税理士の他の業務は税務に関連したものです。

ただし中小企業のクライアントでは、会計や税務に対応するための十分な人の数が不足していることがあります。

税理士は会社の経理制度の整備や、税務相談を引き受けることも多い傾向です。

 

また中小企業のオーナーは、将来の後継者対策を検討する際に相続税や事業承継に関連する税制について税理士に相談するだけではなく、会計・税務以外の相談をする場合も見られます。

 

例えば人事関連では給与計算、社会保険の計算、源泉所得税の計算の他、労務に関する基本的な相談もあります。

税理士はクライアントの窓口となり、社会保険労務士に業務を依頼してその課題の解決を支援することになります。

 

相続税を対応する税理士事務所では、創業者オーナーのプライベートな相談を引き受ける場合もあります。

あるいは、クライアントで滞留売掛金が発生している場合に、債権を適切に回収するため、弁護士に依頼するケースもあります。

 

このように中小企業の税理士は、税務に関連する業務だけではなく、様々な経営課題を適切に対応できることが期待されています。

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7.まとめ

公認会計士も税理士も経理のプロフェッショナルとして広く認知されています。

両者の違いは期待される役割、の視点から見るとわかりやすいのかもしれません。

 

公認会計士は企業を財務面から支え、事業を発展させることで企業規模を拡大させていくことに強みがあります。

一方、税理士は企業のオーナーや中小規模の企業を税務以外からも幅広く支えていくことに強みがあるといえるでしょう。

Profile レックスアドバイザーズ

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